六甲ミーツ・アート 芸術散歩2014

これからの時期が本番!六甲山の自然とアートをまるごと楽しめる、体感型イベント

In フォトレポート by Chiaki Ogura 2014-10-24

今年も、「六甲ミーツ・アート 芸術散歩2014」が兵庫県神戸市で開催されています。舞台は、深まる秋を体感できる自然いっぱいの六甲山上の9会場。総勢42組の作家が展示やワークショップ、パフォーマンスなどを繰り広げます。お散歩気分で六甲山を周遊しながら楽しんでほしい、そんな現代アートの展覧会です。豊かな自然にインスピレーションを感じてつくられた作品は、各会場の立地や条件を最大限に活かしています。各会場ごとに、少しずつ作品を紹介します。

六甲ケーブル

六甲山の麓にある六甲ケーブル下駅から、展示は始まります。ケーブルカーに乗って、六甲山上駅までの車窓を楽しみながら、車内に流れる映像作品にもぜひ注目してください。摩訶不思議な物語の登場人物になって、芸術散歩のスタートです。

六甲山カンツリーハウス
展覧会の醍醐味ともいえる、芝生が広がるピクニックエリア。レストランやテイクアウト店もあり、芝生の上でお弁当を広げてのんびりピクニックもできます。この場所は、大型の野外展示がメインとなり、実際に体感できる作品もあります。

招待作家の中出武彦さんの作品は、実際に乗ることができる木製のケーブルカー。シャッタースポットである作品の正面にカメラマンが立つと、備え付けられた鏡に自身の姿が映るという遊び心も。使用している木は中出さんの自宅のベランダから調達したもの。変わりやすい山の天気、雨がたたきつける中での制作作業もあったという制作秘話まで。(乗車体験の日時は公式webサイトを参照)

小川泰輝さんは大きく二股に分かれた松の木に着目した作品を制作。橋を利用して「こちら側」と「あちら側」という境界線を表現しており、建築物が担っている”場所を繋ぐ”という役割りについて考え直させるものでもあります。橋を渡ってみると、風景が変わるのも体験してほしいです。(体験の日時は公式webサイトを参照)

六甲山ホテル
昭和4年に開業した「六甲山ホテル」は、山の上の自然豊かなリゾートホテル。標高768mの”緑のオアシス”とも呼ばれ、神戸の街が一望出来ます。レトロな趣を残した雰囲気のある館内のあちこちで、いろいろなアートが発見できます。

登り階段の途中で発見できる、ダイナミックで色鮮やかな、鴻池朋子さんの作品。ホテルに飾られている鹿の剥製周囲に広がる牛革にクレパスで描かれた絵画作品。ホテルのシンボルとして飾られている鹿は、実際には六甲山に生息していないという事実に、鴻池さんは着目しました。自然界に人間が入ってくることで、現実との差異が生じてしまう、そのような過去と現在の境界線のひずみを表現しているそうです。ちなみに、使用した牛の革は、3.5頭分だそう!

ホテルの駐車場に出て、少し歩くと、緑の木々に隠れた池を発見することができます。Hidemi Nishidaさんの作品が目に飛び込んできた瞬間、その佇まいに思わず息をのみました。池に置かれたテーブルとイスの姿が、水面に反射し、作品の存在感と周りの静けさを強調しています。夜はライトアップの効果で、さらに雰囲気のある姿を見せてくれるはずです。

六甲オルゴールミュージアム
ヨーロッパやアメリカの様々なオルゴール、世界最大級のダンス・オルガンなどの自動演奏楽器が展示されるミュージアム。館中は、いつも柔らかい音で溢れています。

今年、お亡くなりになった國府理さんの過去作品が特別展示されています。昨年2013年のメインビジュアルの制作も勤められ、六甲ミーツ・アート 芸術散歩にも、初回から参加するなど関わりが深い方だったそうです。過去作品のドローイングや制作中の映像などを見ながら、過去の六甲ミーツ・アート 芸術散歩を振り返ることもできます。

