「WHOLE9 Exhibition at HOME展」レポート&インタビュー

気鋭の若手ライブペイントユニットによるアットホームな展示と公開製作

poster for Whole9 “At Home”

WHOLE9 「at home」

大阪市中央区エリアにある
ディグミーアウトにて
このイベントは終了しました。 - (2014-06-20 - 2014-07-13)

In トップ記事 フォトレポート by Reiji Isoi 2014-07-09

ライブペイント、壁画制作を中心に活動するアートユニットWHOLE9による「WHOLE9 Exhibition at HOME展」が大阪心斎橋のDigmeout Art&Dinnerカフェにて開催中です。

ライブペイントとは、観客の前で公開制作を行うスタイルで、海外のグラフィティや壁画、スケートボードカルチャーの流れを汲み、近年、国内でもそのシーンが活況を呈しています。その中でも、若手実力派アーティストとして知られるWHOLE9は、国内の多くのイベント・展示会に参加するなど活動の場を拡げ、精力的に活動する3人組のグループです。

7/2(水)に行われた公開制作の様子と、メンバーのhitch氏とsimo氏へのインタビューをご覧下さい。

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ー WHOLE9結成のきっかけは?

simo:大阪芸術大学の学生の頃、デザイン学科にいたんですが、授業中ずっと落書きしてて、僕はデザインにあんまり興味ないことに気付いたんです。そんなときに、たまたま出会った気の合う仲間と遊びのノリで始めました。

ー ライブペイントという手法を選んだ理由は?

hitch:当時、先輩ライブペインターの方々の映像をYoutubeで観て、コレをやりたい!と思いました。 アトリエで制作すると仕上がった絵しか見せれない、でもライブペイントなら描いてるときもパフォーマンスとして作品として観てもらえる。そんな良いことはないと思って始めたんです。

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ー ライブペインターとして絵を描くことについて聞かせて下さい。

hitch:家で独りで描くのも好きだけど、ライブペイントの舞台はハレとケのハレの日なので、 どれだけ見栄えがするものを観客の前に出せるかというところに向かって描いていきます。仕上がりの完成度だけじゃなく、ライブペイントでは過程がすごく大事なんです。とはいえ、WHOLE9は完成度を出来る限り高めたい、短時間で質の高い絵を描きあげるということに重点を置いています。

ー 三人の画家(アーティスト)が同時に同じキャンバスに向かいひとつの作品を作ることの面白さ、難しさは?

simo:それぞれができること、できないことを分担して描くので一人じゃできない完成度の絵が描けるのは面白いです。その分全体のバランスや、それぞれに見えている完成度が一致してくるのには時間がかかったと思います。

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ライブペイントを表現手段の軸として結成されたWHOLE9ですが、今回の展示ではライブペイントではない手法で制作した作品も展示されています。いつもは壁に描くことの多いWHOLE9にとって、3人が分担して別々に小さなキャンバスに描くことは、実験的な試みだったそうです。3人がそれぞれ3枚ずつ計9枚のキャンパスを担当し、それぞれのパートを描き終えた時点で別のメンバーに渡すことで、ライブペイントと同様3人で描き出す世界観を、比較的小さい号数の(at HOMEなサイズの)キャンバスに作品として仕上げています。

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ー 今回の展示タイトル「at HOME」に込められた想いについて聞かせて下さい。

hitch:元々、WHOLE9を結成した場所である大阪は現在も僕らの拠点であり、ホームだと思ってます。そして2年前にも、今回と同じDigmeoutさんで展示をさせもらっているし、自分たちにとってアットホームな展示ということです。あんまり深い意味はないんですけど(笑)また、家に持ち帰って飾ってもらえる作品(at HOME)ということで、小さめのサイズのキャンバスに制作した作品も今回展示しています。

ー 今回のat HOME用の作品はライブペイントではないやり方で製作されたとのことですが、どんな違いを感じましたか?

simo:ライブペイントのときと違い、3人同時に描けないのでスムーズに制作が進まないのはなかなかストレスでした。僕の担当する抽象的な模様は全体的なトーンや仕上がりの方向性にわりと大きく左右します。ライブペイントでは時間の制約がある中で反射的に描いてる部分が多いですが、キャンバスで描いているとその辺のさじ加減がちょっと異なりました。

hitch:先ほどライブペイントのときは過程がすごく大事だと話しましたが、今回のat HOMEの作品のようにライブペイントではないやり方で制作するときは、とにかく仕上がりの完成度に集中し描くという違いを実感しました。

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ー ライブペインターとしてパフォーマンスするときの醍醐味は?

