KYOTOGRAPHIE 国際写真フェスティバル2014

京都ならではの空間をまるごと楽しめる!文化と現代アート写真の新しい融合。

poster for Mars, A Photographic Exploration

「火星 - 未知なる地表 - 」

京都市中京区エリアにある
京都文化博物館にて
このイベントは終了しました。 - (2014-04-19 - 2014-05-11)

poster for Nature in Tokyo

「ネイチャー・イン・トーキョー」

京都市上京区エリアにある
有斐斎 弘道館にて
このイベントは終了しました。 - (2014-04-19 - 2014-05-09)

In フォトレポート by Chiaki Ogura 2014-05-03

KYOTOGRAPHIE国際写真フェスティバル2014は、華やかな春を迎える美しい日本の古都、京都を舞台に、伝統文化と現代アートの融合を図る展覧会です。今年のテーマは「Our Environmentsー私たちを取りまく環境ー」。家族の風景のような身近なものから、火星の表面という宇宙規模のものまで、幅広い題材を取り扱っています。普段あまり意識することのない、私たちを取りまく様々な環境について写真を通して考察することができます。

京都市内15カ所で開催されている展覧会会場は、「京都駅ビル7階東広場」や「京都芸術センター」などの場所だけでなく、重要文化財に指定されている「京都文化博物館」や「下鴨神社細殿」、室町時代創業の和菓子屋「虎屋」のギャラリー、老舗帯問屋など、京都ならではの空間ばかり。普段はなかなか入れない場所に入ることができるのも、展覧会鑑賞の楽しみのひとつです。海外の方には、アートだけでなく京都をより感じてもらう良い機会になりそうです。

虎屋京都ギャラリー 瀧澤明子《Where We Belong》

和菓子屋の代表格とも言える「虎屋」の京都ギャラリーでは、滝澤明子のコロタイプの技法を用いた写真作品が見られます。

約150年の歴史を持つこの古典印刷技術を扱っているのは、現在京都においては便利堂という印刷会社1社のみ。このフランス生まれの写真印刷技法は、和紙に浮かぶ漆黒が独特の深い印象を与え、「光の重なりを上手く表現できる」と滝澤さんは話されています。かつては生活に密着して使用されていた技法は、今の時代だからこそより新鮮に感じられることがができるのかもしれません。

嶋臺(しまだい)ギャラリー ティム・フラック(ハッセルブラッド プレゼンツ)《More Than Human》

登録文化財でもある「嶋臺(しまだい)ギャラリー」は、京都ならではの伝統的町家建築としても大変有名です。創業400年の生糸輸入業の傍ら、江戸中期から銘酒”嶋臺(しまだい)”を扱う酒問屋など幅広く商いをされています。

この会場で展示しているは、英国を代表する動物写真家ティム・フラック。彼の写真の核となっているのは、人間と非人間である動物との関係の概念です。蔵の中に整然と飾られているポートレートの数々。その被写体となっている動物たちの表情は、まるで人間のように見えます。

こちらをまっすぐ見つめるトラは、野生のトラです。野生のトラは、わずか約3000頭しかいないのにも関わらず、アメリカではペットとして約5000頭飼われているそうです。そのため、多くのトラは自然の交配ではなく、人工的な交配によって生まれています。伝統的な”人間風”に撮られたそのポートレートは、見る者の心を貫き、見る側もこの獣を見つめ返さずにはいられません。


誉田屋源兵衛黒蔵 スタンリー・グリーン(NOOR) 《眼から心への細糸》

「誉田屋源兵衛 黒蔵」は、約260年の歴史をもつ帯問屋として知られる老舗です。モダンで個性的な作りのその蔵は、普段は解放されていない場所。報道写真家スタンリー・グリーンは、変わりゆく地球の温暖化をテーマにしたプロジェクトと、彼の活動の集大成である《Black Passport》を展示しています。「いつも自分は極秘で証拠集めをしている気がする」と語る彼は、フォトグラファーの基本はひたすら自らの足で歩き回ることだと話しています。イラク、ソマリアなどの土地で、危険と背中合わせの環境の中、シャッターを押し続ける。ジャーナリズムという現実を鮮明に捉えた写真達が、この個性的な空間にまさにマッチしています。

