飛鳥アートヴィレッジ作品展「宙の土 土の宙 -そらのつち つちのそら-」

いにしえの趣を残す、奈良県明日香村から発信!

In ニュース by KABlog 2014-03-18

奈良県明日香村の奈良県立万葉文化館で、「飛鳥アートヴィレッジ」の展覧会「宙の土 土の宙 -そらのつち つちのそら-」が開催されています。

「飛鳥アートヴィレッジ」は若手アーティストを対象に、明日香村のサポートのもとで開催されているアーティスト・イン・レジデンスのプログラムです。

5名の作家達は、2013年1月下旬に明日香村に10日間滞在し、地元の人との交流を深め、客観的な目線を持ち合わせて”飛鳥”という土地を体感しました。この展覧会は、レジデンス中の活動を基に、その後の期間に制作された作品を展示するものです。

展覧会のテーマは、「宙の土 土の宙ーそらのつち つちのそらー」
作家5名が飛鳥の土地から直接感じた”空と土地と自然の力”が、展覧会のテーマとなっています。

「飛鳥をいろんな角度から読み取った様々な作品が出揃っています。飛鳥という土地から伝わる”力”を作品を通して読み取って欲しいです」と、プログラムコーディネーターの山中俊広さんは語られています。

飛鳥の星空の美しさに感銘を受けたという野田万里子さんは、2つの作品で表現しています。

1つ目の作品は、『識よりもなほ』。黒く塗りつぶした42冊の本のページには、金色の絵の具を撒き散らして星空のようにちりばめられています。

そして、会場の真ん中に位置し、大きな円形の作品が目を引く『たましひのひとひら』はその本を見守っているかのように、土地の木や草が詰まった小さな瓶の満月が登っています。

普段は地面にある物が空に昇り、星空が地面に絵が描かれているという対比がなんとも面白いです。

笠間弥路さんは、飛鳥にある特徴ある石の形や質感に着想を得られたそうです。地面から浮きあがることのない石が、空に浮かぶ星や地面に沈む大根に対しての想いをメッセージとして表現しています。石や夜空の写真をモノクロの印刷で出力することで、飛鳥の歴史により客観的なまなざしを向けることを提示しているようです。

8点の絵画を制作したのは、下野友嗣さん。人の背丈ほどの大きさが印象的な作品『しみる』は、高知和紙に大理石の粉末や鉄錆を使っており、重厚感があります。土地に降りそそぐ雨をイメージさせる作品は、自然の壮大な力を想像させます。

土方大さんの作品は、花柄や斜線の規則性のあるモチーフで構成された文様が写真に重ねられています。この文様は、ガラスと砂の混ざった光沢のあるパウダーで作られており、照明によって光を放ちます。
これは、飛鳥にちなんで、仏や人間のオーラがテーマになっています。

磐井賢志さんの作品は、地元の人との共同制作となっています。素材は全て現地調達し、もみ殻だけで5トンを使用。飛鳥一帯の地形を表しています。地元の人が入れ替わりで搬入の手助けもしてくださったそうで、この土地でしか出来ない、力のある作品に仕上がっています。

※このもみ殻の作品は会期途中に破損したために、現在は撤去して最初の展示時の写真を代わりに展示しております。

飛鳥アートヴィレッジは3月22日まで開催中です。作家と明日香村地域が一体となって作り上げた展覧会です。飛鳥の自然と合わせてぜひ楽しんでいただきたいです。

写真撮影:小倉千明
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【概要】

飛鳥アートヴィレッジ作品展「宙の土 土の宙 -そらのつち つちのそら-」
期間:平成26年3月11日(火)~平成26年3月22日(土)まで
会場:奈良県立万葉文化館 企画展示室
料金:無料
開館時間:10:00~17:30(入館は17:00まで)
休館日:毎週月曜日(月曜日が祝日の場合は翌日)

参加作家:
下野友嗣(しものゆうじ)野田万里子(のだまりこ)笠間弥路(かさまみろ)
磐井賢志(いわいけんじ)土方大(ひじかただい)

プログラムコーディネーター:
山中俊広
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[KABライター]
小倉千明 岡山県出身。広告代理店・広報部にて勤め、現在はフリーライター・フォトグラファーとして活動中。ジャンルは幅広く、雑誌やWEB媒体などで執筆。ベンシャーンやアンディ・ウォーホルに感銘を受け、アートの世界に。ギャラリーや美術館の空間をこよなく愛する。作品を目の前にしたときの、右脳がぐらっと動かされる感覚がたまらない。comocomo.cafe

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