ホテルアンテルーム京都3周年記念「SANDWICH | ANTEROOM」展

人とアートが出会うホテルならではの展覧会

poster for Sandwich Anteroom

「SANDWICHl ANTEROOM」展 

京都府(その他)エリアにある
HOTEL ANTEROOM KYOTOにて
このイベントは終了しました。 - (2014-04-24 - 2014-06-29)

In インタビュー by Chisai Fujita 2014-06-08

京都駅から南に位置するホテルアンテルーム京都は、現代アートを見ることができるホテル&アパートメントだ。6月29日まで開催中の「SANDWICH | ANTEROOM」展は、オープン3周年を記念した展覧会。ホテルアンテルーム京都で行われているこの展示について、レセプション/キュレーターの上田聖子さんに話を伺った。

■なぜホテルに現代アートの作品を見ることができるのですか?

2011年春に専修学校をリノベーションし、ホテルアンテルーム京都が誕生しました。元々は学びの場だった建物なので、用途が変わっても何か学びを提供するような場所をしたいと考えていました。京都にはアートのギャラリーや教育機関も多く、京都の今を象徴するものが現代アートだと感じ、「京都のカルチャーの今」を発信するメディアを作ることになりました。

ここでは、非日常のホテルと、常に住むという日常のスペースであるアパートメントを融合することで、京都を訪れる人と地元の人が交わることができます。ギャラリースペースは、外部からでも気軽に足を運んでもらえる場所ですが、ホテル館内には「アーティストの友人の家」をデザインコンセプトに、いたるところに作品を配しています。

■入ってすぐ、名和晃平さんの作品に圧倒されますね。

彫刻家の名和晃平さんは、オープン当初からホテルのプロジェクトに関わっていただいています。彼が率いるSANDWICHにはギャラリーの一部ディレクションをお願いしていますが、これは「Spatium SANDWICH」という「ホテルにアートが入り込む」というアートプロジェクトがきっかけです。エントランスには名和晃平さんによる常設作品《Swell-Deer》、その裏に《Swell-Tiger》を展示していますが、こちらが第1弾で、今回が第6弾となります。

■今回の「SANDWICH | ANTEROOM」展の企画主旨を教えてください。

今回は名和さんを含め10名の作家によるグループ展ですが、手法もテーマもキャリアも様々。ホテルの3周年記念企画ということもあり、これまでを振り返り、これからを紹介する意味でも、SANDWICHやアンテルームに縁がある作家を紹介しています。

■展示されている作品について教えてください。

この藤元明さんの作品は、ホテルのロビー空間にあり、印象的な作品です。ソーラーパネルを使用していますが、100Vの電源がパネルに照射し、発電した光によってFacebookの「LIKE!」マークが光っています。エネルギーに関する問題は、私たち社会全体の大きな課題ですが、それと同時にSNSを介したコミュニケーションの在り方も変容しています。、社会的なメッセージを含んでいますが、ユーモラスでもあり、視覚的に問題意識を感じさせるような作品です。

■白いバルーンの作品はあちこちにありますね。

田辺真弓さんという作家の作品です。この風船は、エントランスや中庭などいろいろなところに置いてありますが、外的要因に対し、とても繊細で、時間とともに変化する特性があります。特にお子様などは敏感に反応されますね。

■宿泊者や利用者の反応はいかがですか?

アンテルームは、エントランスにギャラリーがあり、共有スペースや客室などいたるところにアート作品が飾られているホテルです。シーズンによってご利用いただく方の客層も変わりますが、作品との出会いを楽しんでいらっしゃる方が多いように思います。中には「この作家の作品を飾っている部屋に泊まりたい」というリクエストを出される方もいらっしゃいますが、ホテルで開催する展覧会やイベントを目的に宿泊される方もいらっしゃいます。また、ラウンジスペースは夜にはバーとなり、アートとお酒が楽しめる場所になります。いろいろな形でのホテルステイの楽しみ方が提案できるとうれしいですね。

テンポラリーではなく、アートフェアでもない、企画展という形での展覧会。しかもこれがパブリックな場所であるホテルで行われている、という現実。部屋の装飾としての美術から、現代(いま)を生きる、そして何かを問い掛けるコンテンポラリーアートのスパイスとして、私たちの五感に降り注ぐように感じられた。

写真撮影:藤田千彩

Chisai Fujita

Chisai Fujita . 藤田千彩アートライター/アートジャーナリスト。1974年岡山県生まれ。玉川大学文学部芸術学科芸術文化専攻卒業後、某大手通信会社で社内報の編集業務を手掛ける。5年半のOL生活中に、ギャラリーや横浜トリエンナーレでアートボランティアを経験。2002年独立後、フリーランスでアートライター、編集に携わっている。これまで「ぴあ」「週刊SPA!」「美術手帖」など雑誌、「AllAbout」「artscape」などウェブサイトに、展覧会紹介、レビューやインタビューの執筆、書籍編集を行っている。2005年から「PEELER」を運営する(共同編集:野田利也)。鑑賞活動にも力を入れ、定期的にアートに関心の高い一般人と美術館やギャラリーをまわる「アート巡り」を開催している。また現代アートの現状やアートシーンを伝える・鑑賞する授業として、2011年度、2014年度、2015年度愛知県立芸術大学非常勤講師、2012年度京都精華大学非常勤講師、2016年度愛知県立芸術大学非常勤研究員、2014~ 2017年度大阪成蹊大学非常勤講師などを担当している。 写真 (C) Takuya Matsumi ≫ 他の記事

KABlogについて

Kansai Art Beatの運営チームにまつわるニュースをお伝えします。

Facebook

KABlogのそれぞれの記事は著者個人の文責によるものであり、その雇用主、Kansai Art Beat、NPO法人GADAGOの見解、意向を示すものではありません。

All content on this site is © their respective owner(s).
Kansai Art Beat (2004 - 2024) - About - Contact - Privacy - Terms of Use