MUSUBU SHIGA 空想 MUSEUM – 近江のかたちを明日につなぐ-

滋賀の新しい価値を発見する、新しい地域型展覧会

poster for 2015 Seian Arts Attention Vol.7 “Musubu Shiga”

セイアンアーツアテンションVOL.7「MUSUBU SHIGA 空想 MUSEUM - 近江のかたちを明日につなぐ - 」

滋賀県エリアにある
成安造形大学【キャンパスが美術館】 SEIAN ART CENTERにて
このイベントは終了しました。 - (2015-10-31 - 2015-11-29)

In フォトレポート by Chiaki Ogura 2015-11-15

滋賀県唯一の芸術大学である、成安造形大学が運営する【キャンパスが美術館】のメイン企画として行われるセイアンアーツアテンション。今年で、8回目を迎えます。
今回は、「MUSUBU SHIGA 空想 MUSEUM – 近江のかたちを明日につなぐ-」というタイトルで開催され、成安造形大学附属近江学研究所のコンテンツに加え、滋賀県のブランディングを推進している「湖と、陸と、人々と。MUSUBU SHIGA」のリサーチをもとにした展示が行われます。MUSUBU SHIGA とは、滋賀県ブランディングディレクターの服部 滋樹氏がメインとなり進めている活動。それは、滋賀をフィールドとして未来へつないでゆく形を提示し、新しい価値の発見と想像に繋げようとするものです。

会場は、「歴史・近江学の現在・資源と営み・人々・MUSUBU SHIGA・空想MUSEUM」の6つのカテゴリーに分けられ、それぞれにおいて滋賀を土壌にした活動の新たな試みによる作品が展示されています。

『資源と営み』の会場では、成安造形大学 地域連携増進センターが、滋賀県農政水産部水産課の委託事業として進んでいる、琵琶湖の淡水真珠「ビワパール」のブランディング事業の展示がなされています。

琵琶湖に抱かれる豊かな資源のひとつである、淡水真珠。その真珠を産む池蝶貝から、”なにか2次産業を生み出せないか?”というテーマを元に、様々な企業やクリエイター、職人が頭をひねり、「紙」「インク」「陶土」「釉薬」を開発。また、かつて琵琶湖の産業として活発であった池蝶貝から、直接削り出して制作する貝ボタン産業を復活させる提案も行っています。デザイン性を引き立てることで、かつての大量生産用のボタンとしてではなく、希少価値が付与されたボタンとして産業を成り立たせようというものです。

また、この池蝶貝という資源の存在をクリエイターたちに提示することで、実際に様々なアイデアが豊かに湧き出て、育ってゆく経緯を展示から見て取ることができます。

THEATRE PRODUCTSは、アイデアスケッチとドローイングを提案。服部滋樹氏は、アクセサリーやブローチなど、池蝶貝を素材にファッションに落とし込んでいます。桶職人 中川周士氏と服部氏のデザインによる、貝資源を活かした茶道具の制作に取り組んでいます。湧き出た空想を形にしていく行為そのものが、デザイナーと工芸家が一緒にものづくりをする新しい形なのかもしれません。

『MUSUBU SHIGA』のプロジェクト展示では、「結んで、繋ぐこと」をテーマに、デザイナーや専門家とともに、本来ある滋賀の魅力をリサーチしながら、その様子を伝えています。

専門家が滋賀をリサーチしている中で、現地の人とのコミュニケーションが生まれ、現地でアイデアが生まれていきます。その上で、新しい商品開発を行うべきなのか、すでにあるものを少しリニューアルするべきなのかを精査しながら形にしていく作業が行われています。これは滋賀だけはなく、近年あらゆる地域で起こっています。それは、伝統産業と地域を結ぶという行為で、土地をまるごとブランディングすることに繋がります。

新しい近江の姿を浮き彫りにすることを試みている、今回の展示。土地の恵みを受けながら生活していることを再認識することは、環境を整え、新たに育てようとする意識の変化を起こします。それはきっと、発展していくための大切な種かもしれません。今回の展示を通して、滋賀県民の方も県民外の方も、改めて自分たちの足元を見つめ直す貴重な機会になるのではないでしょうか。

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【概要】
2015 秋の芸術月間 セイアンアーツアテンション
「MUSUBU SHIGA 空想 MUSEUM – 近江のかたちを明日につなぐ-」

開催期間:2015 年10 月31日(土)― 11月29 日(日)
(休館:11 月11 日(水)、12 日(木)、28 日(土))
開催時間:12:00-18:00 入場無料
開催場所:成安造形大学【キャンパスが美術館】
滋賀県大津市仰木の里東4-3-1
観覧費:無料
主催:成安造形大学【キャンパスが美術館】、滋賀県
共催:湖と、陸と、人々と。MUSUBU SHIGA ( 滋賀・びわ湖ブランドネットワーク)
展示監修:服部滋樹(滋賀県ブランディングディレクター)

イベントページ
http://www.seian.ac.jp/gallery/?category_name=schedule-attention

 

Chiaki Ogura

Chiaki Ogura . 岡山県出身。広告代理店・広報部にて勤め、現在はフリーライター・フォトグラファーとして活動中。ジャンルは幅広く、雑誌やWEB媒体などで執筆。ベンシャーンやアンディ・ウォーホルに感銘を受け、アートの世界に。ギャラリーや美術館の空間をこよなく愛する。作品を目の前にしたときの、右脳がぐらっと動かされる感覚がたまらない。comocomo.cafe ≫ 他の記事

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