町田夏生 「乙女の衝動」
YOD Gallery
このイベントは終了しました。
彼女の制作の根底には《乙女》のフレーズが存在します。他者に対する憧れや愛情、愛するものへの感情は、「結ばれる」ことによってひとつの完結形を迎えます。しかし、その「結ばれる」という意味はいったい何なのか。その葛藤に揺れ動き、自らの存在意義に悩む女性《乙女》が、彼女の作品の中で様々な感情と共に変容する女性像として存在します。
作品の色彩は桃色をベースに明るく鮮やかに描かれていますが、アクリル絵具のマチエールの持つ柔らかさによって感情の強弱はフラットにされ、人間個人の感情・主張のはかなさも感じさせてくれます。描かれる豊満な多花弁の花々は、女性の感情の限りなく最大限の感情表現であり、幻想的ではありますが他者への積極的なコミュニケーションとして彼女の作品に表現されています。
当展ではアクリル画の平面作品から立体の人形まで、インスタレーションの要素も交えて展示いたします。
メディア
スケジュール
2008年03月04日 ~ 2008年03月22日
3/20(木・祝)は開廊
アーティスト
Reviews
倒錯・・・それも、画家本人の倒錯ではなく、イメージとしての乙女心を客観的(男性的客観的と言うべきかも知れないが)に見ての倒錯・・・という言葉が似つかわしい気がするこの展示。まさか、とあるよく行くギャラリーで見逃した展示に参加していたとは思わなかったが・・・。
メッセージは絵の中にしっかりと隠されており、それを解説されるギャラリーオーナーが好印象。
しかし、繰り返される輪廻は、決して報われ切れているわけでもなく、展示の配列のように、思い抜けない限りは思い抜けていかないのである。その解脱は、指摘によるのか成長によるのか。まさに乙女心の中に入って“ ”の衝動に駆られる心地だった。
アーティストも好き勝手に本領を発揮し、ギャラリストも自らのスペースと展示解説を最大限に発揮する。そんな、アーティストとギャラリストの豊かな連携を感じられずには居られない。まさにそんな展示だった。