ヴォルフガング・ティルマンス Your Body is Yours

日本では11年ぶりの大規模個展。写真を三次元にデザインする、ヴォルフガング・ティルマンス

poster for Wolfgang Tillmans “Your Body is Yours”

「ヴォルフガング・ティルマンス Your Body is Yours」

大阪市北区エリアにある
国立国際美術館にて
このイベントは終了しました。 - (2015-07-25 - 2015-09-23)

In フォトレポート by Chiaki Ogura 2015-08-12

ドイツ出身の写真家ヴォルフガング・ティルマンスの大規模な個展「ヴォルフガング・ティルマンス Your Body is Yours」が、国立国際美術館で開催されています。日本の美術館では11年ぶりとなる個展は、巡回展示ではなく、ここ国立国際美術館のみで行われます。日本初公開を多数含む写真と映像によるインスタレーションとなっており、今回は、日本ではあまり見る機会のない映像作品2点を含めた、写真展示と資料展示で合計約200点近くが展示されています。

ヴォルフガング・ティルマンスは、ベルリンとロンドンを拠点に90年代から現代写真表現で注目を浴び続けている写真家です。雑誌『i-D』や『Interview』の掲載でもよく知られています。2000年にターナー賞を受賞、その後も世界各国で大規模な個展を行っており、2015年には、ハッセルブラッド財団が写真界に多大な功績を残した写真家に贈るハッセルブラッド国際写真賞にも選ばれています。

ティルマンスが撮影対象とするモチーフには、街頭の若者や友人のポートレート、セクシュアリティやジェンダーなどの政治的、社会的問題などが見受けられます。特徴的なのは、被写体として私的な部分と社会的な部分が混在しているものが多く取り上げられているところ。日常生活のふとした場面や世界中で起こっている現実が、彼のレンズとフィルターを通して表現されています。

彼は話します。「私は写真家であることに誇りを持っている。物心ついた頃から、様々なアート活動をしてきた。音楽も作ったし、絵も描いたし、コピーも書いた。けれども19歳くらいのときに写真に出逢ってから、”レンズを媒介にして今の時代を生きていることを表現すること”が、自分に一番適している表現だと感じた。アナログ・デジタルと様々に写真メディアが変容している中でも、私はこの約25年間、常に新しい可能性を感じることができている。写真は自分にとって最も素晴らしい表現方法だ。」

ティルマンスの展覧会の醍醐味といえば、彼自身が手がける展示空間です。会場の空間全体のバランスや配置にこだわり、今回も全てのレイアウトに携わっています。尽きないアイデアのため、制作段階では日々配置が変わることもあったそうです。彼がデザインする展示空間は、まるで編集された雑誌のよう。部屋ごとにテーマが感じられ、サイズの異なる写真を額縁を施さずにそのまま自由に展示するスタイルは、まさに美術館自体がまるごとインスタレーションとなっています。

「Your Body is Yours」というサブタイトルには、あえて邦題訳がつけられていません。それは、お客さん自身でどういう意味なのかそれぞれの言葉で翻訳して欲しいからだそうです。作品を鑑賞するときには、ぜひできるだけ近づいて、右から左からと向きを変えて見て下さい。色や視点が変わることで、また新しい気付きを楽しめるはずです。
”プライベートも表現も、全て自由にやってもいいんだということを感じて欲しい!”という彼の意図も伝わってくるでしょう。ぜひ、実際にご自身の身体でティルマンスの表現する世界観を体感してみてください。

※画像は全て、Wolfgang Tillmans / Courtesy of Wako Works of Art,Tokyo
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【概要】
ヴォルフガング・ティルマンス Your Body is Yours
開催場所:国立国際美術館
開催期間:2015年7月25日(土)~9月23日(水)
開館時間:10:00~17:00 (入場は閉館の30分前まで)
※金曜日のみ19:00まで
観覧料:個人 一般 900円(600円) 大学生 500円(250円)
※()内は20人以上の団体料金。
※高校生以下・18歳未満、心身に障害のある方とその付添者1名無料。(証明できるものの提示必須。)
※同時開催の「他人の時間」展も観覧する場合は共通チケットの販売も有り。(個人・一般のみ1,500円)

【問い合わせ先】
国立国際美術館/大阪府大阪市北区中之島4-2-55
TEL:06-6447-4680
(公式サイト)
http://www.nmao.go.jp

(ヴォルフガング・ティルマンス公式サイト)
http://tillmans.co.uk
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Chiaki Ogura

Chiaki Ogura . 岡山県出身。広告代理店・広報部にて勤め、現在はフリーライター・フォトグラファーとして活動中。ジャンルは幅広く、雑誌やWEB媒体などで執筆。ベンシャーンやアンディ・ウォーホルに感銘を受け、アートの世界に。ギャラリーや美術館の空間をこよなく愛する。作品を目の前にしたときの、右脳がぐらっと動かされる感覚がたまらない。comocomo.cafe ≫ 他の記事

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