アンキャッチャブル・ストーリー

自分以外の「誰か」が同じ世界で生きている。そのことを、私たちはどのくらい精確に受け止めることができているのでしょうか。

poster for Uncatchable Story

「アンキャッチャブル・ストーリー」

京都市北区エリアにある
瑞雲庵にて
このイベントは終了しました。 - (2017-06-11 - 2017-07-17)

In トップ記事小 フォトレポート by Tsuyoshi Yamada 2017-06-25

京都市北区の古民家・瑞雲庵(ずいうんあん)にて、武本彩子(キュレーター / アートコーディネーター)による展覧会『アンキャッチャブル・ストーリー』が7月17日(火曜・水曜・木曜は閉廊)まで開催しています。

本展覧会は、京都の公益財団法人西枝財団による「瑞雲庵における若手創造者支援・助成」2017年度対象事業の2017年春会期の展覧会として開催しています。この公募は、キュレーターの育成を目的とした公募であり、財団が所有する築100余年の古民家瑞雲庵をアートスペースとして開放し、現代美術やデザインがより身近に楽しめるような展覧会企画、および企画者、キュレーターに対して、助成しています。

武本彩子は、京都芸術センターアートや、GalleryPARC(京都)などで、展覧会企画、コーディネイトをされてきた経歴があり、今回『アンキャッチャブル・ストーリー』と題して、牛島光太郎、田中秀介、阿児つばさという3名の美術作家による展覧会を企画しました。

本展を企画​している武本彩子は、展覧会パンフレットの概要で、今回の展覧会をこのように語っています。

「自分以外の「誰か」が同じ世界で生きている。そのことを、私たちはどのくらい精確に受け止めることができているのでしょうか。近年、わかりやすい言葉によって編集された、誰かの「ストーリー」が、大勢の人々にとらえられ、裁かれ、無残な状態にされるようなことを数多く見かけるようになりました。キャッチーな言葉のあふれる現在、私たちは、本当は完全にわかることなどできない『誰か』のストーリーを、自分に「わかる」言葉でつかまえ、消費することを、無自覚に繰り返すようになっているのかもしれません。

このたび、3名の美術作家(牛島光太郎、田中秀介、阿児つばさ)による展覧会を、京都市北区の古民家・瑞雲庵(ずいうんあん)にて開催します。

牛島光太郎(うしじま・こうたろう/1978年・福岡県生まれ)は数年にわたって、路上に落ちている、過去に誰かの所有物であった、ボタンやキーホルダーなどの「モノ」を拾い集めてきました。牛島はそれらを丁寧に配置し、一見無関係な言葉と組み合わせることで、意味や機能から離れた、そのもの自体の存在を見出そうとします。

田中秀介(たなか・しゅうすけ/1986年・和歌山県生まれ)は、仕事に従事する人々や、光を浴びる建物の姿など、一見何の変哲もないながらも、どこか印象に残る場面を描いています。田中は、現在自らが「見ている」と思っているものが、一体どのようなもの・ことであるのかを、描くことで紐解きます。タイトルとして与えられた言葉は、さらに広がりのある情景を画面にもたらします。

阿児つばさ(あこ・つばさ/1991年・兵庫県生まれ)は、ふと出会った「わからない」言葉やイメージを出発点に、ドローイング、写真、旅やリサーチ、パフォーマンスと、さまざまな方法で思考を展開してきました。ものや人々を介して、徐々に『わからない』へと近づく阿児は、自身の作品を、ストーリーでも物語でもない、一寸先の未来に向けて発せられた「シナリオ」と位置づけます。

彼らは、過去・現在・未来における、「わからない」ものを扱いながらも、それらを簡単に「わかる」ものにしようとはしません。そのことは、わからない何かの輪郭をなぞりながらも、安易につかまえることなく、むしろどこまでも逃がそうとする試みのようでもあります。発された言葉が、一瞬のうちに広まり、多くの人につかまえられてしまうような状況で、自覚できないほどたやすく、加害者や被害者になってしまうことがあります。それでも、言葉がなければ知り得なかったかもしれない「誰か」のことに、無関心にならず、その『つかまえられないストーリー』とともに生きるための態度やすべを、彼らの作品から見つけることができるのではないでしょうか」 武本彩子[本展企画]

「アンキャッチャブル・ストーリー」というタイトルが示すように、この展覧会は一見説明不足な展覧会かもしれません。展覧会鑑賞というものは、作家、作品への説明を求めてしまいがちですが、本展覧会では自分の中に生まれた疑問や感情に、身を委ねてみるのも良いのかもしれないです。作家の作品だけでなく、本展企画の武本彩子がいったい何を考えてこの展覧会を企画構成したのか、そんなことに想いを馳せてみるのも良いのではないでしょうか?

