篠山紀信展 写真力 THE PEOPLE by KISHIN

”写真の神様”、篠山紀信の50年間の集大成!力みなぎる写真のその魅力に迫る。

poster for Kishin Shinoyama “The People By Kishin”

「篠山紀信展 写真力 THE PEOPLE by KISHIN」

大阪市北区エリアにある
グランフロント大阪 北館 ナレッジキャピタル イベントラボにて
このイベントは終了しました。 - (2014-04-05 - 2014-05-18)

In フォトレポート by Chiaki Ogura 2014-04-29

これまで多くの人物を撮影しつづけ、マスコミやメディアを中心に賛否両論を巻き起こしてきた写真家篠山紀信。写真生活は半世紀を過ぎ、日本国内で初めての大規模な個展が、グランフロント大阪北館イベントラボで開催されています。

展示テーマは「写真力」。

篠山紀信の「写真力」とは、「写真の力がみなぎった写真」のことであり、撮影された被写体も、撮影した写真家も、またそれを見る鑑賞者も、みなが唖然とするような力を感じる写真のことです。篠山紀信自らがセレクトした約100点の写真は、まさに「写真の神様が舞い降りてきてくれたもの」。

会場は、「GOD」「SPECTACLE」「STAR」「BODY」「ACCIDENTS」の5つのセクションに分けられ、3mを超える大きさの写真たちが、ダイナミックに展示されています。

篠山紀信は、写真家は往々にして「時の死」の立会人だと言っています。写真は撮影された瞬間から「過去」になる。その刹那に立ち会っているのだと。「GOD(鬼籍に入られた人々)」では、既に亡くなった人々のポートレートが並んでいます。鬼籍には、「既に無くなった」という意味があります。

三島由紀夫の写真は、「男の死にざま」がテーマとなっており、この写真を撮影した後に、切腹自殺に至ったそうです。大原麗子の写真は、本人に「とにかく綺麗に撮って欲しい」という依頼を受け撮影したそうで、彼女の遺影写真にも使われました。

「SPECTACLE(私たちを異次元に連れ出す夢の世界)」では、歌舞伎やディズニーランドなど、日常とは違った異次元の世界を撮影しています。歌舞伎役者中村勘三郎の襲名舞台時に、突如、舞台上に呼ばれた篠山紀信が瞬間的に撮影した写真は、観客全員がこちらを向いているのがとても印象深い一枚です。こちらは会場で是非ご覧ください。

「写真家は時代の映し鏡で、突出した有名人は撮らねばならない」と話す篠山紀信は、多くの時代を象徴する有名人を撮影しています。「STAR(すべての人々に知られる有名人)」では、錚々たるメンツの写真を鑑賞することができます。

大阪展のみの特別展示となるのは、フィギュアスケーターの羽生結弦とお笑い芸人千原ジュニアの写真です。羽生結弦が、ソチオリンピックで金メダルを獲得する前の貴重な写真です。また、千原ジュニアの写真は、撮影開始から数分で撮影が終了し、「彼はやっぱり天才だ」と誉め称えていたそうです。

1970年代の雑誌「激写シリーズ」や社会現象にもなったヌード写真集などがメインとなる、「BODY(裸の肉体、美とエロスと闘い)」。このテーマ特有のスリリングさや、日本の伝統的な美意識への関心などの要素が見られます。日本国技館で撮影された大相撲の写真は、貴乃花や曙など、相撲の全盛期ともいえる時代の力士が勢揃いしています。「誰ひとりも瞬きしていないところ」が、篠山紀信のおすすめポイントだそうです。

東日本大震災を体験した篠山紀信が、これまでにはないドキュメンタリーに挑戦した「ACCIDENTS(2011年3月11日 東日本大震災で被災された人々の肖像)」。被災地を舞台に、一切の演出を排除した撮影を試み、被災者のありのままの姿を捉えました。廃墟となった町を背景に、笑顔でもない、涙を浮かべる様子もない被災者たちのその表情に、あなたは何を感じるでしょうか。

篠山紀信の撮影スタイルは「欲張らないこと」。撮影までのイメージは完璧に描いた上で、下準備を欠かさず、いいものが撮れたと思ったら、潔くそこで撮影を止める。

新たな挑戦を写真家篠山紀信の感性と、写真というメディアに内在するエネルギーを体感しに、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。

Chiaki Ogura

Chiaki Ogura . 岡山県出身。広告代理店・広報部にて勤め、現在はフリーライター・フォトグラファーとして活動中。ジャンルは幅広く、雑誌やWEB媒体などで執筆。ベンシャーンやアンディ・ウォーホルに感銘を受け、アートの世界に。ギャラリーや美術館の空間をこよなく愛する。作品を目の前にしたときの、右脳がぐらっと動かされる感覚がたまらない。comocomo.cafe ≫ 他の記事

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