KAB読みもの探訪!《第3弾》

新進気鋭のアーティストの愛読書!

In インタビュー by KABlog 2014-08-31

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本紹介インタビュー、第3回は京都在住の美術作家・大槻香奈さん。今夏は京都のGallery Nearにて、グループ展「滅んでゆく、朝焼け、いつか」展(8月1日〜13日)につづき、個展「大槻香奈実験室その1 – 16歳少女ポートレートを描く – 」展(8月15日〜27日)を行うなど、積極的に活動されています。大槻さんの描く少女の可愛くもすこし不気味な視線に、皆さんもどこかで出くわしたことがあるのではないでしょうか。

大槻香奈さんの作品は公式サイトからご覧頂けます。

Q1. 現在のお仕事や進行中の企画など、近況についてお聞かせください。

「美術作家として平面作品を中心に制作活動を行っています。少女モチーフを通して自分の感じる現代を表現しています。少女の内面感情を表現するのではなく、少女という器を使って、その時々自分の表現したい事を描いています。
最近は二ヶ月に一度のペースで展覧会を行いながら、イラストレーターとしてのお仕事もさせて頂いています。」(大槻)

関西だけでなく全国で展覧会を行っている大槻さん。また多くの書籍の装画を手がけており、本との関係も深そうです。(Chihiro)

Q2. キャリア形成において影響を受けた本や、人生の愛読書などをご紹介ください。

①藤原新也『乳の海』(朝日文芸文庫、1995年)Amazon

「本屋で偶然手に取りました。まず装幀のデザインとタイトルがいいと思ったからでした。
『乳の海』と書かれた白いカバーをめくると、松田聖子と山口百恵の写真がでかでかと載っていて、これはヤバい、何かがあるに違いないと思ったので購入しました。
内容に関しては正直どう感想を言えばいいのか分かりませんが、私もこれと似た体験をしたかもしれない、このような感覚はよく知っている(が、あえて心に留めておく必要も無い)事について書かれてあり、ただただふむふむと読むしかないのだけど、あっさりそう言ってしまっては勿体無さ過ぎるような本で、後味が奇妙です。私はこんな絵がずっと描きたいと思っています。」(大槻)

かなりインパクトの大きいタイトルですね。著者は1977年に『逍遙游記』で第3回木村伊兵衛賞を受賞するなど、写真家としても有名です。どういった物語なのかとても気になります!(Chihiro)

②谷川渥『形象と時間』(白水社、1986年 / 講談社学術文庫、1998年)Amazon

「時の流れというイメージを作品に落とし込みたいと常々考えており、そんな時に出会ったのがこの本です。とにかく谷川さんの文章は美しくて解りやすいです。時間は年々どんどん速く短くなっていき、目的達成までの時間は限りなくゼロに近づいていく……私はその事に日々疲れていましたが、この本はその感覚を論理的に分解しているように思います。よりよく生きる事についてじっくり考えるきっかけを与えてくれました。
日常の中でふと何気なく読んでみると、毎度新しい発見があります。深いです。」(大槻)

美学者として著名な谷川渥さん。造形芸術において時間がどのように作用するのかなどについて、骨董や廃墟をとりあげながら論述しています。谷川さんの文章はとても理解しやすく、一般の方にもオススメの美学書です!(Chihiro)

③林芙美子『放浪記』(新潮文庫ほか)Amazon

「古本屋で、表紙が布で出来ていて活版印刷の素敵なデザインのものがあったので買いました。この本に限っては、大量生産された新品の本ではどうしても駄目だったのです。
実は私はこの本を一度も読み切った事がないのです。日本語がとにかく美しいと思います。その事に感動できる本にはなかなか出会えないと思うと、勿体無くて読み進められないのです。
いつもこの本を読む時は、どこか中途半端なページを開いて、そこから3ページほど読みます。そして閉じます。たぶんこれからも読み切らないと思います。」(大槻)

林芙美子の代表作である本書は、著者の自伝的作品でもあります。様々な出版社から文庫などが出されている名著ですが、大槻さんが手に入れた一冊のように、個性的な装幀のものもあるのですね!日本文学のなかで長く愛されている一冊です。(Chihiro)


Q3. よく行く書店や、ご利用されるネット書店についてご紹介ください。

「本屋自体が好きなので、街で見つければだいたいどこにでも入ります。最近は京都一乗寺の恵文社さんに、カラーブックスシリーズをよく買いに行っています。恵文社さんは新しい本から古い本までジャンルを問わず色々あって、行くだけで幸せな気持ちになれるのが良いです。
京都は古本屋が多いので、とりあえず入って、変なタイトルのものを買ってみる事が多いです。時々、誰にも解読出来ないような、変としか言いようのない本に出会ったりします。Webで検索してもいっさい情報が出てこない、それでいてちょっと良い本を探しています。」(大槻)

古本屋さんの雰囲気と、店内で本を探すときの宝探しのような感覚は私も大好きです。古本屋さんのなかにも、品揃えの豊富なところから特定のジャンルに強いお店など様々あるので、自分のお気に入りの書店を探しにいくのも楽しいかもしれません。(Chihiro)

本の内容だけでなく、装幀などビジュアル面にもこだわって本を探している大槻さん。大槻さんの作品の中にも、本から得たイメージが少なからず反映されているのかもしれません。
大槻さん、ありがとうございました!

[KABインターン]
渡辺千尋:兵庫県生まれの瀬戸内海育ち。大学院でフランス近代美術を研究中。現代のアートマーケットの仕組みに関心があります。アートとサッカーをこよなく愛しています。

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