無名舎 ワーナー・ビショフ(マグナム・フォト) 《Eternal Japan 1951 – 52》

店舗、住居、土蔵とそれらを結ぶ2つの庭と、通り庭から成っている「無名舎」。1909年に建設されたこの建物は、白生地問屋を商った京商家の典型ともいうべき表屋造りです。

スイス生まれの報道写真家のワーナー・ビショフは、ドキュメンタリー写真家の団体であるマグナム・フォトに所属していました。38年という短い生涯の約1年を日本に滞在し、戦後の日本の復興期を撮り続けました。混沌とする時代を乗り越えようと、エネルギーに満ちて前に突き進む日本人の姿をまさに捉えています。

京都文化博物館別館 《火星 – 未知なる地表》

「京都文化博物館別館」では、現代美術作家の高谷史郎によるヴィデオ・インスタレーション《火星ー未知なる地表》が展示されています。

30億年の時間をかけ、風によって形成された驚く程の美しい風景が、日本で初公開されています。4〜6mの巨大モニターに映し出される火星の地表の映像は、NASAの調査衛星によって撮影されたもの。数万点に及ぶ画像から、写真家でアートディレクターのグザヴィエ・バラルが200枚近くを抜粋。その画像を元に、高谷史郎がマルチメディア・インスタレーション作品として展開。このコラボレーション作品は、圧巻の一言です。1.8mmの高性能のLEDモニターにより、より鮮明な映像を映し出すことを可能にしています。この壮大さを、ぜひあなたの目で確かめてください。

この他にも市内15カ所で開催されているKYOTOGRAPHIE国際写真フェスティバル2014は、魅力的な写真作品と共に京都ならではの会場を楽しむ事ができます。またサテライト企画として、KG+も開催しています。京都市内約50のスペースにて、約100の作家・グループが展覧会を行うものです。京都で活躍するアーティストはもちろん、海外のアーティストも参加しています。
ぜひこの機会に、京都のあちこちに足を運んでみてください。

KYOTOGRAPHIE国際写真フェスティバル2014
会期=2014年4月19(土)〜5月11日(日)
出品作家=ワーナー・ビショフ/ティム・フラック/スタンリー・グリーン/アンヌ・ドゥ・ヴァンディエール/リリアン バスマン/イヴ・ジェリィ/ジャンルカ・ガンベリニ/ エヴァジェリア・クラニオティ/J.D. オカイ・オジェイケレ/マリア・テレザ・アルヴェス/エリック・サマック/マルセル・ディナエ/ミカエル・フォン・グラフェンリード/アドリアン・ミシカ
荒木経惟/石川直樹/伊丹豪/川内倫子/川島小鳥/喜多村みか/木村肇/草彅裕/志賀理江子/鈴木理策/高木康行/高谷史郎/瀧澤明子/田附勝/西野壮平/広川泰士/ホンマタカシ/森山大道
会場=京都文化博物館 別館/龍谷大学 大宮学舎本館/下鴨神社 細殿 ほか京都市内各所(全15箇所)
入場料=パスポート2000円(大中高1200円)
※別途入場料が必要な会場もございます。詳細はウェブサイトをご確認ください。

Chiaki Ogura

Chiaki Ogura . 岡山県出身。広告代理店・広報部にて勤め、現在はフリーライター・フォトグラファーとして活動中。ジャンルは幅広く、雑誌やWEB媒体などで執筆。ベンシャーンやアンディ・ウォーホルに感銘を受け、アートの世界に。ギャラリーや美術館の空間をこよなく愛する。作品を目の前にしたときの、右脳がぐらっと動かされる感覚がたまらない。comocomo.cafe ≫ 他の記事

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