北島敬三 「USSR 1991」

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ソ連が崩壊した1991年に、断続的に約150日間滞在して撮影した作品である。作者が最初に訪れた時点では、数ヵ月後に起こる体制崩壊はまったく予測していなかった。120以上あるといわれる民族の言語、宗教、儀礼を禁止し、核爆弾の地上実験を500回以上行い、家族の中でも密告が行われ、 2000万を超える人々が粛清された「収容所群島」とも呼ばれるこの国家が崩壊し、瞬時に冷戦構造が消滅したことは、作者にとって大変な驚きであった。エリツインはあっさりと自由主義経済への移行を表明し、人々は独立ロシアの未来を語っていたが、一方ではソ連に忠誠を誓って人生の大半を過ごしてきた老人たちがいて、そこに生まれ、そこで死んでいった人たちがいた。作者はさまざまな人たちの写真を撮りながら、「ソ連という体制が73年間存在したことを忘れてはいけない」という思いを次第に強くしていった。テレビやインターネットに比べ、写真はすでに「遅いメディア」といわれるが、作者は逆にその「遅さ」に注目する。テレビやインターネットがスペクタクルを提供する忘却のメディアになるとき、写真にはそれに抵抗する記憶物質になる可能性があると思うからである。消去できないもの、忘れることができないもの、突然回帰して現在という時間を撹乱するものが写真の特質かもしれないが、15年を経て今、初めて旧ソ連の写真を展示することの可能性もそこにあると作者は考えている。

メディア

スケジュール

2008年01月17日 ~ 2008年01月29日

アーティスト

北島敬三

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