林勇気インタビュー

暗がりの空間にキラキラと映像がちりばめられてゆく

poster for Yuki Hayashi “A Garden of Light and Another House”

林勇気 「光の庭ともうひとつの家」

神戸市エリアにある
神戸アートビレッジセンターにて
このイベントは終了しました。 - (2014-06-21 - 2014-07-13)

poster for Takuma Uematsu + Yuki Hayashi “I Want You”

植松琢磨 + 林勇気 「あなたがほしい i want you」

大阪市西区エリアにある
大阪府立江之子島文化芸術創造センターにて
このイベントは終了しました。 - (2014-06-21 - 2014-07-05)

In インタビュー by Chisai Fujita 2014-06-29

いま、注目のアーティストといえば、映像作家の林勇気であろう。関西では2014年6月から9月にかけて、3ヶ所の会場で展覧会を開催する活躍ぶり。そんな林に、作品、最近考えていることなどを聞いてみた。

—この6月から7月にかけては、江之子島文化芸術創造センター[enoco]神戸アートビレッジセンターで展覧会がありますね。

7月5日まで開催している、江之子島文化芸術創造センター[enoco]での展示は植松琢麿さんとの二人展です。昨年秋、ドイツ・デュッセルドルフのアートセンターで行った展覧会「あなたがほしい i want you」は、キュレーターで兵庫県立美術館学芸員の小林公さん、オーガナイザーでバイリンガルアートガイド「FLAG」の主宰である後藤哲也さん、作家の植松琢麿さんとともに企画した展覧会。今回はデュッセルドルフとは構成を変えて、日本ではじめて公開する2作品を展示します。

—神戸アートビレッジセンターでの展示は、1階の空間の照明をなくした暗い空間に、いろいろな家が建てられていく建設的なインスタレーションですよね。

はい。神戸アートビレッジセンターの展覧会「光の庭ともうひとつの家」は、7月13日までで、個展になります。センターの美術担当の伊藤まゆみさんがキュレーションで、「KAVC Gallery Project」という企画の初回を飾る展示になります。この作品は「光の庭ともうひとつの家」という新作の映像です。

—この林さんの作品は、ゲーム画面のように動いているように見えますが、神戸アートビレッジセンターの展覧会はゲームでの経験が元になっているんですよね。

そうなんです。僕自身、過去にゲームの中で家を購入した経験があるのですが、そのとき感じた現実と画面の向こう側が重なるような不思議な感覚を作品にしてみました。建築家のNO ARCHITECTSが設計した家と、僕の「もうひとつの家」が並びます。僕の家は500円で購入して、画面の向こう側にあるもうひとつの世界の「光の庭」の住人となることができます。

—それはキュレーションありきの展示でしょうか。

ありき、というよりも、企画の段階から伊藤さんとディスカッションを重ねて、方向性を見出し、展覧会をつくっていきました。対話の中で、建築家の NO ARCHITECTSのお二人に特別協力して頂くことになりました。

キュレーターや企画者がいる展覧会では、僕が企画の意図などを読み解いたり、新しい解釈を加えられるように試みたり、イメージを共有したりすることが求められます。そのおかげで、作品や展示方法に「広がり」と「深さ」をいただけるように感じます。

—出てくるモチーフが多種多様ですが、どうやって素材は集めているのですか。

作品のモチーフのありかは、いくつかの種類にわかれます。

1.自分自身で撮影しハードディスクに保存されている写真。展示する会場の近辺で撮影した写真を使用して制作することもあります。
2.インターネットで特定のキーワードなどで検索をして収集した写真。
3.写真を公募して、応募して頂いた写真。

僕は作品の意味や意図に沿って、画像の収集と撮影の方法を考えていき、実際作品に使う素材にします。一枚一枚の写真や、そこに写っているオブジェクトひとつひとつに、というよりは、膨大な量の写真がハードディスクやメモリに保存されたり、アップロードされたり、共有されている状況そのものがモチーフになっていると思います。

—写真そのものをつかったり、トリミングした写真を組み合わせたり、素材にとても手を掛けてモチーフになっていくことが魅力ですよね。しかも見せ方として、それらがパラパラめくられていったり、壊れていったりするさまは、流れ星の星くずのように感じて、切なく感じたりします。制作する立場では、どのように感じているのでしょうか。

情報社会のあり方や映像だからできることなどを思考して、作品に取り入れていこうと試みています。

—どういう意味でしょうか。

例えば僕が今いる場所とは異なる場所の情報をスマートフォンなどで閲覧することができたり、インターネットに映像がアップロードされてどこからでも見ることができますよね。データだとコピーできること、共有され拡散されていくこと、電源をOFFすればみれなくなってしまうことも、僕には重要なテーマです。データの劣化にも興味があります。こうしたことを作品へ取り込んでいっています。

—9月27日からは、芦屋市立美術博物館での展覧会も待ってますね。

はい。芦屋の展示はまさに「3.写真を公募して、応募して頂いた写真。」をもとに制作をしています。まだつくっている段階なので、楽しみにしてくださいね。

写真撮影:藤田千彩

Chisai Fujita

Chisai Fujita . 藤田千彩アートライター/アートジャーナリスト。1974年岡山県生まれ。玉川大学文学部芸術学科芸術文化専攻卒業後、某大手通信会社で社内報の編集業務を手掛ける。5年半のOL生活中に、ギャラリーや横浜トリエンナーレでアートボランティアを経験。2002年独立後、フリーランスでアートライター、編集に携わっている。これまで「ぴあ」「週刊SPA!」「美術手帖」など雑誌、「AllAbout」「artscape」などウェブサイトに、展覧会紹介、レビューやインタビューの執筆、書籍編集を行っている。2005年から「PEELER」を運営する(共同編集:野田利也)。鑑賞活動にも力を入れ、定期的にアートに関心の高い一般人と美術館やギャラリーをまわる「アート巡り」を開催している。また現代アートの現状やアートシーンを伝える・鑑賞する授業として、2011年度、2014年度、2015年度愛知県立芸術大学非常勤講師、2012年度京都精華大学非常勤講師、2016年度愛知県立芸術大学非常勤研究員、2014~ 2017年度大阪成蹊大学非常勤講師などを担当している。 写真 (C) Takuya Matsumi ≫ 他の記事

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