日本ではこれまでで最大規模、約10年ぶりとなる本格的なダリの回顧展が、7/1より京都市美術館で開催されます。ガラ=サルバドール・ダリ財団(スペイン、フィゲラス)、サルバドール・ ダリ美術館(アメリカ、セントピーターズバーグ)、国立ソフィア王妃芸術センター(マドリード)という世界の3つの主要なダリ・コレクションから招来される作品を中心に、国内所蔵の重要作品を加えて、約200点によって多面的なダリの世界が紹介されています。
不思議なモチーフを高い描写力で、存在しないものがあたかも、そこに存在しているような絵画で有名なダリですが、本展では、スペイン・アメリカからの重要なコレクションを一堂に会し、絵画のみならず、立体作品、ジュエリー、版画、雑誌のデザイン、舞台デザインのスケッチまで、バラエティーに富んだダリの作品を楽しめる内容となっています。
第二次世界大戦により、アメリカへ避難していた時期には富裕層や著名人の肖像画から、邸宅の壁画の制作に携わったりすると共に、「ヴォーグ」の表紙デザイン、バレエの衣装や舞台装置、宝飾品の製作など、多岐にわたって大衆にアピールする活動を繰り広げ、それらの作品群を現代的な感覚で鑑賞することができるのも本展の見どころとなっています。
ガラ=サルバドール・ダリ財団のリュイス・ペニュエラス事務局長は、「ダリはアーティストという枠組みを超えた、ひとつのアイコンである。ヒッチコックやディズニー社との仕事にも携わっていたり、ローカルで普遍的な活動をしていたことを知ってもらいたい。また本展では、大小作品のサイズを問わず、それぞれ作品の持つ世界感を引き立たせる為、めりはりを効かせた展示構成をとっており、鑑賞者にとって”オリジナル作品(真の芸術)のひとつ一つと対峙する、一生に一度あるかないかという希少な時間”となってほしい。」と本展への想いを語られました。
またダリが愛用していた和傘の複製を依頼していた日吉屋から、リュイス氏に和傘の贈呈が行われ、開いたときの美しさに会場からは歓声が。
国立ソフィア王妃芸術センターのミショー・ミランダ・パニアグア副館長は「ダリの作品は、毎日、毎回見るたびに、新たな発見がある。何度も見て、作風の中の秘密に迫ってほしい。」と述べられ、個人的にももう一度足を運んでじっくりと鑑賞したい、何度も見に行きたいと思える展示内容となっていました。
食事中にカマンベールチーズが溶けていくのを見て、物事(時計)も溶けていくのではないかというインスピレーションを得たエピソードや、戦後、日本への原子爆弾の投下や、科学技術に影響を受けた作品、さらには時代の変化とともにポップアート、アクションペインティングなど現代美術へと変化していく過程など、ダリの好奇心や時代に対するセンス・アイデアに触れる大変希少な機会となっています。ぜひ足を運んでみられては?
Reported by Mari Endo
※ミュージアムグッズコーナーでは、”ダリ札”を購入し、ガラガラくじを回すと卵型のプラスチックケースが。空けてみると作品をモチーフにしたピンバッチ(数種類の中のひとつ)が入っており、どれが当たるかは、お・た・の・し・み!
「ダリ展」
【会場】京都市美術館
【会期】2016年7月1日(金)~9月4日(日)
【公式サイト】http://salvador-dali.jp/