Nuit Blanche (ニュイ・ブランシュ) KYOTO 2015

白夜という一夜の熱にうなされて

In フォトレポート by Chisai Fujita 2015-10-19

秋になると各地で、アートイベントが行われている。年々加速的に増えていくアートイベントがあるなか、京都ではフランスのパリと姉妹都市であることから、日仏の現代アートの祭典「Nuit Blanche 2015」が、去る10月3日に開かれた。一夜限りのこの「Nuit Blanche 2015」では、京都市内の美術館、ギャラリーなど40近くの会場で、現代アートや今年のテーマである「ファッション」による展覧会、パフォーマンスを見ることができた。

■京都国際マンガミュージアム

今年のプロジェクションマッピングは、高木正勝。

反対車線の歩道を歩く人たちも「あれは何」と口にするほど、目立っていた。

■京都芸術センター

9月9日から10月18日まで開催の「パラレルワールド または私は如何にして世界を愛するようになったか」展を夜10時までオープン。さらにNuit Blancheを中心にした前後数日間、特別なインスタレーションを公開した。

フリースペースにあったのは、EUGENE KANGAWA Special Installation。真っ暗の空間が広がり、床に水を張った。壁面に置かれたモニターからは映像が流れ、独特の世界観を体感することができた。

また、茶室では、ピエール=ジャン・ジルー Special Installationを展示。飛行船のようなオブジェが高層ビルをかいくぐっていく映像作品の中に、吸い込まれそうになってしまう。

■アンスティチュ・フランセ関西

ガーデンには、毎年恒例となった京都造形芸術大学マンデイプロジェクトの「京造ねぶた」が置かれていた。館内では、「コシノヒロコ+circle side展」を夜中1時までオープンしただけでなく、時間帯によってダンスや音楽によるパフォーマンスを見ることができた。

■京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA

展覧会だけでなく、ライブパフォーマンスも見ることができた。とても会場が混んでおり、アーティストの人気の高さを知ることができた。

このように京都市内のアート系の施設では、Nuit Blancheのときにしか見ることができない展示やパフォーマンスが行われた。だいたい夜7時から9時に集中していたが、バスや電車では「はしご観賞」はできないのではないか。いや、そんな甘えたことは言えない。私が掛けまわった、他の会場も紹介しよう。

■クリス・モズデルのアートハウス

まだ日が明るいうちから、フランス語・英語・日本語での詩の朗読会をしていた。住宅街にあって迷ってたどり着いた会場は、既にぎゅうぎゅう詰めの大人気っぷり。

■MEDIA SHOP Gallery

劇団地点の公演で、フランス人衣装デザイナーのコレット・ウシャールが制作した衣装を展示した展覧会「コレット・ウシャール×地点」。Nuit Blancheの日の会場では、ダンスを踊る女性と、彼女や壁に映像をプロジェクションをするパフォーマンスを見ることができた。

■安楽寺

天井から吊った布がゆらゆらと揺らぎ、優雅な気持ちになるインスタレーション。畳のせいか、膝を折って下からめでてしまう人が多く、浮遊する凧を下から見上げているようでもあった。

■YOKAI SOHO 上京区

バースペースにはオーストラリア人のリー・バウリー、ギャラリースペースには大巻伸嗣ら日本人アーティストなどの作品を置いていた。北野天満宮の近くにあるスペースだが、商店街に人がいなかったのがとても残念。

列記しただけでも、その慌ただしさに驚いてしまう。Nuit Blancheは、忙しさに慣れてしまった現代だからこそあり得るアートイベントなのかもしれない。全部見て回ろうというのは、絶対無理!作品をゆっくり味わおうと思ったら、こんなにたくさん見に行けない!!アートイベントは誰のために、何のためにしているのだろうか、どうしたもんかな、と考えながら自転車で駆け回った私は、帰りにギャラリー16へ寄った。ここではテーブルを囲みながら、作品とワインと人々の会話を楽しんでいた。本来のNuit Blancheは、こんな風に作品やアーティストとともに、ゆっくり時間と空間を過ごすことなのでは、とうらやましくなった。

そして、速報が当たり前のネット社会で、終わってしばらく経ってからレビューをアップするとは、と読者は思うだろう。アートは希薄な娯楽になったのか?作品を見た鑑賞者は何かを気付くことが、アートだったのではないか?そろそろアートイベントの目的を改めて考えなおす時期に来ているのでは?とまで、私は考えてしまった。皆さんはこのNuit Blancheを、どうやって足を運び、どのようにとらえたのだろうか。

【概要】Nuit Blanche 2015
【会場】京都国際マンガミュージアム、アンスティチュ・フランセ関西、京都芸術センターなど
【会期】2015(平成27)年10月3日(土)
【公式サイト】http://www.nuitblanche.jp/

Chisai Fujita

Chisai Fujita . 藤田千彩アートライター/アートジャーナリスト。1974年岡山県生まれ。玉川大学文学部芸術学科芸術文化専攻卒業後、某大手通信会社で社内報の編集業務を手掛ける。5年半のOL生活中に、ギャラリーや横浜トリエンナーレでアートボランティアを経験。2002年独立後、フリーランスでアートライター、編集に携わっている。これまで「ぴあ」「週刊SPA!」「美術手帖」など雑誌、「AllAbout」「artscape」などウェブサイトに、展覧会紹介、レビューやインタビューの執筆、書籍編集を行っている。2005年から「PEELER」を運営する(共同編集:野田利也)。鑑賞活動にも力を入れ、定期的にアートに関心の高い一般人と美術館やギャラリーをまわる「アート巡り」を開催している。また現代アートの現状やアートシーンを伝える・鑑賞する授業として、2011年度、2014年度、2015年度愛知県立芸術大学非常勤講師、2012年度京都精華大学非常勤講師、2016年度愛知県立芸術大学非常勤研究員、2014~ 2017年度大阪成蹊大学非常勤講師などを担当している。 写真 (C) Takuya Matsumi ≫ 他の記事

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