『蘇る光の物語 -ASUKA THE FUTURE-』Art project by COSMIC LAB

石舞台古墳で繰り広げられる、最新のプロジェクション技術が融合したパフォーミングアート

In ニュース by Reiji Isoi 2014-11-14

奈良県明日香村にある「石舞台」にて、国営飛鳥歴史公園「開園四十周年」記念イベントとしてプロジェクションマッピングのイベントが行われます。

これは石舞台古墳で繰り広げられる、最新のプロジェクション技術が融合したパフォーミングアートです。今回、国の特別史跡「石舞台」へのプロジェクションマッピングによる映像パフォーマンスを手掛けるのはColographonic氏とJamie Goodenough氏です。

Colographonic氏は2000年代前半に、関西のダンスミュージックシーンで有名な’Flower of life’のオーガナイザーをつとめ、また昭和の香りが漂う味園ビルの一階を拠点に多目的なアートスペース「ギャラクシーギャラリー」の運営など、多様なイベントのオーガナイズやVJとしての活動を長く続けているアーティストです。

一方スコットランド出身、日本在住のJamie Goodenoug氏は約10年程前に来日して以来、奈良県を拠点にプログラミングを駆使したインタラクティブな作品を制作発表するなどのアーティスト活動を行う傍ら、当時在住していた萱森にて’Headspace’という在日外国人アーティストのためのアートスペースとイベントの運営に携わっていました。

二人は、最新技術やプログラミングを取り入れた映像表現を追求するVJであり、ジャンルを超えた多様な表現活動を行う人々が集うアートスペースとしての場を提供してきた共通のバックグラウンドを持っています。

2009年頃に、Jamie氏が主催し関西で行われたアートイベントにColo氏をVJとして参加したのをきっかけに、お互いの手掛けるイベントにそれぞれ出演するほか、共演やコラボレーションことも多くなり、次第にモーションセンサー装置やプログラミング用いたインタラクティブな映像表現を共同で開発するようになったそうです。

二人は、昨年、京都ひよしの森でおこなわれた音楽イベント「スターフェスティバル」に、VJチームとしてコラボレーション出演した後、大規模なプロジェクションマッピングによる映像演出を手掛けるようになります。またJamie氏が萱森で運営する’Headspace’でのワークショップを通じて明日香村との接点ができ、これまでに酒船石、猿石、高松塚古墳といった奈良県明日香村に古代より伝わる重要な歴史遺産を対象に、彼らが共同で制作した360プロジェクションマッピングを行うなど、実験的で興味深いイベントを行っています。

石舞台でのプロジェクションマッピングを目前に控えたリハーサルの合間に、Colographonic氏にインタビューに応じていただきました。

ー前回、高松塚古墳での360°プロジェクションマッピングを通じて感じたことを聞かせて下さい。

「日本の古墳が現在も遺る古い場所に、ジェイミーみたいな現代のテクノロジーやコンピューターを駆使するアーティストがやってきて、パフォーマンスをやることは、一見すごく違和感を与えるかもしれないけど、そこがまた絶妙にハマったんじゃないかなと。シルクロードの終着地、いろんな文化や情報が運ばれてくるスーパーハイウェイの最終地点である日本、かつて古代にも渡来人文化が栄えたこの地で、海外から来日したジェイミーと一緒にプロジェクションマッピングのイベントをやることに、すごく不思議な縁を感じています」

ー古代遺跡を舞台に先端技術を用いた実験的バフォーマンスを行うことについて、どういう思いで取り組んでいますか?

「例えば、高松塚古墳内の石室の東西南北に描かれた四神の絵も古代に中国大陸から、海を渡って来た人たちによって描かれたものという説があるんです。それらの絵は経年による損傷が大きく、ところどころ腐食してしまっていたんですが、現代の技術を使い高解像度でスキャニングし、専門家達が分析・検証したうえで、古典的な職人さんが着色してデジタル化したデータを貰い、それを僕たちが高松塚にプロジェクションさせてもらいました。そのときに、当時の人たち、石室に絵を描いた人たちに想いを馳せると、彼らはまさか1400年後に自分たちのヴィジョンが、今回ぼくらがやっているような方法で再び投影されるとは思いも寄らなかっただろうなと。その辺のコネクションのダイナミックな感じがとても面白いです」

ープロジェクションマッピングについて、考えていることや感じていることは?

「視覚的な表現であると同時に、いま目に見えてないものをヴィジュアライズするために、掘っていきながら輪郭を出していく行為なのかなと。何にプロジェクションするのかというのが大事で、対象との関係性や繋がりの中から、新たに何を引き出せるか、そのためには対象とどう繋がってどういう光の方にするのかという、その辺りを探っていくところが一番面白いし、やり甲斐を感じています。それはもしかしたら彫刻や、遺跡発掘にも似た感覚なのかもしれないですね」

古代遺跡と現代テクノロジーが融合し時を超えて出現するオブジェクト、その実験的パフォーマンスの目撃者となるべく、是非この機会に明日香の石舞台を訪れてみてはいかがでしょうか?

