富山県美術館に行ってみた

作品も空間も魅力的

In 特集記事 by Chisai Fujita 2017-10-04

1980年代に開館した日本の多くの美術館は今、耐震工事や配管工事といったリニューアルをするところが多い。富山市にある富山県美術館は、場所も建物も一新し、前身である富山県立近代美術館のコレクションを引き継ぎながら、新たな美術館として今年8月26日に全面開館した。


富山県美術館 入口から見た外観

もはや美術館が作品を見る場所だけではないとき、富山県美術館は、幅広い層に向けて積極的な取り組みを行うようにしている。
ガラス張りの建物は内藤廣(関西ではとらや京都一条店を手掛けている)、ロゴマークは永井一正(デザイン界の巨匠)など著名な建築家、デザイナーが関わっている。自治体主導の美術館にありがちなダサさは見当たらない。

まずは作品を見てみよう。


アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック 《マンジの肖像》1901年 富山県美術館所蔵

11月5日まで「富山県美術館開館記念展 Part 1 生命と美の物語 LIFE - 楽園をもとめて」展を、また、11月14日まで「コレクション展 I」を開催している。

コレクション展示室では、作品だけでなく、その横に、


作品横にある、作品説明、作品キャプション、QRコード

コレクションの主要作品の一部作品に対して、作品キャプション(タイトルや作家名、制作年などの情報)だけでなく、丁寧な作品の説明、QRコードがある。専用のアプリを入れたスマートフォンでQRコードを読み取ると、


スマホでQRコードを読み取ると、作品の解説を読んだり聞くことができる。

とても詳しい作品の解説を、文字情報として読むだけでなく、イヤホンガイドのように聞くこともできる。

コレクション(美術館の所蔵作品)は、Toyama Prefectural Museum of Art and Designという美術館の英語名が示す通り、美術とデザインの作品が並ぶ。デザインといっても幅広いので、展覧会場はこんな感じだ。


3階デザインコレクション 展示室(展示室5)

2017年9月に私が行った際にしていた「デザインコレクション I」は、収蔵される13,000点を超えるポスター、1990年から収集し始めた椅子から、テーマに合ったものが選ばれて、展示室に並んでいた。どこかのショップかと思ってしまうほど!

富山県美術館は、作品だけでなく、空間にも「いいな」と思ってしまう部分が多い。
例えば、京都出身の三沢厚彦の作品が点在していて、この大きな作品には「会えて良かった」と心が休まる。そこで、作品の周りをぐるっと見渡してほしい。


三沢厚彦 《Animal 2017-01》2016-2017年 富山県美術館蔵

作品周辺、つまり壁や天井などに使われている木材、アルミ材、は富山県産!そう、富山県はいろいろなマテリアル産出県であったのだ!!

窓から外を見やると、

3階から立山連峰をのぞむ(天候による/本画像は4月中旬すぎに撮影)

こんなに立山連峰がきれいだなんて!卒倒するぐらい、ナイスビュー! !

さらに屋上へ行ってほしい。屋上庭園「オノマトペの屋上」として開放し、オノマトペ(擬音語や擬態語)を元につくられた、佐藤卓氏デザインの子ども向け遊具が置かれている。


屋上庭園「オノマトペの屋上」のようす

もちろん大人、子ども向けに、アトリエ、授乳室が備わったキッズルームといった施設も充実している。

富山県美術館は、富山県富岩運河環水公園の一角に位置し、その公園もとても居心地が良かった。関西からだと、片道3時間前後、とちょっとした小旅行にうってつけ。行くなら今、かもしれない。

【展覧会名】「富山県美術館開館記念展 Part 1 生命と美の物語 LIFE - 楽園をもとめて」、「コレクション展 I」「デザインコレクション I」
【会場】富山県美術館
【会期】「富山県美術館開館記念展 Part 1 生命と美の物語 LIFE - 楽園をもとめて」2017(平成29)年8月26日(土)~11月5日(日)
「コレクション展 I」および「デザインコレクション I」は~11月14日(火)
【公式サイト】http://tad-toyama.jp/

Chisai Fujita

Chisai Fujita . 藤田千彩アートライター/アートジャーナリスト。1974年岡山県生まれ。玉川大学文学部芸術学科芸術文化専攻卒業後、某大手通信会社で社内報の編集業務を手掛ける。5年半のOL生活中に、ギャラリーや横浜トリエンナーレでアートボランティアを経験。2002年独立後、フリーランスでアートライター、編集に携わっている。これまで「ぴあ」「週刊SPA!」「美術手帖」など雑誌、「AllAbout」「artscape」などウェブサイトに、展覧会紹介、レビューやインタビューの執筆、書籍編集を行っている。2005年から「PEELER」を運営する(共同編集:野田利也)。鑑賞活動にも力を入れ、定期的にアートに関心の高い一般人と美術館やギャラリーをまわる「アート巡り」を開催している。また現代アートの現状やアートシーンを伝える・鑑賞する授業として、2011年度、2014年度、2015年度愛知県立芸術大学非常勤講師、2012年度京都精華大学非常勤講師、2016年度愛知県立芸術大学非常勤研究員、2014~ 2017年度大阪成蹊大学非常勤講師などを担当している。 写真 (C) Takuya Matsumi ≫ 他の記事

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