いま日本各地で、地域とアートとの関わり方が模索されているが、京都府ではアーティスト・イン・レジデンス事業「京都:Re-Search」に力を入れようとしている。アーティスト・イン・レジデンスとは、アーティストがひとつの地域に滞在し、その場所で作品制作を行うこと。世界各地に広がるアーティスト・イン・レジデンスだが、京都府の事業として、2016年度(つまり今年3月末まで)、府内中丹地域の舞鶴市で、「京都:Re-Search in 舞鶴」と名付けられたアーティスト・イン・レジデンス事業を行った。
参加アーティストは、公募で選ばれた。普段は京都府内外で活動を行う、大学生を含む20~30代の若手アーティストである。彼らは舞鶴市内を見て回り、自分が決めたテーマに沿って話を聞いたり、場所について調べるなどリサーチを行った。
同時に参加アーティストは、アート業界の第一線で活躍するアーティストやキュレーターといった人たちから、リサーチの手法などのワークショップを受けた。このサポートは、若手アーティストにとっては心強いものとなったはずだ。
そして彼らは作品制作やアートプロジェクトの構想を行い、舞鶴市内にある古民家《宰嘉庵(さいかあん)》で成果発表展も行った。
京都府は「京都:Re-Search」事業で、アーティスト・イン・レジデンスを運営するだけでなく、昨年12月にはフォーラムも開いた。私も聞いたが、地域とアートのありかたについて熟知した多様なゲスト陣だったため、話題はアーティスト・イン・レジデンス事業に限らず、多方向にわたり、現状のアートシーンについてとても考えさせられる内容であった。
さらに、「京都:Re-Search」事業を紹介するウェブサイト、レポート冊子も作成した。次年度2017年度は、さらにパワーアップして、内容を拡大したり、深く掘り下げていく予定だ。地域とアートの関係に興味があれば、ぜひ注目してほしい事業である。
「京都:Re-Search」
http://kyoto-research.com/
https://www.facebook.com/air.kyoto.re.search/