堂島リバービエンナーレ2015〜”Take Me To The River”同時代性の潮流〜

今週8月30日(日)まで!グローバル化した現代を、流動する川に例える。

poster for Dojima River Biennale 2015: Take Me To The River - Currents of the Contemporary

「堂島リバービエンナーレ2015 『Take Me To The River - 同時代性の潮流 - 』」

大阪府(その他)エリアにある
堂島リバーフォーラムにて
このイベントは終了しました。 - (2015-07-25 - 2015-08-30)

In フォトレポート by Chiaki Ogura 2015-08-27

2015年で4度目となる「堂島リバービエンナーレ2015」が開催中です。国内外から注目のアーティスト15組が大阪に集結しています。今回のテーマは「Take Me To The River〜同時代性の潮流〜」。現代における「流れの空間性」と、そこに現れる変容と交換を探ることがテーマの本意となっています。アーティスティックディレクターのTom Trevor(トム・トレバー)は、「今日の世界は、多様にグローバル化している。人と社会との関わりにおいて固定された場所よりも、”時間の流れ”がますます重要となってきている。それは現代のネットワーク社会でも明らかになっている。常に流転し続けながら、流動するものの本質を「川」という比喩を用いて表現したい。」と話しています。

会場は4つのフロアに分かれていますが、順路は特に決まっていないので、自由に自分の感情に従って巡るのがいいでしょう。

まず会場に入って左側、ポップなカラーで彩られた赤と白のストライプの家が見えてきます。

1967年に関西で結成されたPLAYの行為は、「理由がなく」「野外を舞台にし」「ただ開放された永遠の時間と空間のみ」を求めるものです。展示されている家型の舟は、1972年に大阪湾を目指し5日間川の上で旅をしたパフォーマンスを再現したもの。目的・結果があやふやであることをも肯定した、実験的な行為です。

今回、必ず鑑賞者の記憶に残ることでしょう、関西の展示としては最大のインスタレーションを行ったのは、パリを拠点に活動する池田亮司です。

昨年11月『Red Bull Music Academy presents test pattern [n° 6]:Ryoji Ikeda』で、話題になったことも記憶に新しいですね。今回の彼の作品『date.recture[3 SXGA + version]』は、電子的な音源やデータを映像プロジェクションにて可視化し、約22×11mの暗闇空間で表現しています。鑑賞者自体がそのデータの川に巻き込まれるような感覚に陥ります。

ピーター・フェンドは、日本の周辺の海域や黒潮、親潮などの潮流をモチーフにした新作を展示しています。

彼自身が手がける作品で特徴的なのは、エコロジーに対する視点が、陸地ではなく、海洋構成を中心に捉えている部分です。陸地と海面を入れ替えるという逆の視点で世界を眺めることにより、人間中心の世界観を大きく揺らがせてくれます。
私たちが当たり前のように捉えている「国」という概念がなくなるでしょう。

会場を隣の施設に移って4階へ。映像作品が中心に展開されています。

フェルメール&エイルマンスは、芸術と建築、経済の間の力学に焦点を当てた活動を行っています。

映像インスタレーション作品『マスカレード』では、経済と現代美術の世界における「価値」の概念を考察するものです。アートの原理は経済と同様で、信用を基盤とした一つの制度であり、マーケットはその信用が実践として機能する場所であります。では、アートの価値とは何なのか?という本質に訴えかける作品となっています。

メラニー・ギリガンの映像作品『コモンセンス』では、テクノロジーや経済がいかにして日常の相互作用や人間関係を手段化しているかを描いています。

物語の中に出てくる、「パッチ」と呼ばれる空想上の未来テクノロジーは、他社の身体的感覚や感情を直接的に経験することが可能になる人工器官です。この「パッチ」を介して、現代における私たちとスマホやIphoneなどのテクノロジーとの関係性を取り上げ、それらが私たちの意識や身体、資本主義経済において生きることに大きな影響を及ぼしていることについて問題提起するものです。

これらの個々のアーティストの主観的で多様な目線が、現代の新しい状況においてどのように機能していくのでしょうか。この展覧会はそういったものの見方を、私たちに喚起させてくれるものであります。この週末に駆け込みでも行って欲しい展覧会です!

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(※1)
Ryoji Ikeda

data.tecture [3SXGA+ version]
audiovisual installation, 2015

© Ryoji Ikeda

concept, composition: Ryoji Ikeda
computer re-programming: Tomonaga Tokuyama, Norimichi Hirakawa
original computer programming: Shohei Matsukawa, Norimichi Hirakawa, Tomonaga Tokuyama
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【概要】
堂島リバービエンナーレ2015
開催期間:2015年7月25日(土)~8月30日(日)
開催場所:堂島リバーフォーラム
住所: 大阪市福島区福島1-1-17
開館時間:10:00~19:00 (入場18:30まで)
観覧料:個人 一般 1000円、高校・大学生 700円、小・中学生500円

公式サイト)
http://biennale.dojimariver.com/
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Chiaki Ogura

Chiaki Ogura . 岡山県出身。広告代理店・広報部にて勤め、現在はフリーライター・フォトグラファーとして活動中。ジャンルは幅広く、雑誌やWEB媒体などで執筆。ベンシャーンやアンディ・ウォーホルに感銘を受け、アートの世界に。ギャラリーや美術館の空間をこよなく愛する。作品を目の前にしたときの、右脳がぐらっと動かされる感覚がたまらない。comocomo.cafe ≫ 他の記事

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