滋賀県にあるMIHO MUSEUMで3/1より開催されている「KAZARI”かざり”-信仰と祭りのエネルギー」の内覧会に行ってきました。本展では、”かざり”をキーワードに、神仏への信仰に根ざした装飾の精神を読み解いています。中でも「桝目描き(ますめがき)」と呼ばれるモザイク画のような、独自の技法で描かれた伊藤若冲の「鳥獣花木図屏風」と「樹花鳥獣図屏風」との両作の共演は3/13までの短期間となりますが、本展の見どころとなっています。
「古来日本人は西洋の分類でいうところの絵画とか工芸とか、そういうものの垣根を自由に超えて行き来して、そしてすばらしい装飾美術を作ってきた。私に言わせると、装飾美術というものは決して西洋人の言うように純粋美術を応用したものではなく、それ自体が日本人の生活を慰め楽しませ、いきいきとさせた原動力となるものだった。」
(MIHO MUSEUM館長:辻 惟雄氏) -展覧会カタログより引用-
「かざりというものは、日本美術の核になるものではないかと私は思っております。西洋では装飾美術をデコラティブアートといいます。デコラティブアートはファインアート(純粋美術)に比べ、格が低いアプライドアート、応用美術、あるいはレッサーアートというような明らかに段階が低いものとして西洋では見ていました。
日本美術では、そのように差別する意識は一切ありません。たとえば光琳は画家なのか、デザイナーなのか、工芸作家なのか。光琳にとって自分がどれであったかという意識はまったくなかったように私は思うわけです。」
(MIHO MUSEUM館長:辻 惟雄氏) -展覧会カタログより引用-
祭の「神輿(みこし)」のルーツや歴史も展示されています。
併せて滋賀県の水口曳山祭、大津祭、長浜曳山祭を彩る華麗な曳山懸装品(ひきやまけそうひん)や日吉大社山王祭の活気を写す祭礼図など、神仏への信仰に根ざした「かざり」の世界を楽しめます。美術館自体も、自然豊かなところにありちょっとした小旅行気分で、これからの季節のお出かけにオススメの展覧会です。