hitch:描いてる途中で、一見、下手な絵に見られてるかも、というときにすごく快感というかやる気を感じてます。見てる人に、「この人ちゃんと描けてるのかな」と思われてるかもしれない状況から、一気に、完成度が高いものにひっくり変える瞬間、そういうときに感じる見てる人からの反応はすごく楽しいです。

simo:僕は衝動的に描いてる事が多いので、一筆目に対して次の色はどうするか、どの画材でどういうラインを引くか、その次は〜、っていう反射の繰り返しを楽しんでます。あとはお客さんとつながれるのも大きいですね。描いてる最中にも、描き終わった後にもお客さんと話せるし、ダイレクトにコミュニケーションできる場としての良さがあると思います。

ー ライブペイントにまだ馴染みのない人に向けて、見所について教えて下さい。

hitch:ライブペイントのシーンには、本当にいろんなキャラクターのアーティストやグループがいて、単純に人前で絵が描けるという点だけでライブペイントのパフォーマンスは成立するんです。例えば、最後の10分でそれまで描いてたものを全部塗りつぶすというのもパフォーマンスとしてありなんです。アーティストやグループの個性の違いを動画や現場で観てリアルに感じとってもらえたら面白いと思います。

simo:完成した作品だけではなく、描いている過程を合間にチラッとでも見てもらえたら、時間の経過とともに変化する絵の動きを楽しんでもらえると思います。そして、現場で感銘を受けたアーティストには是非声をかけて、コミュニケーションを楽しんでもらえたらと思います。

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ー これまでにも360℃空間全体をペイントしたり、巨大バナーを手がけたりと活躍されていますが、今後どんな場所やシチュエーションで描きたいですか?また、どんなプロジェクトを考えていますか?

hitch:2つあるんですが、1つは壁画ですね。半永久的に公共空間に残る作品を描く事は、ライブペイントとは異なる魅力があります。自分はそれに向いているとも思うし、何よりやる気が出ます。もう1つはイベントです。今年の春からスタートさせたWHOLE9主催のイベント「SunnySide」を継続する事です。”party with a live paint”をテーマにしたイベントで、BBQや音楽ライブもあって、要は誰もが垣根なくちゃんとコミュニケーションがとれるお祭りを続けたいんです。次は秋にやるので、ぜひ遊びに来てください。

僕たちのアートに対するスタンスは美術館で見せるようなかしこまった姿勢ではないし、観る方もそういう人の方がマイノリティですよね。だから美術の素養なんか全く無くても楽しめる方が普通なんだと思ってます。あとは自分が納得いく絵を描き続ける事が出来ればどこで何をやることも楽しみです。

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終始リラックスした空気のなかで行われたWHOLE9のライブペイントは、観客との距離感がとても近いのが印象的でした。本インタビューもライブペイントの当日に、制作の合間に行われたものです。彼らの友人知人の他、初めての訪れる観客も含め、和気あいあいとしたオープンな制作の現場で、真っ白な2つのキャンバス上に、みるみるうちに描かれた太陽と月の作品は、彼らの製作のスピード感が力強さとなり絵に封じ込められているかのようです。

気鋭のライブペイントアーティスト「WHOLE9 Exhibition at HOME展」は、完成作品だけでなくライブペイント、そして彼らの気さくな人柄にも触れることができる貴重な機会です。是非、足を運んでみてはいかがでしょうか?

WHOLE9 -ホールナイン-
サイト:http://whole9-web.jp/
facebook:https://www.facebook.com/pages/WHOLE9/126656454104108?sk=photos_stream

ライブペイント、壁画制作を中心に活動するアートユニット。
2007年に出会った hitch / Monna太。/ simo の3人で結成し、活動を開始する。ストリートアートをベースに、スピード感のあるライブ性の高い表現を得意とし、3人で1枚の絵を描く。現代アートの複雑なコンテクストを放棄し、観る人が直感的に楽しめる力強い絵を創作する。

大阪を拠点にしながら、adidas,Redbull,SEIKO等とのクライアントワークや、RokkoSunMusic, Audioといった夏フェス出演に加え、動画制作と活動の幅を広げてきた。近年は作品発表の場と作品数を増やし、個人とグループの垣根を越えた活動を続ける。

Reiji Isoi

Reiji Isoi . 1978年生まれ。00年代前半より音楽業界を中心に写真の撮影活動を始め、音楽・美術・文芸誌に写真・インタビュー記事等を寄稿するほか、映像撮影・制作の仕事に携わる。仲間と突発的に結成した『宇宙メガネ』からも不定期に発信することがある。各地で起こる皆既日食、米国のバーニングマン、インドのクンブメーラ祭、古代遺跡でのイベントなど、津々浦々で出会う作品や表現者たちとの交流を通じ、森羅万象の片影を捉えようとカメラを携え日々撮り続けている。 http://razyisoi.jp/ ≫ 他の記事

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