作品に関してはクロージングに向け、トークショーやワークショップ、アーティストトークなどで、少しずつ解読されていくようです。興味がある方はぜひ参加してみてください。

また、茶室や蔵、庭など築100余年の古民家、瑞雲庵(ずいうんあん)ならではの展示も見物です。
展覧会の作品と共に建物もご覧になってください。

【展覧会企画】

Ayako Takemoto / 武本彩子(キュレーター / アートコーディネーター)
1988年岡山県生まれ。京都芸術センターアートコーディネーター(2013〜2016)。同館での主な展覧会企画に『ハイパートニック・エイジ』(2015)、『NEW HOME』(2014)、主なコーディネートに、『アン・リスレゴー:Shadow Ya Ya』(2015)、『小谷元彦:Terminal Moment』(2014)。2016年よりGallery PARC(京都)スタッフ。

【展覧会概要】

アンキャッチャブル・ストーリー
2017年 6月11日(日) – 7月17日 (月・祝) ※火水木 休み・入場無料
Open 月・金|14:00 -20:00 土・日・祝|12:00 -18:00
展覧会公式 Facebook
https://www.facebook.com/uncatchable2017/

関連プログラム|
ゲストトーク:牛島光太郎と福永信と歩く、「みちのはなし」ツアー

7月2日(日)15:00~17:30
牛島光太郎[出展作家]とゲスト・福永信[小説家]が、地下鉄「北山」駅から出発し、瑞雲庵までの道すがら(徒歩約25 分)と、瑞雲庵到着後に話をします。

 ①そぞろ歩き編 15:00 ~(会場:地下鉄「北山」駅 ~ 瑞雲庵の道中)
 ②瑞雲庵編 16:00頃 ~(会場:瑞雲庵)
 ※ ①そぞろ歩き編 に参加の方は15:00 に地下鉄「北山」駅
  ③番出口にお集まりください

 【ゲスト】福永 信(ふくなが しん)
 1972 年生まれ、小説家。『星座から見た地球』(2010)など。


パフォーマンス:阿児つばさ「Day Scenario」 

7月7日(金)、14日(金)、17日(月・祝)17:00 頃~

ワークショップ:「平凡を見つめて描く(講師:田中秀介)」 
7月 9日(日)14:00 ~17:00
おもにアクリル画材を使って絵を描きます。子どもから大人まで、どなたでも参加できます。
 参加費:300 円(材料費)
 対象:小学生以上
 ・参加希望の方は、事前に下記までお申込ください(定員10 名・先着順)
 本展実行委員会|
 E-mail:uncatchable2017@gmail.com
TEL&FAX:075-231-0706(Gallery PARC)
 ・汚れてもよい服装でお越しください

クロージング:アーティスト・トーク

出展作家・企画者による座談会。
7月17日(月・祝)14:00 ~16:00

*詳細はウェブサイトをご覧ください
https://www.n-foundation.or.jp/activity

主  催|『アンキャッチャブル・ストーリー』展実行委員会
助  成|公益財団法人西枝財団、アーツサポート関西 
協  力|Gallery PARC
デザイン|三重野龍
お問合せ|本展実行委員会
E-mail:uncatchable2017@gmail.com
TEL&FAX:075-231-0706(Gallery PARC)

日 時
2017年6月11日(日)~ 2017年7月17日(月)
(金/月)14:00~20:00  (土日祝)12:00~18:00
火水木 休み
会 場
[北区]
瑞雲庵
〒603-8074 京都市北区上賀茂南大路町62-1
●京都駅から京都市バス9号系統「上賀茂御薗橋」下車 徒歩15分
●阪急烏丸駅・河原町駅から市バス4号系統「上賀茂神社前」下車 徒歩10分
●市営地下鉄北大路駅から京都市バス37号・北3号系統「上賀茂御薗橋」下車 徒歩15分
●市営地下鉄北山駅から徒歩25分、タクシーでワンメーターほど
料 金 無料
主 催 『アンキャッチャブル・ストーリー』展実行委員会
問合せ先 E-mail:uncatchable2017@gmail.com
TEL&FAX:075-231-0706(Gallery PARC)

Tsuyoshi Yamada

Tsuyoshi Yamada . 東京都小平市生まれ、武蔵野美術大学芸術文化学科卒業。長らく武蔵野美術大学で、研究制作を続けて、その傍ら、美術展企画や舞台制作、ドキュメンタリー制作などに尽力を注ぎ、芸術と美術、作家と作品、ものつくりの世界に触れる。2013年京都に拠点を移し、デザインとアートの世界の周辺に身を置いている。株式会社モーフィング所属。 ≫ 他の記事

KABlogについて

Kansai Art Beatの運営チームにまつわるニュースをお伝えします。

Facebook

KABlogのそれぞれの記事は著者個人の文責によるものであり、その雇用主、Kansai Art Beat、NPO法人GADAGOの見解、意向を示すものではありません。

All content on this site is © their respective owner(s).
Kansai Art Beat (2004 - 2018) - About - Contact - Privacy - Terms of Use