「美術を知るよろこび 線の発見」展
大阪市立近代美術館(仮称)心斎橋展示室
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私たちの遠い祖先は、「ひっかく」ことで身体運動の痕跡が残ることを覚え、物の輪郭や境界に気づいて「わかつ」ことを知りました。これら二つの線の働きによって、人類は世界を知り、道具を知り、言葉と文字を知り、文明をつちかい、そして美術を生み出してきました。
美術の歴史をひもとけば、「かく(ひっかく)」ことによる線は、素描や墨画、書字の中心をなす要素として存在しつづけ、筆や腕の振りに情動をぶちまける表現主義となり、「身振りの絵画」をはじめ現代にも脈々と生きています。「わかつ」ことによる線は、幾何学や建築術の根底をなす要素として、絵画に遠近法と構図の秩序をもたらし、現代でもモダンデザインや「ミニマルアート」の骨格となっています。
本展は、近代美術館コレクションのなかから墨蹟や近代絵画、モダンデザイン、現代美術作品など約60点を展示し、それぞれの作品の中にひそむ「かく(ひっかく)」線と「わかつ」線、二種類の線を読み解くことで、美術に親しみ理解を深めていただく機会とします。
【画像:桑山忠明 「オリーヴ・グリーン・ブルー・ヴァイオレット・パープル」より「ブルー」 (1966)】