近いようで遠い台湾カルチャー!vol.1

お葬式や儀式で燃やされる様々なカタチの紙のオブジェ

In KABからのお知らせ 特集記事 by KAB Interns 2016-08-24

最近、日本から台湾へ旅行に来られる方がとても増えています。LCC (Low Cost Carrier)の格安航空券などの台頭で、時には日本国内への旅行よりも安く旅行できることもあり、宿泊や食事、ショッピングなど楽しまれているようです。また、台湾で得た体験を起点として作品を制作している日本人アーティストも少なくないようです。

ここでは台湾人インターン生Iseiによる台湾の伝統文化を感じられるモチーフを紹介します。

台湾では、伝統、お祝いやお葬式などの宗教儀式で神聖なお祈りをする時、また故人のあの世での幸せを願う際、「拜拜(バイバイ)」という儀式を行います。「拜拜(バイバイ)」とは、線香に火をつけながら亡くした人や神様に祈って、あの世と対話することを意味します。

日本においてお寺でローソクや線香に火を灯したり、お葬式でお焼香を行う佛教的な儀式と少し似ていますが、「拜拜バイバイ」文化のもう一つの特徴はなにかを燃やすことです。台湾の儀式では、何かを燃やすこと自体に祈りの意味があります。

vol.1では、「拜拜(バイバイ)」の時、燃やされるための紙で作られたオブジェ(お供え物)を例に挙げ、台湾独自の文化にアプローチしたく思います。

1. 金紙(Jin-Zhi)

まず、「拜拜バイバイ」の時一番よく見られる、伝統的なものは金紙(Jin-Zhi)です。紙に金箔を貼ったお金「金紙」を焼き、故人があの世でお金の心配をせず、良い生活が過ごせるようにと願っています。柄と大きさは用途によっていろんな種類がありますが、主に金を象徴する黄色の紙に、平和や金運を意味する赤い図柄が印刷してあります。


2. 紙紮(Zhi-za)

次に紹介するのは、紙紮(Zhi-za)というお葬式の時に燃やされるカラフルな家の形をしたオブジェ。紙紮(Zhi-za)とは竹で作った骨組に紙を貼って、家や車、馬車、人形、日用品などを作る台湾の伝統工芸の一種です。


今年5月にパリのMuseum of Decorative Arts of the Louvreで毎年開催される世界的なデザインフェスティバル「D days festival」で台湾では有名な職人、張徐沛(Xu-Pei Zhang)の工芸品が作品として展示され、台湾やフランスで話題になりました。亡くなった方があの世で、理想の邸宅に住めるようにという想いから、家がモチーフとされています。最近では、それらの家のデザインは、よりスタイリッシュで現代的なものへと変化しています。

参照元:TheNewsLens 關鍵評論

実際にお葬式の際に、故人への祈りを込めながら紙で作られた家を燃やしている様子です。


3. 時代の変化に合わせて変化するオブジェ

燃やす紙のオブジェは、基本的に故人が生きている間に好きだったものや、叶えたかったことなどにより異なります。家族や友人が、専門店に行って購入したり葬儀業者に依頼しますが、中にはオーダーメイドなどで注文するケースもあります。業者も時代の変化によって、個人のニーズに合わせたオブジェを作るようになってきています。

例えば、麻雀卓やiphone、PCなどの電化製品など、その種類は実に様々です。彼女が欲しかった故人には、紙でできたガールフレンドの形のオブジェを作るなど、伝統や一つの形式にとらわれることなく個性を尊重したものに変化してきています。

[Isei あとがき]

台湾では、どんな儀式でも盛大なイベントとして行うことを好み、たくさんのお供え物を準備することで、神様への敬虔さを示します。またお葬式の際に、残された家族は、生前多くの人に親しまれてきた事を示すため、より多くの人に来てもらう事を望みます。そういったことや、今回、紹介したお葬式の際に燃やされる多彩な紙のオブジェから、派手好きな台湾人の国民性を垣間見ることができます。

そして紙でできたオブジェの形は、一つの種類や伝統的なものにとらわれることなく、消費者のニーズに合わせて現代的なものへと変化しています。このようにオブジェの種類が増加している傾向から、伝統的な儀式も消費社会に影響を受けていると言えます。

皆さまも台湾に行かれるときには、ぜひお寺などで燃やされる紙のオブジェに注目されてみては?

[KABインターン]
陳 怡静 (Isei) : 交換留学生として京都で日本語や文化を学んでいる台湾人学生。好奇心の赴くがまま、ドラマや映画の撮影スポットに足を運ぶフットワークの軽さが自慢。浴衣の着付けもでき、日本人より日本の伝統文化やサブカルチャーまで幅広い知識と興味を持つ。

[インターンプロジェクト]
本企画はKansai Art Beat(以下略KAB)において、将来の関西のアートシーンを担う人材育成を目的とするインターンプロジェクトの一環です。インターンは六ヶ月の期間中にプロジェクトを企画し、KABのメディアを通して発信しています。

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KAB Interns . 学生からキャリアのある人まで、KABの理念に触発されて多くの人達が参加しています。2名からなるチームを6ヶ月毎に結成、KABの中核といえる膨大なアート情報を相手に日々奮闘中!業務の傍ら、「課外活動」として各々のプロジェクトにも取り組んでいます。そのほんの一部を、KABlogでも発信していきます。 ≫ 他の記事

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