江口寿史展 KING OF POP 京都編

マンガからイラストレーションまで。漫画家江口寿史の殊玉作品たち

poster for Hisashi Eguchi “King of Pop: Kyoto Edition”

江口寿史「KING OF POP 京都編」

京都市中京区エリアにある
京都国際マンガミュージアムにて
このイベントは終了しました。 - (2016-06-11 - 2016-09-04)

In トップ記事 フォトレポート by Chiaki Ogura 2016-07-22

江口寿史氏の38年の画業の集大成である『KING OF POP』(玄光社)の刊行を記念した巡回展が、京都国際マンガミュージアムで開催されています。「一話完結のショートギャグ」を確立するなど、日本のギャグマンガを革新したといっても過言ではない江口氏。明治大学 米澤嘉博記念図書館で行なわれた研究展示「KING OF POP:SIDE B」の中から選りすぐりの、総数300点以上の作品展示がなされています。

江口氏の仕事は、年代を追うごとにマンガの域を越えて多岐に渡り、広告やCDジャケットなども手がけるようになります。そんな中、なるべく少ない線で立体感や質感を表現する、独自の画風を確立します。かわいい女性のイラストといえば、江口氏。”女性をどう可愛く描くか”にこだわりを持っていた江口氏が見つけた手法は、”鼻筋を描かず、鼻の穴のみ描くこと”でした。”スラリと通った鼻筋”が大胆に省略され、点のようなわずかな線だけで鼻を表現することで、透明感のある美しさが醸し出されます。作画の行程において、江口氏は下書きに時間をかけ、ラフに引いたたくさんの描線のなかからもっとも効果的な最小限の線を選び出します。この手法が確立したことにより、90年代以降、江口氏の描く女性のイラストはさらに広がりを見せるようになります。

江口氏の描く女性には、か弱さではなく、力強さやたくましさを感じ取ることができます。男性である自分が化粧をしても敵わない、内面から醸し出される女性の魅力と美しさを、紙の上で表現することで”自分は女性と勝負したい”と考えています。そんな江口氏は女性を尊敬し、仕事の際などで見せる、女性に対する紳士的な対応からも感じ取ることができます。

80年代の代表作、野球マンガの「すすめ!!パイレーツ」や週刊少年ジャンプにて連載された、元祖・女装少年が出てくる「ストップ!!ひばりくん!」は、知っている人も多いのではないでしょうか。懐かしのデビュー作から近年のエッセイまで約100点の原画が展示されており、なかには単行本未収録のレア作品も含まれています。

「5分スケッチ」というコーナー。こちらは、江口氏が日頃から実践しているもので、かつてTwitterで紹介され、大きな反響を呼んだもの。その後、個展などでも来場者をモデルに「5分」で描くというライブスケッチの試みが行われています。今回の全国巡回の各会場でも随時スケッチを行う予定なので、訪れる度に新しいスケッチが増えているのも楽しみのひとつですね。

会期中には、様々なトークショーも開催予定。年を経ても古さを感じさせない江口氏のイラストレーションは、当時マンガを読んでいた世代からイラストに興味のある学生さんまで学びのある展示となっています。カラーのスクリーントーンから、デジタル彩色へと至るイラストレーション技法の変遷にもぜひ注目してみてください。

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【概要】
江口寿史展 KING OF POP 京都編

会期:2016年6月11日(土)~9月4日(日)
※展示替え:前期:6/11~7/18 後期:7/21~9/4
※ 7/19・20は、一部作品の展示替えの為、展示会場を閉鎖します。
開館時間:午前10時~午後6時(最終入館は午後5時30分)
休館日:毎週水曜日(ただし、7/14~9/6は無休期間)
開館場所:京都国際マンガミュージアム 2階 ギャラリー1・2・3・6
料金:無料 (※ミュージアムへの入場料は別途必要です)
URL:http://www.kyotomm.jp/event/exh/king_of_pop.php
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Chiaki Ogura

Chiaki Ogura . 岡山県出身。広告代理店・広報部にて勤め、現在はフリーライター・フォトグラファーとして活動中。ジャンルは幅広く、雑誌やWEB媒体などで執筆。ベンシャーンやアンディ・ウォーホルに感銘を受け、アートの世界に。ギャラリーや美術館の空間をこよなく愛する。作品を目の前にしたときの、右脳がぐらっと動かされる感覚がたまらない。comocomo.cafe ≫ 他の記事

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