横浪修 写真展「Assembly」

「まさに、自分の履歴を作っている感覚です」

poster for Osamu Yokonami “Assembly”

横浪修 「Assembly」

神戸市エリアにある
iiba GALLERYにて
このイベントは終了しました。 - (2015-10-31 - 2015-11-29)

In フォトレポート by Chiaki Ogura 2015-11-26

神戸で、 横浪修 写真展「Assembly」が開催されています。2015年9月に誕生したばかりの新しいギャラリースペースとなる「iiba GALLERY」は、デザイン事務所tramworksが運営するギャラリーで、人・モノ・コトがいろいろな形で出合える自由な表現の場となっています。

第1回目の展示会となる、横浪修さんの写真展「Assembly」。横浪さんは、『FIGARO japon』や『Milk』といった雑誌や広告、ファッションなどのジャンルで活躍するフォトグラファーさん。今回の写真展は、横浪さんが個人的に作家活動の一環として撮った作品が展示されています。

写真展「Assembly」やご本人の作家活動について、お話をお伺いしました。

ー今回の作品展にはどんなテーマがあるのでしょうか?
 
「テーマは、「個」と「集合」。今回の『Assembly』と以前発表した『1000 Children』は関連性を持っています。『1000 Children』では、おなじ洋服を着た1000人の子どもたちに、果物を持ってカメラの前に立ってもらった作品。普段は、普段着や髪型で個人の印象が作り上げられてしまいますが、同じ格好をすればする程、個人個人のパーソナリティが浮かび上がってきます。同じ動作をお願いしても、一人ひとり身体の曲がり方が変わったり表情が違ったりすること自体が、その子の本来持っている個性そのものなんですよね。

『Assembly』は、おなじ洋服に身を包んだ少女たちが自然のなかで散らばったり、寄り集まったり、並んだりする様子を撮影しました。個性のある少女たちを客観的に見てみると、また個人としての存在が消え、集合体として存在するようになります。けれど再度カメラのレンズを近づけると、個人が浮き出てきます。なるべく自然の中に被写体を置くようにしたのも、人工物が入ることで場所が特定されたり、様々な視覚情報によって写真の印象がそちらに引っ張られてしまうから。シンプルにしていくことで、より一層、被写体が引立ってくるんです。

ー撮影はどのように行うのですか?
 
「まず全体をイメージします。一日ロケハンをして、大体ここでこんなものを撮ろうと決定。そして撮影は一日に集中して行います。場所は決めた後は、ある程度感覚で撮れる余地を残します。天気の具合も、木漏れ日が差し込んだり、曇っているか晴れているかどうかも、出合いとして大切にしています。今回の撮影でも、走るシーンを撮っていても足の早い子や遅い子が現れたり、均等ではなくバラバラな絵づらが面白かったりもします。広告用の撮影のように計算され尽くしたラフに従って撮るのではなく、被写体の自由さをなるべく活かしたい。決めすぎずに、ハプニングをどこかで待っている自分もいます。その場・その瞬間でしか起こらないことを、撮ろうとしているのかもしれないですね。」

ー普段の広告の撮影と異なる、作家活動を始めた経緯について教えてください。
 
「ある時、昔のネガを整理していると、一年のうちに残しておきたい写真が数テーマしかなかったことがあったんです。これは、どうなのかなって。このまま、自分の写真が何も残らないのではないかという不安がよぎったんです。それから、自分でテーマを決めて自由に写真を撮るという行為を始めました。作品の場合は何も縛りがない分、誰にも迷惑をかけないですが、全部自分の責任なので、ちょっとした覚悟も生まれます。4、5年前に決めた「個」と「集合」のテーマを元にした作品作りは、ずっと継続しています。とにかく、続けることが大変だと思っているので、仕事との両立、常に新鮮な気持ちでやれるようにモチベーションをどう維持するかが今の一番の課題です(笑)企画があがった時点でやるのかやらないのか、動くか動かないのかそれだけ。常に自分で日程や段取りを決めて、進めていきます。また、日常から作品を撮りだめたり、展示のタイミングが突然来たときにすぐ出せる作品を準備しておくようにもしています。」


ー作家活動を始めてみて、感じたことや今後展開していきたいことはありますか?
 
「海外の方は特に、私のバックグラウンドを何も知らずに、純粋に写真を見てくれるので、自由に意見をくださったりするので面白いです。テクニックではなく、自分のアイデンティティをどう写真の上で表現していくか。浮かんだイメージはまず行動に移してみて、手応えがあったら続けるというスタンスです。頭で考え抜いてから計画を立てるのではなく、50〜60%イメージが見えたらまず撮ってみようと。現状に満足せず、常にチャレンジして、新しい発想をどんどん形にしていきたいですね。今は、自分の履歴を作っている感覚です。写真集が集合体になり、積み重なることで、自分というものが見えてくる。何層にも積み重なってこそ、言いたいことや考えていることに説得力が増してくるのかなと。だからしつこい位、同じテーマでやり続けたいと思っています。」


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【概要】
横浪修 写真展「Assembly」

開催期間:2015年10月31日(土)〜2015年12月4日(金) ※好評のため、会期延長
     12:00-20:00 不定休
開催場所:iiba GALLERY
     〒650-0011 神戸市中央区下山手通3-11-16 ケンスビル3F

ウェブサイト:
http://iiba-gallery.com/

Chiaki Ogura

Chiaki Ogura . 岡山県出身。広告代理店・広報部にて勤め、現在はフリーライター・フォトグラファーとして活動中。ジャンルは幅広く、雑誌やWEB媒体などで執筆。ベンシャーンやアンディ・ウォーホルに感銘を受け、アートの世界に。ギャラリーや美術館の空間をこよなく愛する。作品を目の前にしたときの、右脳がぐらっと動かされる感覚がたまらない。comocomo.cafe ≫ 他の記事

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