世界のアート系人気Instagramアカウントまとめ vol.3

世界中をつなぐ、アート系“インスタグラマー”たち

In 特集記事 by KAB Interns 2015-11-09

誰もが気軽に利用できるInstagramは、新たなSNSユーザー「インスタグラマー」たちを生み出しました。インスタグラマーとは、広義にはインスタグラムのユーザー全体を指しますが、その中には数十万人ものフォロワーとつながり、企業との提携で関連写真を投稿することで、収入を得ているユーザーもいるほど。今回は、そんな著名人を凌ぐほどの影響力をもつ、インスタグラマーたちを紹介します。

aguynamedpatrick

アメリカ在住のパトリック・ジャネル(Patrick Janelle)さんのアカウント。ニューヨークに位置するシアターやレストランを兼ねたスペース、SPRING ST. SOCIAL SOCIETYのディレクターを務める彼。2014年には、ファッション界のオスカー賞とも呼ばれるCFDAファッションアワードにおいて、「Fashion Instagrammer of The Year」を受賞したことでも知られています。

A photo posted by Ali Jardine (@alijardine) on

alijardine

同じくアメリカより、アリ・ジャーディン(Ali Jardine)さんのアカウント。主婦としてあくまで趣味でInstagramを利用していた彼女ですが、iPhoneのみで撮影・加工を行っているとは思えない幻想的で不思議な写真が世界中で人気を得て、今では52万人を超えるフォロワーとつながっています。家事の合間に作成しているという家族をモデルにした写真には、ファンタジー映画のような美しさと、どこか身近な温かみが感じられます。

A photo posted by @halno on

halno
wacamera

日本を代表するインスタグラマーの人気コンビ、halnoさんとwacameraさんのアカウント。空を飛んでいるかのように見える「浮遊写真」が話題を呼び、現在27万人以上のフォロワーとつながっているhalnoさんと、金環日食の写真を加工したことがきっかけで人気となり、フリーランスのカメラマンでありながら有名インスタグラマーでもあるwacameraさん。その人気は日本だけでなく世界にもおよび、2人の共同作である写真集も発売されました。

参考URL
http://upstairs-jp.com/instagramer-full-time-job/#i-2
https://iphoneogenic.wordpress.com/2013/03/25/alijardin/
http://www.wmagazine.com/culture/2015/02/aguynamedpatrick-patrick-janelle-instagram/photos/

あなたの投稿は、「作品」ですか?-アートとの境界線をめぐって

SNS上であることや、プロのアーティストでないことすらも関係なく、「作品」を発信できる場としての一面も持つInstagram。先日、アートとInstagramをめぐるこんな事件が話題になりました。

ニューヨークで活動する写真家、リチャード・プリンス(Richard Prince)が、他人のInstagramに投稿された写真を作品として展示・販売したというのです。その作品は、彼が自身のスマートフォンで見つけたInstagramの投稿にコメントを施し、そのスクリーンショットを拡大プリントしたものです。兼ねてから「探しものの天才」と評され、既存の写真に加工を施して作品とする『New Portraits』シリーズで知られるプリンス。このInstagramを使った『New Portraits』の中には10万ドルを超える作品もあり、実際に落札された作品もあったため、Instagramユーザーをはじめ、さまざまなメディアから賛否両論の声が上がりました。落札された作品のInstagramユーザーには全く収入が入らないこともあり、「完全なる無断転用であり盗みだ」という批判が上がる一方で、追及して訴えるなどする気はない、と作風として肯定的に捉えるユーザーも。

“これは果たしてアートなのか” “SNSは作品になりうるのか”
“アート作品とそうでないものの境界線は何なのか”……

この事件をきっかけに、さまざまな疑問が人々の間に生まれたのではないでしょうか。Instagramはさまざまな人や文化を写真でつなぐとともに、アート作品とそうでないもの、アーティストとそうでない人の境界線をも、曖昧にしているのかもしれません。

リチャード・プリンスのアカウント

インターンプロジェクトを通して

3回にわたったこのInstagramシリーズも、今回で最終記事となりました。インターンとして執筆させていただいた私がこのテーマで記事を書かせていただいたのは、ギャラリー運営などを大学で学ぶ中で、広報に携わっていたことがきっかけでした。

Instagramは、感覚に訴えかけるアートと相性の良いツールです。誰もが簡単に美しく写真の加工ができ、ストレートに自分の世界を表現できます。そして、国の枠組みすら超えて発信・評価しあう2次元の混沌とした世界であると言えます。例えば、友達同士の記念写真も、ブランドの新作ファッションも、ヨーロッパの美術館も、アメリカの現代アーティストも、時には知らない人の夕食すらも、ひとつの画面で繋がります。そして画像はイメージとして人々の手に渡り、流行となり、消えてゆきます。

Instagramの中では、普段は区切られているはずのさまざまな世界が、とても近く、あいまいに感じられます。だからこそアートの世界を、人々の日常に紛れ込ませて見せることが出来るのかもしれません。同時に他者に個人的な生活を見られるということでもあり、記事で取り上げた著作権の問題をはじめ、いくつかの問題をはらんでいます。
しかし、今まで触れ合うことのなかった世界との距離を縮めることができるのが、Instagramの大きな可能性だと考えられるのではないでしょうか。

この記事を通して、読んでくださった皆様が、ひとつでも発見があったり、なにか興味を持ったりしてくださったのならば幸いです。

Kansai Art Beat

[KABインターン]
上野綾香:京都生まれ京都育ち。大学にてアートプロデュースを専攻。多ジャンルの音楽とエンターテイメントから芸術に興味を持ち、趣味含めディズニーランドを研究中。

[インターンプロジェクト]
本企画はKansai Art Beat(以下略KAB)において、将来の関西のアートシーンを担う人材育成を目的とするインターンプロジェクトの一環です。インターンは六ヶ月の期間中にプロジェクトを企画し、KABのメディアを通して発信しています。

KAB Interns

KAB Interns . 学生からキャリアのある人まで、KABの理念に触発されて多くの人達が参加しています。2名からなるチームを6ヶ月毎に結成、KABの中核といえる膨大なアート情報を相手に日々奮闘中!業務の傍ら、「課外活動」として各々のプロジェクトにも取り組んでいます。そのほんの一部を、KABlogでも発信していきます。 ≫ 他の記事

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