ア・ターブル!ーごはんだよ! 食をめぐる美の響宴ー

食べ物にまつわるアートが、世界中の美術館から約170点!

poster for A Table!— Art Feast

「ア・ターブル!- ごはんだよ!食をめぐる美の饗宴 - 」展

三重県エリアにある
三重県立美術館にて
このイベントは終了しました。 - (2014-03-01 - 2014-05-06)

In フォトレポート by KABlog 2014-04-11


あなたにとって「食事」とはどんなものでしょうか?

この展覧会では、誰もが親しみやすい食べ物とその食事にまつわるアート作品が約170点・約49の美術館から集まっています。展覧会名の「ア・ターブル(à table)!」とは、「ごはんだよ!」という、家族を食卓へと集めるフランス語のかけ声です。

「時代や地域によって、食文化は多種多様。食は、人間と社会を映す鏡でもあります。現在でも食卓を囲むことが、コミュニケーションの場となっています。作品を楽しんでいただきながら、”食”から見えてくる普遍的な問題も感じとっていただければと思います。」と企画を担当された学芸員の吉田映子さんからお話を伺いました。

会場は、厨房、食卓、夢の中、そして美術館という場をキーワードとする4つの章から構成されています。

章ごとのおすすめ作品と合わせて紹介していきます。


第一章:芸術家たちの厨房

第一章には、”厨房”というテーマで、静物画から造形物まで幅広く展示されています。
作家が生活の中から選んだモチーフ(食材)や、構図によって作られる作品自体を”芸術家たちの厨房”とし、展示室にまとめました。作られた時代の背景や食文化が、作家によって表現されています。

フィリピンの作家ジュリー・ルークの作品では、女性が台所で料理をしているシーンが題材となっています。よく見ると女性の左目から涙が出ています。この時代の女性が多くの閉塞感を感じながら生きていたという、時代背景を映し出しています。

第二章:食卓をめぐる光景

第二章では、私たちの社会の基盤となる様々な関係が、”食卓”を囲んで築かれています。各作品に描かれている”食卓”の上で、どのような人間関係が結ばれ、感情が交わされているのか、想像を膨らませてみてください。食に対する認識の歴史観もそれぞれの作品に見られます。

ジェフ・ウォールのライトボックスを使って制作された作品には、キッチンに佇む少女が2人が映し出されています。流動的な動きのあるものを、あえて化石のように動きを止めています。

この作品は、日常当たり前のように繰り返されている寂しい食事環境について、改めて考え直させるきっかけをくれます。

デヴィッド・ホックニーの作品は、1983年2月16日の英国大使館での昼食の風景を、さまざまな目線で切り取りコラージュしています。その一度きりの食事の空気感が、臨場感を持って表現されています。

第三章:夢の中で乾杯

第三章では、前二章で扱ってきた直接的な食材へのアプローチから飛躍した表現が見られます。もともと即物的である食べ物を、異文化への夢や憧れを象徴的に示したり、野菜や果物の「擬人化」や、風刺画やパロディなどのフィクションとして扱う作品などが集まっています。

天然のスペクトルともいわれる虹は、触ることができません。虹色に彩られた食卓は、幻想や憧れの存在として描かれています。この場合の食卓に並べられているものは、食べて消化するものとしてではなく、一種の「喜びの象徴」となっています。

第四章:フード・イン・ミュージアム

基本的に、作品保存の観点からも美術館において食ベ物は御法度です。第四章では、その”タブーさ”を楽しもうとする、遊び心のある現代アート作品が多く展示されています。いずれの作品も、普段見過ごしがちな日常や出来事に目を向けさせ、意識の底に沈んでいる根源的な感覚を呼び起こします。

近藤亜樹さんの作品は、壁一面を埋める大きさの絵画作品で、そのダイナミックな表現に圧倒されます。川がスパゲッティ、海から刺身、山がスイカで描かれ、それらを食すのは、健康的な体つきの女性と不健康そうな男性。一見、カラフルで鮮やかな絵画ですが、別の視点から見ると、飽食の時代とそれに対するアンチテーゼを感じることもでき、多義的に捉えることの出来る作品です。

”食”という身近なテーマを切り口に展開されるこの企画展。年齢層も幅広く楽しめそうな作品ばかりです。色んな食卓に出会いに、ぜひ足を運んでみてください。

[KABライター]
小倉千明 岡山県出身。広告代理店・広報部にて勤め、現在はフリーライター・フォトグラファーとして活動中。ジャンルは幅広く、雑誌やWEB媒体などで執筆。ベンシャーンやアンディ・ウォーホルに感銘を受け、アートの世界に。ギャラリーや美術館の空間をこよなく愛する。作品を目の前にしたときの、右脳がぐらっと動かされる感覚がたまらない。comocomo.cafe

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