六甲オルゴールミュージアムから六甲高山植物園に向かう遊歩道を進むと、鈴の音が聞こえてきます。今年の公募大賞「グランプリ」を受賞した、竹久万里子さんの作品「たまゆら」です。木で造られた橋が続く遊歩道を囲むように立っている木々の枝に小さな鈴が連なっています。どこまでも続くかのように思えてしまうその景観。風が奏でる音色を楽しみながら、ぜひ歩いてみてください。

六甲高山植物園
会場の中で最も四季折々の景色が楽しめる「六甲高山植物園」。季節の移ろいによっておこる作品の表情の変化は、野外展示の醍醐味といえるでしょう。

甘い香りに包まれたガラス室の中には、ウェディングパーティが繰り広げられているかのような華やかな空間が広がっています。西山美なコさんの「〜melting dream〜」は、次第に朽ちていく美しさの変化の過程を表現しています。砂糖で作られたこの”バラのような花”は、600〜700個。この美しい空間の様子が、会期中にどのように変化していくのか・・楽しみですね。

菅野麻衣子さんは、六甲の水の美味しさに注目。動植物や水道管など、水を通すものの形をイメージした木製の作品は、雨が降ると木を伝って水が流れます。この植物園の場所に溶け込んでいるその姿は、なにか神聖なエネルギーすら感じさせます。そのフォルムは、女性の体をもイメージさせるような滑らかな曲線を描いています。

六甲ガーデンテラス、自然体感展望台 六甲枝垂れ、六甲有馬ロープウェー(六甲山頂駅)

眺望を楽しめる「六甲ガーデンテラス」は、夜景の名所としても人気のスポット。夜でも観賞できる作品もあり、1000万ドルの夜景と一緒に楽しめそうです。今回から新たな会場となった”六甲有馬ロープウェー(六甲山頂駅)”では、不気味な可愛さが人気の、加藤泉さんの作品が見られます。

六甲山の青い空をバックに、巨大なオブジェが目に飛び込んできます。「もんもん」「憧れ」「劣等感」などの単語が、縄文のモチーフが刻まれた躯体から飛び出ています。躯体の中には、一見サンドバックのような太鼓が置かれており実際にたたくことができ、古代から現代へのコミュニケーションや情報伝達の変化を、感覚的に表現しています。作品名にもユーモアが効いた、遊び心のある佐川好弘さんの作品です。

明治期から六甲山はリゾート地として開発されてきました。市街地へのアクセスもよく、足を運びやすい六甲山は、登山やゴルフなどのレジャーを楽しむ人にも長年親しまれています。眼下に海を臨めるロケーションと自然、という地の利を存分に活かした六甲ミーツ・アート 芸術散歩2014。五感を開いてシンプルに楽しめるアートたちと一緒に、六甲山をいつもと少し違った角度で楽しんでみませんか。

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六甲ミーツ・アート 芸術散歩2014
会期:2014年9月13日(土)〜11月24日(月・休)会期中無休
開催時間:10:00〜17:00
(会場により21:30、土日祝は22:00まで鑑賞できる作品あり)

会場:六甲ガーデンテラス、自然体感展望台 六甲枝垂れ、六甲山カンツリーハウス、六甲高山植物園、六甲オルゴールミュージアム、六甲山ホテル、六甲ケーブル、天覧台、六甲有馬ロープウェー(六甲山頂駅)

料金:大人(中学生以上)1,850円
   小人(4歳〜小学生)930円

http://www.rokkosan.com/art2014/

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Chiaki Ogura

Chiaki Ogura . 岡山県出身。広告代理店・広報部にて勤め、現在はフリーライター・フォトグラファーとして活動中。ジャンルは幅広く、雑誌やWEB媒体などで執筆。ベンシャーンやアンディ・ウォーホルに感銘を受け、アートの世界に。ギャラリーや美術館の空間をこよなく愛する。作品を目の前にしたときの、右脳がぐらっと動かされる感覚がたまらない。comocomo.cafe ≫ 他の記事

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