9/29より「テグフォトビエンナーレ2016」が開催!

イラン、イスラエル、アフガニスタン、アゼルバイジャン、中国やベトナムなどから現代作家が集結!世界的に有名なマーティン・パーやアレック・ソスも。

In ニュース 特集記事 by KABlog 2016-09-14

正月明け早々、突然の国際電話。韓国、大邱(テグ)広域市で開催される、「『テグフォトビエンナーレ2016』の芸術監督をしてほしい」という。韓国は、1985年に初めての海外旅行として友人との二人旅で訪れてから、30年間で何十回と通ってきた。展覧会、シンポジウム、講演など数多くの機会に恵まれたが、今回は「芸術監督」である。果たして務まるかどうか。カタコトの韓国語で冷麺を注文するのとはわけが違う。不安ばかりが先走るが「韓国に留学するつもりでやってみたら」という家族の一言で、すぐ渡航の準備を始めた。

 大邱(テグ)広域市は、残念ながら日本ではよく知られていない。関西国際空港から約1時間で釜山金海国際空港へ。空港リムジンに乗って70分で東テグ・バスターミナルに着く。韓国の新幹線KTXでは釜山から50分だ。大邱(テグ)は、首都ソウル、プサンに次ぐ第3の都市で、古くから繊維と薬で有名な内陸の盆地である。この地で、2006年から「テグフォトビエンナーレ」が開催されてきた。今年はその10周年。韓国には、「光州ビエンナーレ」、「釜山ビエンナーレ」などを国際美術展が多く開かれることは有名だが、同展はアジア屈指、韓国で最大の国際写真展である。

スケジュールがかなり厳しい中、何度かの訪韓やリサーチをして、ビエンナーレのテーマを構想した。テーマは、「わたしたちはどこから来て、どこへ行くのか?」。2000年以降、急激に変化しているアジアの中で、自らがその当事者として、アーティストたちはどうとらえたのか、作品を通してそれらをみるようなものを構想した。そして、「特急列車」のような急激な変化とそれを「表現する」という言葉をかけて、メイン展を『アジアン・エキスプレス』と名付けた。ますます人と情報と物が国境などあらゆるボーダーを越えて行き来するようになった現在。アジアの若者は、スニーカーとTシャツ姿でスマートフォンを手に気軽に国境を越えて行き来している。それは、それまで見なかった現象で、まるで情報が自由に往来するインターネットを目の当たりにしているような気さえする。そういう時代に、「いまアジアはこうだ」と答を見つけることは無意味ではないかと思う。それよりも、互いが興味を持って見続け、考え続け、行動し続けることが大切ではないだろうか。この展覧会を見る人に、そういうきっかけが生まれたらと願っている。

メイン展の他に、二つ特別展を設けた。「特別展1」は『写真のなかの私』。メイン展に呼応する位置付けの展覧会にした。アジアの現在をみて、それに意見をするのは簡単だが、実はそれは他人事ではなく、「あなた/わたし」の姿でもある。写真史を見てもわかるように、多くの写真家たちが自らにレンズを向けてきたが、今はそれまでとは違った形で私たちの生活に浸透している。SNSの「セルフィー」もその例だろう。そして、マスメディアを通して報道される世界をリビングで見ている私も、実はその一人であることを、意識してほしいと考えている。

「特別展2」は、『一以貫之』(一を以って之を貫く)と名付けた。「一以貫之」とは、孔子の言葉で、「柔軟な心と謙虚な態度を持ち、一貫しで変わらない道を進む。つまり、調和をはかる気持ちがあってこそ、一つのことが貫くことができる」という意味である。開催地のテグをふくむ嶺南地方は、韓国でも古くから芸術文化の栄えた地方として有名である。その文化を継承するような韓国の写真作家を、キャリアや作品の方向性など全く関係なく、15作家をキュレーターに選んでもらった。15人が様々なアプローチから取り組む写真世界の魅力を知って頂ければという願いを込めている。

日本人作家は、アエラの表紙でおなじみの坂田栄一郎(SAKATA, Eiichiro)さん、瀬戸正人さんなど、日本を代表する著名な作家のほか、義足のアスリートたちを取り続ける若い写真家、越智 貴雄(OCHI, Takao)さん、東日本大震災以降、表現の方向性を変えた後藤 元洋(GOTO, Motohiro)さんの写真インスタレーションなど幅広い作家が出品作家する。後藤さんは開幕式当日にパフォーマンスを行う予定である。

欧米からは、世界的に有名なマーティン・パー(Martin Parr)ブルース・ギルデン(Bruce Gilden)アレック・ソス(Alec Soth)など、イラン、イスラエル、アフガニスタン、アゼルバイジャンなど、あまり馴染みのない国々の作家、そして、今や東アジアを語るにはなくてはならない中国の現代作家約20人、また、森美術館と広島市現代美術館で大規模な個展を開催したばかりのヴェトナムのディン・Q・レ(Dinh Q. Lê)などを含む東南アジア各国からの出品もある。期間は、9月29日(木)から11月3日(木)まで。期間中は国際写真シンポジウムや市内別会場で国際学生写真展など、大小の展覧会やイベントなどもある。

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【テグフォトビエンナーレ2016】 http://www.daeguphoto.com/
DAEGU PHOTO BIENNALE 2016

会期: 2016年9月29日〜11月3日
会場: 韓国、大邱(テグ)広域市

(ライタープロフィール)
吉川直哉
テグフォトビエンナーレ2016 芸術監督
写真家。大阪芸術大学 写真学科 客員教授、沖縄県立芸術大学 非常勤講師、
ビジュアルアーツ専門学校大阪 非常勤講師、大阪芸術大学 芸術文化研究科 (’95年修了)

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