「ニッポンのマンガ*アニメ*ゲーム」展 兵庫県立美術館

日本が世界に誇るエンターテインメント・カルチャーの四半世紀

poster for Kobe Biennale 2015 - Manga*Anime*Games from Japan

「ニッポンのマンガ*アニメ*ゲーム」展

神戸市エリアにある
兵庫県立美術館にて
このイベントは終了しました。 - (2015-09-19 - 2015-11-23)

In フォトレポート by Reiji Isoi 2015-11-15

2015年9月19日(土)から11月23日(月・祝)まで、兵庫県立美術館では「ニッポンのマンガ*アニメ*ゲーム」展が開催されています。

現代日本の代表的アート形式である「マンガ*アニメ*ゲーム」は、今やそれらコンテンツから派生したビジュアルを目にしない日はないほど、社会に広く浸透し主要な文化のひとつになっています。本展覧会では、手塚治虫がなくなった年、昭和から平成になった年である1989年から現在までの約25年間に制作された作品を紹介し、各分野の展開とそれらの相互関係を明らかにする試みとしての展覧会です。

1989年以降の特徴的な作品として選出された「マンガ*アニメ*ゲーム」のタイトルを7つのセクション毎に展示・紹介しています。本展示が紹介する「マンガ*アニメ*ゲーム」の作品群は、各分野の有識者が議論を重ね、手塚治虫没年の平成元年から現在までのあいだに、3つの分野で展開したそれぞれのコンテクストの中で重要なものとして選出されたものです。マンガは中野晴行氏、アニメは氷川竜介氏、ゲームはさわやか氏が監修し、各分野のコンテクストを読み解くためのキーワードとして、それぞれ以下の10項目を挙げています。

☆マンガ史
手塚からの継承、発展
「記号」から「絵」への回帰
ジャンルが細分化される流れ
00年代の新しいヒーローたち
ゲームやアニメからの影響
女性作家による表現の深化
テクノロジーの影響
現実と虚構のあいまい化
海外マンガ表現との融合
社会世相の影響

☆アニメ史
マンガ的想像力の拡張
作家性の深化
SF的想像力
美少女の変化ー戦闘から日常へ
デジタル手法とテクノロジーの深化
ネット発アニメと個人制作アニメ
同人アニメー送り手から受け手へダイレクトに
ゲーム的要素の導入
現実との相互影響
現実を先取りするアニメ

☆ゲーム史
対戦ーコミュニケーションツールとして
シミュレーションゲームからデータベース的なキャラ物語へ
3D表現の展開と完成
ステージになったゲームセンター
物語性の到達点
ネットゲームの拡散
カジュアルゲームの台頭
同人、二次創作ユーザーに解放されていくゲーム
プラットフォームとしてのスマートフォン
生活空間と同調するゲームへ

(参照:「ニッポンのマンガ*アニメ*ゲーム from 1989」 国書刊行会発行より抜粋)

*実際に展示されているマンガ・アニメ・ゲームの作品タイトルについては以下のリンク先の展示構成の欄を参照ください。
http://www.artm.pref.hyogo.jp/exhibition/2015manga_anime_game/

それぞれのコーナーでは、レアなグッズの展示や、エポックメイキングとなった表現手法を掘り下げて紹介しており、個々の作品を実際に視聴・プレイしながら深く鑑賞することも、各分野の展開、相互関係からそれらコンテンツ産業全体やプラットフォームの変遷を概観することもできる、情報密度の高い展示となっています。

80年代以前にはサブカルチャーと捉えられることも多かった「マンガ*アニメ*ゲーム」は、現在では日本の主要な文化産業として位置づけられるに至り、国内だけでなく世界中の人々を魅了しています。日本が世界に誇るエンターテインメント・コンテンツである「ニッポンのマンガ*アニメ*ゲーム」を、その四半世紀の流れを振り返りながら3分野の相互性を明らかにする試みは、世界的に見ても注目度の高いものでしょう。尚、本展は今夏に国立新美術館で開催された同名の展示を再構成したものです。兵庫県立美術館での展示の後、アジア、ヨーロッパ、アメリカなどで国際巡回展として開催される予定です。

かつて、アンパンマンの作者のやなせたかしは「マンガはリトマス試験紙である」と語っていたそうです。現在では、マンガだけでなく、アニメ・ゲームのコンテンツも世相を反映するメディアとなっていることが本展示から読み取れます。

「ニッポンのマンガ*アニメ*ゲーム」を通じて、この四半世紀のメディア・テクノロジーの進展や社会の変化をも見通すことのできる貴重な展示に、是非この機会に足を運んでみてください。

参考文献:
「ニッポンのマンガ*アニメ*ゲーム from 1989」 メディアアート国際化推進委員会 (編集)2015年 株式会社国書刊行会発行

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【開催概要】 

主 催:兵庫県立美術館、株式会社ワコールアートセンター、神戸ビエンナーレ組織委員会
企 画:メディア・アート国際化推進委員会(国立新美術館、兵庫県立美術館、CG-ARTS協会)、
スパイラル
会 場:兵庫県立美術館 ギャラリー棟3F (兵庫県神戸市中央区脇浜海岸通1丁目1-1)
会 期:2015年9月19日(土) ― 11月23日(月・祝)
休館日:月曜日(ただし、9/21、10/12、11/23は開館、9/24(木)、10/13(火)は休館)
開館時間:10:00~18:00 (入場は17:30まで)
観覧料:一般 1,000円 (800円)、大学生 700円 (500円)、高校生・65歳以上 500円 (400円)、
中学生以下無料
特別券:神戸ビエンナーレ全会場セット券:一般 2,400円(1,900円)

※上記金額すべて税込、( )内は前売り・団体料金
※障害者割引は、本人と介添え1名まで半額(ただし、65歳以上は除く)。
※割引を受けられる方は、証明できるものをご持参のうえ、入場券をお買い求めください。
※中学生以下無料。
※団体は20名以上。
※主なチケット販売場所:ローソンチケット(Lコード53322)、イープラス
※前売券の販売は9月18日(金)まで。
お問い合わせ:TEL.078-262-0901
公式フェイスブック:https://www.facebook.com/magj.kobe/
ホームページ:http://www.artm.pref.hyogo.jp/

Reiji Isoi

Reiji Isoi . 1978年生まれ。00年代前半より音楽業界を中心に写真の撮影活動を始め、音楽・美術・文芸誌に写真・インタビュー記事等を寄稿するほか、映像撮影・制作の仕事に携わる。仲間と突発的に結成した『宇宙メガネ』からも不定期に発信することがある。各地で起こる皆既日食、米国のバーニングマン、インドのクンブメーラ祭、古代遺跡でのイベントなど、津々浦々で出会う作品や表現者たちとの交流を通じ、森羅万象の片影を捉えようとカメラを携え日々撮り続けている。 http://razyisoi.jp/ ≫ 他の記事

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