京都:Re-Search

地域とアートの可能性を探りたいあなたへ

In トップ記事小 by Chisai Fujita 2017-03-04

いま日本各地で、地域とアートとの関わり方が模索されているが、京都府ではアーティスト・イン・レジデンス事業「京都:Re-Search」に力を入れようとしている。アーティスト・イン・レジデンスとは、アーティストがひとつの地域に滞在し、その場所で作品制作を行うこと。世界各地に広がるアーティスト・イン・レジデンスだが、京都府の事業として、2016年度(つまり今年3月末まで)、府内中丹地域の舞鶴市で、「京都:Re-Search in 舞鶴」と名付けられたアーティスト・イン・レジデンス事業を行った。

参加アーティストは、公募で選ばれた。普段は京都府内外で活動を行う、大学生を含む20~30代の若手アーティストである。彼らは舞鶴市内を見て回り、自分が決めたテーマに沿って話を聞いたり、場所について調べるなどリサーチを行った。

同時に参加アーティストは、アート業界の第一線で活躍するアーティストやキュレーターといった人たちから、リサーチの手法などのワークショップを受けた。このサポートは、若手アーティストにとっては心強いものとなったはずだ。

そして彼らは作品制作やアートプロジェクトの構想を行い、舞鶴市内にある古民家《宰嘉庵(さいかあん)》で成果発表展も行った。

京都府は「京都:Re-Search」事業で、アーティスト・イン・レジデンスを運営するだけでなく、昨年12月にはフォーラムも開いた。私も聞いたが、地域とアートのありかたについて熟知した多様なゲスト陣だったため、話題はアーティスト・イン・レジデンス事業に限らず、多方向にわたり、現状のアートシーンについてとても考えさせられる内容であった。

さらに、「京都:Re-Search」事業を紹介するウェブサイト、レポート冊子も作成した。次年度2017年度は、さらにパワーアップして、内容を拡大したり、深く掘り下げていく予定だ。地域とアートの関係に興味があれば、ぜひ注目してほしい事業である。

「京都:Re-Search」
http://kyoto-research.com/
https://www.facebook.com/air.kyoto.re.search/

Chisai Fujita

Chisai Fujita . 藤田千彩アートライター/アートジャーナリスト。1974年岡山県生まれ。玉川大学文学部芸術学科芸術文化専攻卒業後、某大手通信会社で社内報の編集業務を手掛ける。5年半のOL生活中に、ギャラリーや横浜トリエンナーレでアートボランティアを経験。2002年独立後、フリーランスでアートライター、編集に携わっている。これまで「ぴあ」「週刊SPA!」「美術手帖」など雑誌、「AllAbout」「artscape」などウェブサイトに、展覧会紹介、レビューやインタビューの執筆、書籍編集を行っている。2005年から「PEELER」を運営する(共同編集:野田利也)。鑑賞活動にも力を入れ、定期的にアートに関心の高い一般人と美術館やギャラリーをまわる「アート巡り」を開催している。また現代アートの現状やアートシーンを伝える・鑑賞する授業として、2011年度、2014年度、2015年度愛知県立芸術大学非常勤講師、2012年度京都精華大学非常勤講師、2016年度愛知県立芸術大学非常勤研究員、2014~ 2017年度大阪成蹊大学非常勤講師などを担当している。 写真 (C) Takuya Matsumi ≫ 他の記事

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