Erosion/Transfiguration-侵蝕と変容の先の関係性へ-

空間を生き物と捉えた、訪れる度に変化を見せる展覧会

poster for Erosion/Tranfiguration— Beyond Their Relativity

「Erosion/Tranfiguration - 侵蝕と変容の先の関係性へ - 」

京都市北区エリアにある
瑞雲庵にて
このイベントは終了しました。 - (2015-04-12 - 2015-06-14)

In フォトレポート by Chiaki Ogura 2015-05-02

「侵蝕と変容の先の関係性へ」という、興味深いテーマを軸に置いた展覧会が開催されています。会場は、京都の上賀茂地区にある「瑞雲庵 zuiun-an」。歴史的な旧家や蔵が多く残る風情ある町並みをもつ閑静な住宅地のなかにある、築100年以上の木造2階建ての民家と蔵からなる建物です。この京都らしい「伝統と革新」を体現した場所をまるごと使って、どんな展示がなされるのでしょうか。

「私たちは、この場所を生命環境だと例えています」とお話してくださったのは、キュレーターの日田直希さんと酒井俊明さん。
「生物は、お互いが干渉し合うことによって、新たな種別が生まれたり、片方が消滅してしまったりします。対立と共生の中で、どう新たな環境が生まれるのかを、アートという表現方法で実験する場にしたいと考えています。そのため、今回は、first part(第1部)とsecond part(第2部)に分けることにしました。第1部 では、各部屋で作家さんの個性が発揮される展示となっています。second part(第2部)では、第1部での展示経験を経たうえで、作家さん同士がコラボレーションし、新たな展示を生み出します。コラボレーション相手を決定するのは、第1部が終わってから。作家さん同士がコミュニケーションをする場も設けた上で決定します。また、”突然変異を起こすミュータント”という外部要因的な意味合いで、第2部から新たな作家さんを4組追加します。どんな関係性が生まれ、またそれがどう作品に落とし込まれるかを、僕たち自身も期待しています」

テーマでもある侵蝕と変容という言葉。侵蝕とは、外から内部を蝕んでいくイメージで、変容というのは、外部の力をうまく内部に取り込み、能動的に変化するイメージだそうです。作品が影響し合い、何らかの形で変化していく。この空間で行われている全ての行為自体が、作品です。近寄ったり、覗き込んだり、静かに見つめてみたり、様々な行動を起こしながら鑑賞することで、作品を通して新しい世界が見えてきそうです。

お茶室や庭、屋根裏部屋や蔵など、12に分かれた空間で展開。それぞれの作家たちが扱う素材は、陶器や鉄、柔らかい素材や電気など、多岐にわたっています。大きな立体作品から小さく繊細な作品、映像インスタレーションまで、空間ごとにそれぞれ異なった世界が表現されています。

「それぞれの部屋を、いかに魅力的な空間に彩るかにもこだわりました。会場は、なるべく多くの作家さんを混ぜて込んだ、”おもちゃ箱”のようなイメージです。触れる作品や中に入って体験できる作品、または、触るだけで壊れてしまうような繊細な作品まで様々あります。美術館のように見るだけではない、遊べる要素をたくさん混ぜ込んでいます。第1部、第2部と変化する部分を見比べてみてください。展覧会に来てくださった方には、ぜひ遊び疲れて帰ってもらいたいです」

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【概要】
Erosion/Transfiguration-侵蝕と変容の先の関係性へ-

展示期間
irst part:2015年4月12日〜5月5日(期間内の土日祝のみ)
second part:2015年5月17日〜6月14日(期間内の土日祝のみ)
11:00〜18:00
※上記以外の日時は予約制となります。(希望者多数の場合のみ)

展示会場
瑞雲庵
〒603-8074 京都市北区上賀茂南大路町62-1

公式サイト
http://zcap2015.red
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Chiaki Ogura

Chiaki Ogura . 岡山県出身。広告代理店・広報部にて勤め、現在はフリーライター・フォトグラファーとして活動中。ジャンルは幅広く、雑誌やWEB媒体などで執筆。ベンシャーンやアンディ・ウォーホルに感銘を受け、アートの世界に。ギャラリーや美術館の空間をこよなく愛する。作品を目の前にしたときの、右脳がぐらっと動かされる感覚がたまらない。comocomo.cafe ≫ 他の記事

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