「ポール・スミス展 - HELLO, MY NAME IS PAUL SMITH - 」
京都市左京区エリアにある
京都国立近代美術館にて
このイベントは終了しました。 - (2016-06-04 - 2016-07-18)
独自の地位を築いている世界で最も著名なデザイナー、ポール・スミス。2013年ロンドンのデザイン・ミュージアムで初めて開催された展覧会「HELLO, MY NAME IS PAUL SMITH」がヨーロッパの巡回を経て、京都国立近代美術館で開催中です。約2800点の展示を通じファッションの枠に留まらない創造性とそのユニークな世界観に迫ります。
まず、お目見えするのが長いアートウォール。ポールが10代の頃から集めてきた絵画や写真のコレクションで、アンディ・ウォーホールやデビット・ホックニーやバンクシーなど有名なアーティストのものもあれば家族や友人、ファンから送られてきたものまで、幅広いラインナップです。
その先には、1970年にオープンしたわずか3メートル四方のショップ「ポール・スミス1号店」。びっくりするほど小さいです。初めのころは、金曜日と土曜日だけ店を開け、残りの日はお金を稼ぐためにフリーランスの仕事をいろいろしていたそうです。
そして、初めてのショールームはパリのホテルのベッドルーム。最初のコレクションはシャツ6枚、セーター2枚、スーツ2着。最終日の終わりになってやっと一人の人がやって来て、その招待客から注文が取れました。これがポール・スミスのビジネスの始まりとなりました。
ポール・スミスはファッション・デザイナーですが、この展覧会にはなかなか服が出てきません。本や雑貨やおもちゃ、世界中を旅する中で出会った面白いもの、楽しいと感じるさまざまなものが所狭しと並ぶオフィス。妻、ポーリーンの写真やスケッチ。ローバー社(当時)の「ミニI」など多数のコラボレーション、世の中をどのように観てインスピレーションを得ているのかポールの頭の中を再現した映像、ショップのディスプレイなどが続いて、やっと最後に服の展示があります。
これは、ポール・スミスが創造の過程を知ってほしいと考えているからです。どんなふうにイメージをかき立てられ、どのようにしてアイデアを生み出しているのか、どのように仕事に取り組んで知るのか、表面の底にある目に見えないものを捉えてほしいと思っているのです。とくに展示の最初に出てくる「ポール・スミス(Paul Smith)」1号店の再現は重要です。3メートル四方の週末2日間しか営業していなかったこのショップが彼の原点であり、最初はこんな小さなところから始めたんだよというポール・スミスからのメッセージともいえるでしょう。
最後に、展示以外でもう一つ紹介したいものがあります。それは本展「HELLO, MY NAME IS PAUL SMITH」の図録です。展覧会図録にありがちな少々難しい説明文とは違い、ロンドンのデザイン・ミュージアムの館長のヤン・スジック氏によるフレンドリーな紹介文でこれまでのポール・スミスの軌跡が分かりやすく綴られており、また本文ではポール自身の言葉で語られているページが多く彼の生きざまがよく伝わってくるものとなっています。大けがによって自転車競技者になることを諦めざるをえなかったこと、会議中にスーツケースを開けておもちゃの列車のセットを出すなど、展覧会には描かれていないエピソードも多数掲載されています。展示数が2,800点と桁違いに多いので、ポールの言葉とともに図録で展覧会を振り返ることにより、新たな発見と気付きがありそうです。
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■ポール・スミス展「HELLO, MY NAME IS PAUL SMITH」
【会 場】京都国立近代美術館
【会 期】2016年6月4日(土)〜7月18日(月祝)
【時 間】9:30〜17:00 ※金曜日は20:00まで(入館は閉館30分前まで)
【休館日】月曜日(ただし7月18日は開館))
【観覧料】一般1,500(1,200)円、大学生1200(900)円、高校生900(600)円
※()内は団体料金/団体は20名以上/中学生以下無料
【公式サイト】http://paulsmith2016.jp/
【美術館サイト】http://www.momak.go.jp/
<巡回>
東京会場(上野の森美術館)
会期:2016年7月27日(水)〜8月23日(火)
名古屋会場(松坂屋美術館)
会期:2016年9月11日(日)〜10月16日(日)
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