奈良県にある喜多美術館は、故喜多才治郎氏が長年にわたって蒐集した西洋近 ・ 現代美術を展示・保存する美術館として1988年に開館された。
若手作家の発表の場として1999年に建設された新館では、浦野みおによる個展「ニッカ + 」が3月29日(日)まで開催されている。
京都在住で奈良県出身のアーティスト、浦野みお。タイトルの「ニッカ + 」は、作家の日常である「日課」とそこにプラスして起こる特別な出来事を意味しており、本展ではアイカラーやサンドイッチといった日常の中にある「お気に入り」を描いている。
キャンバスいっぱいに描かれたカステラは、あまりの直球さに「抽象画ですか?」と尋ねられたこともあるらしい。
こちらは、桜の花びらが付いたポストの可愛らしさに感動して描いたという作品。
浦野みおの作品は、日常にある近すぎて見えにくいものへの愛情や小さな感動が描かれている。シンプルで大胆な構図だが、目を凝らすと何色も塗り重ねられた色彩の深みや、繊細な輪郭線が浮かび上がる。足しすぎず、引きすぎず。鑑賞者との駆け引きを楽しんでいるようにも見える。
本展と合わせて、本館常設展のウォーホルやボイス、デュシャンといった現代美術の巨匠の作品も合わせてお楽しみいただきたい。故喜多才治郎氏が「本館常設展の作品を鑑賞した目で、新進気鋭の作家の作品を観てほしい 」 というように、脈々と流れるアートの歴史を体感してほしい。
[開催概要]
浦野みお「ニッカ+」
2015年1月30日(金)~3月29日(日)(月曜日・木曜日は休館)
10:00~17:00 ※入場は16:30まで
会場:喜多美術館
観覧料:
大人 800円
高校生・大学生 700円
小学生・中学生 200円(ただし、保護者同伴)
[KABライター]
谷仲恵美 megumi yanaka
1984年生まれ。同志社大学経済学部卒業。広報関係の会社に6年間勤務し、オフィシャルブログやホームページの仕事に携わる。その他セミナー講師なども経験。退社後はKansai Art Beatにインターンとして在籍し、現在はギャラリーに勤務。