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開催概要
『蘇る光の物語 -ASUKA THE FUTURE-』
http://www.cosmiclab.jp/asuka-the-future/

日時
平成26年11月15(土) ~ 16日(日)
18:30~21:00
※各回250名様ずつ、20分ごとの入れ替え制でのご観賞となります。

場所
国営飛鳥歴史公園 石舞台地区

制作
Art Project by : COSMIC LAB
Artist : Colo GraPhonic x Jamie Goodenough x 山中 裕平 (ヴァイオリン)

石舞台古墳入場料
大人(中学生以上)ー200円
小学生以下ー無料

主催
国営飛鳥歴史公園

後援:
明日香村・草月流奈良県支部

問合せ先
飛鳥管理センター
TEL:0744-54-2441
http://www.asuka-park.go.jp

ARTIST PROFILE

■山中 裕平 (ヴァイオリン)
桐朋学園大学音楽学部カレッジ・ディプロマコース修了。国立音楽院ジャズミュージシャン科卒業。宮日音楽コンクール最優秀賞。JILA音楽コンクール弦楽部門第3位。
石川誠子、曽我部千恵子、工藤千博、鷲見健彰の各氏に師事。
イタリア、ドイツ、ポーランドのマスタークラスにてマッシモ・プラディーラ、リェルコ・シュピーラー、ワンダ・ヴィゥコミルスカの各氏に師事。
その他、サラブレッドの研究や、世界各地への旅からも多大な影響を受ける。
現在ソロ、室内楽の他、タンゴバンド「エル・フェジェ」への参加など、様々なジャンルで活動中。

■Colo GraPhonic
VJ & Producer。奈良・明日香の高松塚古墳への360°メガロプロジェクションマッピングや東京国立博物館でのインスタレーションを近作とするビデオアーティスト。COSMIC LAB 主宰。20世紀末、サンフランシスコ発祥のフリークアートフェス BURNINGMAN で「NO SPECTATOR(傍観者になるな)」の洗礼を浴び、VJユニット”BetaLand”をHiralionと共に始動し、その後パーティー”FLOWER OF LIFE”のオーガナイズをスタート。以来15年以上に渡り、BOREDOMSやDJ HARVEY、ALTZをはじめとする国内外最高峰のミュージシャン/DJたちとの数えきれないVJセッションを積み続け、”FUJI ROCK FESTIVAL”、”FREEDOMMUNE 0″等のビッグフェスや、先鋭的でアンダーグラウンドなパーティーまでと幅広いレンジで活躍する。N.Yの伝説的アーティスト”RAMM-ELL-ZEE”、”エゴ・ラッピン”、”OOIOO”等のミュージックビデオを制作。

http://www.cosmiclab.jp/artist/colographonic/

■Jamie Goodenough
COSMIC LABクリエイティブディレクター、インタラクティブ・アーティスト。
Royal College of Art 卒。
最新のテクノロジーの探究心と大自然への関心が、彼を約10年前に日本へと誘った。
田舎で生活する環境の中で、農耕機器をインタラクティブな先端技術を用い現代アート作品に改造したり、下記に挙げる様々なプロジェクトを主宰してきた。
・HeadSpace→ 奈良・西大寺にて行われた、国際的なアーティスト・レジデンス・プログラム
・Kayamori→ 奈良・大三輪山近くの麓で開いた住居兼イベントスペース
・Seeedit→ インターネットを介し作動する機器や、HP等の制作会社
・ModuLight→ 最新のLED機器やプロジェクションマッピングシステムの開発チーム
COSMIC LABでは、明日香や東京国立博物館、高野山などの文化的に重要なロケーションで先端技術を駆使し、
様々なインタラクティブ・アートや映像表現を手掛ける。

www.headfull.jp

Reiji Isoi

Reiji Isoi . 1978年生まれ。00年代前半より音楽業界を中心に写真の撮影活動を始め、音楽・美術・文芸誌に写真・インタビュー記事等を寄稿するほか、映像撮影・制作の仕事に携わる。仲間と突発的に結成した『宇宙メガネ』からも不定期に発信することがある。各地で起こる皆既日食、米国のバーニングマン、インドのクンブメーラ祭、古代遺跡でのイベントなど、津々浦々で出会う作品や表現者たちとの交流を通じ、森羅万象の片影を捉えようとカメラを携え日々撮り続けている。 http://razyisoi.jp/ ≫ 他の記事

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