CODE:「私たちの時代の言語」展

最先端のメディアアートに触れる!アートとテクノロジーのクリエイティブ施設「アルスエレクトロニカ」とナレッジキャピタルのコラボレーション。

In ニュース by Chiaki Ogura 2014-11-25

今回、グランフロント大阪内にあるナレッジキャピタルとコラボレーションする「アルスエレクトロニカ」は、オーストリア・リンツに拠点を置くクリエイティブ文化機関です。メディアアートの世界最高峰の機関とも呼ばれています。機関の中には、アート、テクノロジーや社会をテーマに行われる「アルスエレクトロニカ・フェスティバル」の他、美術館・科学館としての「アルスエレクトロニカ・センター」、メディアアートの最先端コンペティションである「プリ・アルスエレクトロニカ」、「フューチャーラボ」の4部門があり、デジタルアートとメディアカルチャーの分野で、国際的拠点を築いてきました。

今回のテーマは、CODE:「私たちの時代の言語」。コンピュータープログラム言語である「CODE」を用いた作品展示とプログラムが、展開されています。現在、コンピューターテクノロジーの発達は、めまぐるしいものがあります。プログラム言語の「CODE」が、新しい世界を創り、私たちはその中で生きているといっても過言ではないでしょう。そんな情報社会の共通言語となりつつある「CODE」について、考えてみる機会となりそうです。

世界的アーティスト2組による作品展示が、4点展開されています。ゴラン・レヴィン氏は、エレクトロニック・アートの第一人者。ハイテクノロジーのリサーチ環境に身を置き、アーティスト、エンジニア、そして研究者として多くの肩書きを持つ方です。

「Eyecode」は、「双方向」に、情報をやり取りをするという、 デジタルメディアの持つ基本的な機能を問いかける作品。画面に表示されている目を見つめ、瞬きをすると、見つめている間に記録された、自分の目の動画が記録されます。そして、見つめていた目の動画と入れ替わります。目は対人コミュニケーションをする上で重要な役割りを果たしています。このような行動記録の集積から、コミュニケーションのあり方を視覚的に表しています。

「Eidola」は、世界初公開の新作です。幻と名付けられたこの作品は、「見る」という行為を哲学的に捉えたものでもあります。構想自体は10年前からあったものが、この度完成。視線でコンピューターを操作できる技術を用い、画面上に「視線の軌跡」を生み出します。まるでドローイングのような作品です。

もう1組のアーティストは、エキソニモという、千房けん輔と赤岩やえによるアートユニット。デジタルとアナログ、ネットワーク世界と実世界を柔軟な切り口で捉えた、実験的なプロジェクトを数多く手がけています。

「インターネットヤミ市」のドキュメント映像を上映する作品。「インターネットヤミ市」とは、インターネットをテーマにしたフリーマーケット形式のイベントです。「インターネットに関すること」のアイデアを出展者が持ち寄り、それらを形にして実際に販売します。Twitterでのツイートからインスピレーションを受け、人が140文字の言葉を発する、”リアルツイート”や、人が人に付いて歩く”リアルフォロー”など、ユニークな出展ばかり。これらのコミュニケーションと商品は、現在のインターネット社会の問題や可能性を浮き彫りにしてくれます。

「ANTIBOT T-SHIRTS」は、コンピューターに解読不能な文字コード「CAPTHA」のグラフィックをTシャツ化するプロジェクトです。解読不能なコードを、”おしゃれな”デザインとして取り扱うという、一見奇妙な行為。情報監視社会の中での、人間らしさとは何かを問いかけるものです。

アーティストやクリエイターが「CODE」を用いて生み出してきた世界を、アルスエレクトロニカの歴史と参照しながら見つめ直し、これからの「CODE」と「社会」、そしてクリエイターの役割りについて議論する場となりそうです。今後も国内外のトップアーティストが参加し、作品展示やワークショップ、トークセッションも定期的に開催していく予定だそう。これからも注目していきたい企画です。

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【概要】
ARS ELECTRONICA in the KNOWLEDGE CAPITAL vol.01
CODE:「私たちの時代の言語」展
期間:2014年11月6日- 2015年1月25日
会場:グランフロント大阪 北館ナレッジキャピタル「The Lab. みんなで世界一研究所」2階
http://kc-i.jp/arsinkc/
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Chiaki Ogura

Chiaki Ogura . 岡山県出身。広告代理店・広報部にて勤め、現在はフリーライター・フォトグラファーとして活動中。ジャンルは幅広く、雑誌やWEB媒体などで執筆。ベンシャーンやアンディ・ウォーホルに感銘を受け、アートの世界に。ギャラリーや美術館の空間をこよなく愛する。作品を目の前にしたときの、右脳がぐらっと動かされる感覚がたまらない。comocomo.cafe ≫ 他の記事

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