KYOTO EXPERIMENT 京都国際舞台芸術祭 2016 SPRING

非日常を体験できる、舞台芸術の祭典

In インタビュー by Chiaki Ogura 2016-03-05

京都から世界へ向けて発信する国際舞台芸術祭「KYOTO EXPERIMENT」が、3月5〜27日、京都各所を舞台に開催されます。6回目を迎える今回は、新たなメイン会場となるロームシアター京都のオープニング事業として、年2回の開催。公式プログラムでは、国内外の重鎮から気鋭まで13アーティストによる11作品が出そろっています。


2013年から京都の北白川にアトリエ・アンダースローを構えている「地点」。多様なテキストを用いて、言葉や身体、音楽や時間などのさまざまな要素が重なり合う演劇を行っています。演出家・三浦基氏に、KYOTO EXPERIMENTで今回上演される新作『スポーツ劇』についてお話を伺いました。(上演は、3月5日、6日)

『光のない。』に続く、イェリネクの現代戯曲を京都で初上演

三浦「間違いなく、今世紀最大の劇作家だと私たちは考えています。ノーベル賞作家でオーストリア出身のイェリネクの作品は難解と形容されがちです。それだけではなく、オーストリアで一番嫌われる作家とも言われていたりもするのですが、これはなぜかというと、彼女の作品は、タブーを扱ってしまうからです。ユダヤ人の基地に関する話やキリスト教の問題、スポーツに熱狂してしまうナショナリズム…。その時代の空気、例えば、テロリズムやイスラムで起こっている出来事などの不穏な空気は、現場にいなくてもなんとなく感じますよね。そういう空気に一瞬でも不安を覚えたり、恐れを抱いたことは、どなたでも今までに一度はあると思います。そんな誰もが持つ感情を、イェリネクの作品は呼び覚ましてしまうのです」

「分からない言葉がつらつらと続いている中でも、ある一行を読むと分かった!と感じる瞬間があったりします。これこそが演劇的な体験で、こんなユニークで特殊な体験は他ではなかなかできません。その意味でもとても希有な作家だと思います。あまり演劇を見る機会のない方も、来ていただき、楽しんでもらえれば嬉しいです」

KYOTO EXPERIMENTへの取り組み方

三浦:「普段のアンダースローでの公演と変わらず、私たちは与えられた環境下で、完璧な舞台を披露します。ただ、『KYOTO EXPERIMENT』には、フェスティバルとしての魅力があります。これだけの演目が一堂に会する機会は多くないのではないでしょうか?舞台芸術の正しい見方などはなく、訪れたお客さんが見て聞いて感じてもらったことが全て。本番に来て感じた空気が次に繋がって、通常の劇場に足を運んでくれるようになればいいですね。舞台に興味を持ってくれた方が、しっかり見ているということを感じながら、私たちも技術力で魅せていきたいと思っています」


KYOTO EXPERIMENTには、世界のコンテンポラリーダンス史に刻まれているトリシャ・ブラウンのアーカイブを再構成する「トリシャ・ブラウン・ダンスカンパニー」や、日本の前衛的な舞台表現の歩みを体現する舞踏家・麿赤兒。また、公式プログラムとは異なる視点の外部から招いた専門家によるキュレーションにより、日本の新進アーティストの作品をショーケース形式で紹介する「Forecast」など、日常を打ち破るような、実験的な11の公式プログラムは全てみどころ満載。舞台芸術に魅了される3週間となりそうです。

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【概要】

KYOTO EXPERIMENT 京都国際舞台芸術祭 2016 SPRING
会期:2016年3月5日(土)–3月27日(日)
会場:ロームシアター京都、京都芸術センター、京都芸術劇場 春秋座、京都府立府民ホール“アルティ”、京都国立近代美術館、ほか
内容:公式プログラム11作品、ショーケース「Forecast」、フリンジ「オープンエントリー作品」、そのほか関連イベントを開催予定
主催:京都国際舞台芸術祭実行委員会(京都市、ロームシアター京都、公益財団法人京都市音楽芸術文化振興財団、京都芸術センター、公益財団法人京都市芸術文化協会、京都造形芸術大学 舞台芸術研究センター)
URL:http://kyoto-ex.jp/

ロームシアター京都オープニング事業
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Chiaki Ogura

Chiaki Ogura . 岡山県出身。広告代理店・広報部にて勤め、現在はフリーライター・フォトグラファーとして活動中。ジャンルは幅広く、雑誌やWEB媒体などで執筆。ベンシャーンやアンディ・ウォーホルに感銘を受け、アートの世界に。ギャラリーや美術館の空間をこよなく愛する。作品を目の前にしたときの、右脳がぐらっと動かされる感覚がたまらない。comocomo.cafe ≫ 他の記事

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