滋賀県立陶芸の森 特別企画「土・祈り・イマジネーション・・・岡本太郎の言葉とともに展」

岡本太郎と信楽、陶芸にとらわれないやきものの世界

poster for Clay and Imagination from Six Sections - Okamoto Taro’s Writings

「土・祈り・イマジネーション・・・岡本太郎の言葉とともに」展

滋賀県エリアにある
滋賀県立陶芸の森にて
このイベントは終了しました。 - (2015-06-14 - 2015-09-23)

In フォトレポート by Reiji Isoi 2015-09-10

古くから陶器の名産地として知られる信楽にある、滋賀県立陶芸の森で「特別企画 土・祈り・イマジネーション・・・岡本太郎の言葉とともに」展が開催中です。

本展示は6章立てで、前半は、岡本太郎が制作した陶芸作品をはじめ、
氏が撮影した写真とその被写体である縄文土器の実物を並べた展示や、南太平洋パプアニューギニアの現地住民の生活に根ざした土器を紹介するコーナーで構成され、プリミティブな力強いやきものの美を紹介しています。

後半は、甲賀市の小学生やアールブリュットの作家たちが自由に土とふれあいながら、こころのままに制作したユニークな陶芸作品、そして現代芸術家による土や火の特徴を自由な表現へと昇華させた想像力あふれる陶芸作品の数々を紹介しています。

美術館のある信楽(滋賀県)と岡本太郎とのかかわりは、1970年の大阪万博のために制作された太陽の塔の背面《黒い太陽》《坐ることを拒否する椅子》などの作品制作などで知られています。岡本太郎は、社会へ開かれた芸術への想いから、一般大衆にじかに接する芸術作品を実現しようと陶芸での量産を試み、常滑、刈谷、多治見、信楽などの窯場と制作を通じて交流するほか、文章でも陶芸の魅力を伝えています。

また、岡本太郎について、1930年代のパリ滞在中、多くの前衛写真家らと交流を持ち、自らも写真制作に熱中したことや、マルセル・モースに師事し民族学を学んでいたことなど、多方面にわたる創作活動の一面や、そうした経験により培われた芸術への深い洞察に溢れる力強い言葉も数多く紹介しています。

「モノになろうがなるまいが、気にしないでどんどん作る。いま触れている土と、瞬間にわきあがる情感が無条件にぶつかりあうのだ」「私のやきもの讃歌」岡本太郎、雑誌『太陽』No.292、平凡社、1986

「いわゆる美術作品がごく狭い趣味人やコレクターだけの愛好物であるのは面白くない。何とかそんな枠をのり超えて、一般大衆にじかにぶつかる、社会にひらかれた芸術を実現したい」「私のやきもの讃歌」岡本太郎、雑誌『太陽』No.292、平凡社、1986

「人間文化には、根源の時代から、儀式があり、祭りがあった。・・・全体がからみあって生活のシステム、一つの有機体となっている。物として残されたもの、色とか形は、その生きた全体の一部であったのだ」『美の呪力』岡本太郎、新潮社

「表現欲というのは一種の生命力で、思いのほかに激しいものです。このことは、子どものばあいなどを見ると、ひじょうによくわかります」『今日の芸術ー時代を創造するものは誰か』岡本太郎、光文社

「滋賀県に一麦寮という精神に障害を持った人たちの施設がある。ここの人たちの作るやきもののユニークな面白さ。まったく人の目なんか気にしていない、平気で、やりたいほうだいやっている、その平気さにひきつけられる」「私のやきもの讃歌」岡本太郎、雑誌『太陽』No.292、平凡社、1986

「アッと嬉しくなってしまう。奇想天外の、自由な表現だ。生命感をパッと、平気で世界にひらく、型破りの純粋さ。無条件に生きる芸術」岡本太郎『遊戯焼』帯、柏樹社、1981

古来より人間の営みのなかで産まれた土と火の芸術は、国や時代、領域を超えて作り手たちのイマジネーションを刺激します。岡本太郎を通じて知る、陶芸という形式にとらわれることのない、やきものの魅力を、是非この機会に鑑賞してはいかがでしょうか?

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滋賀県立陶芸の森 特別企画
「土・祈り・イマジネーション・・・岡本太郎の言葉とともに」展
http://www.sccp.jp/

会期 平成27年6月14日(日)~9月23日(水祝)
料金 一般600円(480円)、高大生450円(360円)中学生以下無料( )内は20名以上の団体料金

Reiji Isoi

Reiji Isoi . 1978年生まれ。00年代前半より音楽業界を中心に写真の撮影活動を始め、音楽・美術・文芸誌に写真・インタビュー記事等を寄稿するほか、映像撮影・制作の仕事に携わる。仲間と突発的に結成した『宇宙メガネ』からも不定期に発信することがある。各地で起こる皆既日食、米国のバーニングマン、インドのクンブメーラ祭、古代遺跡でのイベントなど、津々浦々で出会う作品や表現者たちとの交流を通じ、森羅万象の片影を捉えようとカメラを携え日々撮り続けている。 http://razyisoi.jp/ ≫ 他の記事

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