再燃するコラージュカルチャー

現代のコラージュアーティスト

In KABからのお知らせ 特集記事 by KAB Interns 2017-03-13

現代アート、ファッション広告、フリーペーパーなどで、多様なヴィジュアルデザインを目にする昨今、手書きのドローイング、シルクスリーンの版ズレなど、アナログで懐古的な作風がトレンドに浮上しています。そのなかでも、あえて人間の手の痕跡が残ったコラージュには、最先端のデジタル技術を駆使した表現では表しきれない魅力があります。

特集記事、「再燃するコラージュカルチャー」では、第1弾として現代のコラージュアーティストを紹介、第2弾はコラージュ誕生の歴史を探り、 第3弾は立体や映像など、多様なメディアと融合したコラージュ作品を特集記事としてお届けします。

※コラージュとは:1910年代に誕生した美術表現の一種。フランス語で糊付け、貼り付け、を意味する言葉の通り、既存の写真、印刷物、布、また映像を切り貼りすることでつくられる。本来無関係だったもの同士を並置して組み合わせることで、思いがけない世界をつくりだす偶然性が魅力の表現技法。

現代のコラージュアーティスト

コラージュアーティストが手がけるアートワークは、グローバルなブランドやデパートの広告、雑誌、装丁、プロダクトなどに多用されています。そして、各アーティストの作品に共通してみられるのは、既存の素材を切り貼りすることで作りこまれる、非現実的で装飾過剰なシュルレアリスムを彷彿とさせる世界観です。

なぜ今コラージュが再注目されるのか。それは、ここ数年注目を集めていたノームコア、ミニマリズムなどに対する次なるブームへの兆候なのかもしれません。

第1弾では、いま旬のアーティストたちをそれぞれのInstagramからピックアップしてご紹介します。

作家紹介

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M!DOR!

1800年〜1950年代の雑誌や紙物の現物の素材を使用したハンドコラージュが特徴的なミドリさん。活動の幅は多岐に渡り、最近では、雑誌誌面、書籍の装丁などデジタルコラージュを使用したアートワークも手がけています。また、各作品につけられた詩的なタイトルも彼女の世界観を作り込む魅力のひとつです。

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Q-TA

切り抜き写真やイラストを巧みに織り交ぜ、ファッション性の高いポップな作品を生み出すQ-TAさん。ネットメディアで人気のアーティストがGUCCIのテキスタイルを使って制作した作品を、SNSを介して世界に発信するというGUCCIのアートプロジェクト「#GucciGram」のひとりにも選出された注目のアーティストです。

岸部拓郎

必要なのはハサミと紙と糊だけというシンプルかつアナログな3つの道具のみ。岸部拓郎さんのコラージュの魅力は、絶妙なアンバランスさにあります。切り取った素材を、適当に配置したように見せながらも感覚的にしっくりくるポイントを見つける。予想外の組み合わせに岸部さんのセンスが光ります。

とんだ林 蘭

コラージュ、イラスト、ぺインティングを中心に、幅広い手法で制作活動をするとんだ林蘭さん。可愛らしくも毒っ気のある刺激的なビジュアルの作品たちは、インスタグラムを使って次々と発表されます。彼女の作品になくてはならないモチーフ=食べ物は、日常的に見慣れてはいるものの、彼女ならではの色彩や取り入れ方によって真新しい素材へと変容します。

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M/M(Paris)

常に前衛的なヴィジュアルを打ち出すPARCOのシーズン広告。M/M(Paris)は2014AWからそのヴィジュアルを手がけてきたマティアス・オグスティニアックとミカエル・アムザラグからなるクリエイティブデュオ。コラージュ要素を活かしたアートワークに加え、彼らの作品を象徴付ける個性的なタイポグラフィにも注目です。

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Eugenia Loli

カラフルな色彩やシュールなモチーフ使いが人気のアメリカ・カリフォルニア在住のコラージュアーティスト。制作過程はTumblrで共有している古いヴィンテージ雑誌や理科の教科書から画像をスキャンし、Photoshopで組み立てるというもの。使用しているツールは現代的ですが、アナログ感溢れる仕上がりに温かみを感じます。

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Luca Mainini

脚、唇、口紅、ハイヒールなど、体のパーツとファッションアイテムとをユニークな切り取り方でミックスさせたGIFで人気を博すコラージュアニメーター。使用する素材はヴォーグ、マリークレール、エルなど、最新鋭のファッション雑誌たちです。独特なレイアウトで作り上げられるコラージュは、GIFになることで万華鏡のような装飾性を持ちます。

[Saki あとがき]

既存のものを切り取り、糊付けして組み合わせるコラージュは、特殊な技能を必要としません。それゆえに素材をどのように組み合わせ、切り取り、レイアウトしていくのかといったアーティストの独自性やセンスが作品に顕著にあらわれます。
今では、WEBやSNS等で検索した画像を、Photoshopやコラージュアプリで編集するといった行為が当たり前になり、コラージュはより身近な芸術表現になっています。

日常の中で当たり前になってしまったイメージ(画像)を、組み合わせ方によって、時代の空気感を映し出すヴィジュアルへと再起させるコラージュは、これからの広告や美術表現にも形を変えながら影響を与えていくのではないでしょうか。

次記事では、コラージュ技法のパイオニアであるシュルレアリストと呼ばれた芸術家たちに焦点をあて、コラージュ誕生当時のカルチャーに迫ります。

[KABインターン]
栗山紗季 : 社会人として働く傍ら、インターン生としてKABに参加。服飾専攻だった学生時代にファッションとアートとの深い関係性に気づき、衣装制作のインスピレーション源としてアート観賞に目覚める。最近はグラフィックデザインにも興味深々。

[インターンプロジェクト]
本企画はKansai Art Beat(以下略KAB)において、将来の関西のアートシーンを担う人材育成を目的とするインターンプロジェクトの一環です。インターンは六ヶ月の期間中にプロジェクトを企画し、KABのメディアを通して発信しています。

KAB Interns

KAB Interns . 学生からキャリアのある人まで、KABの理念に触発されて多くの人達が参加しています。2名からなるチームを6ヶ月毎に結成、KABの中核といえる膨大なアート情報を相手に日々奮闘中!業務の傍ら、「課外活動」として各々のプロジェクトにも取り組んでいます。そのほんの一部を、KABlogでも発信していきます。 ≫ 他の記事

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