長島有里枝「縫うこと、着ること、語ること。」

KIITOアーティスト・イン・レジデンス2015-2016成果発表展

poster for Yurie Nagashima “To Sew, To Wear, To Talk”

長島有里枝「縫うこと、着ること、語ること。」

神戸市エリアにある
デザイン・クリエイティブセンター神戸 KIITOにて
このイベントは終了しました。 - (2016-06-17 - 2016-07-24)

In フォトレポート by Reiji Isoi 2016-07-19

写真家長島有里枝氏の作品展示「縫うこと、着ること、語ること。」が、デザイン・クリエイティブセンター神戸(KIITO)にて、只今(〜7/24迄)開催中です。

今春、東京で開催された「家庭について/about home」展にて、長島氏は自身の母親とともに、捨てられずにいた大量の衣類や古着、カーテンを縫い合わせ、4ヶ月程かけて制作したテントと、その過程で撮られた写真作品で構成する展示を発表しました。自身の母に縫う役目を委ね、母娘の関係を仕事上のパートナーという関係にスイッチしたときに、何が起こるのかを知りたいというテーマで制作されたそうです。

今回のKIITOでの展示「縫うこと、着ること、語ること。」は、実験的な試みを含んだ「家庭について/about home」の姉妹版となるものです。長島氏は、KIITOアーティストインレジデンスの招聘作家として神戸での滞在制作中に、「家庭について/about home」制作時の長島氏と母親が作品の素材にしたものと同様、捨てたいのに捨てられない古着を所有する女性たちと出会いました。作品の素材となる古着を譲り受ける際に、処分出来ない理由を聞き、そこからインスピレーションを得て、古着を身につけた女性たちのポートレイトを撮影したそうです。

神戸に在住する長島氏のパートナーの母親とともに制作したタープの作品も公開されています。捨てられない服にまつわる思い出、その服をまとったポートレイト写真群、そして偶然が重なって生み出されたというタープの作品により構成する展示空間となっています。

活動初期から家族・暮らし・関係性をテーマに撮り続ける長島氏と、被写体となった女性たちとの交流、作品制作を通じて、彼女たちの捨てられない古着にまつわる想いはどう変化したのか、想像が膨らみます。

展示会場のデザイン・クリエイティブセンター神戸(KIITO)の建物は、ゴシックを基調とした神戸市立生糸検査所(旧館)として建設された当時のたたずまいをのこしています。かつて、明治以降の日本が近代化を進める上で、重要な基幹産業であり製糸業の一端を担った生糸検査所は、大正から昭和初期にかけて最盛期を迎え、その後役割を終えました。そして現在、デザイン・クリエイティブセンター神戸(KIITO)として、デザインを人々の生活に採り入れ、より豊かに生きることを提案する文化交流の拠点となっています。今回の写真展示のフロアの隣では、当時の生糸検査所の様子を伝える資料の展示も観ることが出来ます。

長島氏はかつて「家族」という写真作品集を出版し、どこにでもありそうでいて、意識しないとそのまま流れて消え去るような感情と時間を捉え、私的であるが普遍的な光景を映し出す試みを実践しました。本展示にご興味のある方には、初期の作品集「家族」を参照されることもお勧めします。

時代の変化に伴い、家族をはじ共同体の在り方が多様化していく現在、関係性のありかたへの問いかけを真摯に問い続ける長島氏の作品展示に、是非足を運んでみてはいかがでしょうか?

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【開催概要】
長島有里枝「縫うこと、着ること、語ること。」
(KIITOアーティスト・イン・レジデンス2015-2016成果発表展)
会期:2016年6月17日(金) の11:00から 2016年7月24日(日) の19:00まで
会場:デザイン・クリエイティブセンター神戸 ギャラリーC
入場無料
詳細:http://kiito.jp/schedule/exhibition/article/17007/

Reiji Isoi

Reiji Isoi . 1978年生まれ。00年代前半より音楽業界を中心に写真の撮影活動を始め、音楽・美術・文芸誌に写真・インタビュー記事等を寄稿するほか、映像撮影・制作の仕事に携わる。仲間と突発的に結成した『宇宙メガネ』からも不定期に発信することがある。各地で起こる皆既日食、米国のバーニングマン、インドのクンブメーラ祭、古代遺跡でのイベントなど、津々浦々で出会う作品や表現者たちとの交流を通じ、森羅万象の片影を捉えようとカメラを携え日々撮り続けている。 http://razyisoi.jp/ ≫ 他の記事

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