最後の手段「ミッドナイトサマーシアター」インタビュー

東京を中心に活動する映像作家ユニットによる関西限定のインスタレーション

poster for All-Night Haps Midnight Summer Theater

「ALLNIGHT HAPS『ミッドナイトサマーシアター』」

京都市東山区エリアにある
HAPSにて
このイベントは終了しました。 - (2014-05-03 - 2014-08-31)

In インタビュー by Tsuyoshi Yamada 2014-07-31

京都市東山区に位置する東山アーティスツ・プレイスメント・サービス(HAPS)では、5月3日から8月31日まで夜の光と映像が特別な場をつくりだす「ミッドナイトサマーシアター」を開催しています。

midnightsummertheater_omote

この企画展示は、HAPSが主催している「ALLNIGHT HAPS」という企画枠で、HAPSオフィスの1階スペースにて終夜展示を行い、道路からウィンドー越しに観覧する独自の構成となっており、若手アーティストの発表の場であるとともに、若手キュレーター養成を目的としています。

今回は映像プロデューサーであり、様々な企画も行う向井麻理の発案により、夕方から夜を越えて上映と展示が行われている「ミッドナイトサマーシアター」が開催されています。参加作家は、荒川智雄/ひらのりょう/MARK/映像発信てれれ/fuzitama/最後の手段/山本麻紀子/伊藤存+青木陵子という美術のみならず多様なジャンルで活躍する8組のアーティストによるリレー方式の上映と展示になっています。

今回は7月26日(土)~8月7日(木)まで展示している映像作家チーム「最後の手段」の有坂亜由夢さんと木幡連さんに、今回の展示作品と制作スタイルについてお話を伺いました。

「最後の手段」を組んだ経緯を教えてください。

木幡「ぼくたち3人は、東京芸術大学の同級生だったんですが、有坂さんが大学院に進学したころに、ぼくは「FRESH」という同世代の作家のあつまりのに参加していて、みんなで大きな流れに飲み込まれないぞ!みたいなことを話していたりしたんです。そこで作家の加藤翼さんから映像クリエイターの大月荘さんのPVの仕事を手伝わないかという話があって、ぼくと有坂さんも参加しました。撮影の裏側を見て、こういう風につくるのか、大変だなーとかを感じたりしてたんですよ。そのときはそれで終わったんですけど、そのあとに大月さんのところに、イベントで流す映像をつくれる学生はいないかという依頼がきて、有坂さんがいいんじゃないかという話をいただいたんですね。それで1人だと大変なので3人で映像をつくることになったんです」

有坂「わたしはそのころに、映像をやりたかったから就職をしようと考えていて、ディレクターとプロデューサーの違いもわからず面接を受けにいきました。。手を動かして、ものもつくりたいし、脚本も書きたいし、監督もしたかったいので、当然面接官と私の言っている事はズレていて。就職しても自分のやりたいこともできないし、居場所がないなと思ってて。そのときには、大月さんに映像も見せてないのに推薦していただいて、その仕事がきっかけで最後の手段が結成されました」

一番最初の映像作品「ADOBE STUDENT AND TEACHER EDITION」

最後の手段の制作の中での3人の役割はなんですか?

有坂「役割は、わたしが脚本とか、コンテとか考えたりとかして、木幡くんがそれに口出しするというか監修みたいなことをしてくれる。で、おいたさんはさらに二人のことを客観的に見てくれて、最終調整というか、ブラッシュアップして、クオリティーをあげてくれる」

木幡「ぼくらは、ライティングとかめちゃくちゃだったりするから、映像として最終的に一本にまとめるときに、おいたさんが作品全体の質感などをまとめる部分をやってくれます」

独特の世界観を映像化していると思います、発想の源はどこにありますか?

有坂「他の作家さんと変わらないと思いますが、PVであれば、曲の世界観に合わせているつもりではいるんですけど、歌詞にあわせて、内容を掘り下げていく、そこに眠っているなにかを掘り起こしていくような感じかなーと思ってる」

木幡「たまに有坂さんがなんでこんなの描いたんだろうというのを出してきて。これをこのPVに出していいのかなーっていうのをどんどん出してくるから、だからすごいなーと思ったりします」


文化庁メディア芸術祭2013 エンターテイメント部門新人賞受賞作
「やけのはら/RELAXIN’」

今回「ミッドナイトサマーシアター」に出品している作品について教えてください。

木幡「東京の谷中にあるQOIというスペースで展示をしたことがあって、『そういえば、テレビの上に何か置いてた…』っていう企画だったんですが、それは昔TVの上に置いてあったものが、テーマで、いろんな作家がつくりました。その人の家のTVの上にあるものをもってきてる人もいました。そのときぼくらはそのTVの中の映像をつくったんだけど、今回HAPSでそのようなことが展示できたらなと」

有坂「映像作品というよりも、インスタレーションというのかな。なんか会場が民家みたいな所にあるじゃないですか。夜中に変な映像が流れている状態って面白いなって思って、その違和感っていうか。お店みたいなんだけど、お店じゃないし、何屋だよっていう。売ってないし、入れないし、ここはなんなんだろうっていう」

木幡「アートとか思わないかもね」

有坂「世の中的には、アートじゃないんだけど、アートに見えるっていうか。そういう感じの展示にしようと思っています」

どういったところを見てもらいたいですか?

有坂「アートに関心がある人もない人も、なんじゃこりゃ!って思ってもらえたらいいのかな。なんか不可思議な空間を楽しんでもらえればいいかなと」

最後の手段の展示は、7月26日(土)~8月7日(木)まで行われています。夜の町並みとともにアートらしきものに触れてみてはいかがでしょうか?

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開催概要
会期    2014年5月3日(土)~8月31日(日) 会期中無休
展示時間  19:00〜10:00(翌日朝)
会場    HAPSオフィス1F(京都市東山区大和大路五条上る山崎町339)
企画    向井麻理
出展作家  荒川智雄/ひらのりょう/MARK/映像発信てれれ/fuzitama/最後の手段/山本麻紀子/伊藤存+青木陵子
主催    東山アーティスツ・プレイスメント・サービス(HAPS)
支援    平成 26 年度文化庁地域発・文化芸術創造発信 イニシアチブ
助成    公益財団法人 朝日新聞文化財団
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Tsuyoshi Yamada

Tsuyoshi Yamada . 東京都小平市生まれ、武蔵野美術大学芸術文化学科卒業。長らく武蔵野美術大学で、研究制作を続けて、その傍ら、美術展企画や舞台制作、ドキュメンタリー制作などに尽力を注ぎ、芸術と美術、作家と作品、ものつくりの世界に触れる。2013年京都に拠点を移し、デザインとアートの世界の周辺に身を置いている。株式会社モーフィング所属。 ≫ 他の記事

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