7月2日(土)、3日(日)より第14回目となる現代美術のアートフェア「ART OSAKA 2016」が、ホテルグランヴィア大阪26階(JR大阪駅直結)で開催されます。
ART OSAKAは、現代美術に特化したアートフェアとして日本で最大規模のフェアとなっており、今年の参加ギャラリーは国内外より53ギャラリー(関西 24、関西以外20、台湾3、韓国4、マカオ1、パリ1)がラインナップ。うち11件がART OSAKA初出展で、展示ブース数は67部屋に上ります。
今回、インターンのaiとiseiがART OSAKAの内覧会に伺ってきました。
蘇子涵 (SU, Tzu-Han) 「Sweetie- nuclear cake」
Galerie Grand Siècle (ROOM #6108)
はじめに目にとまったのは、台北出身の作家、蘇子涵さんの作品「Sweetie- nuclear cake」です。立体の作品を中心に展開されています。今回は、ギャラリーGalerie Grand Siècleからの出展となります。作品名「Sweetie- nuclear cake」の通り、透明なケーキの中に、ポップで色彩豊かなミニチュアの世界が広がっています。透き通った(クリアな)見た目とは対照的に、作品名に「nuclear」(核)というワードがアイロニカルに使われており、強く惹かれるものがありました。よく見ると、水面の上のボートには人が釣りをしている様子が再現されています。小さな彫刻の中に広がる壮大な世界に思わず引き込まれました。
JILL D´ART GALLERY (ROOM #6015)
次に私の目を引いたのは、内田有さんの「cool it (xs)」です。 一見ポップでかわいい見た目の作品ですが、私たちがが生きる「消費社会」と「地球温暖化」という現代社会の問題をコンセプトとした作品だそうです。主な素材としてガラスとアイスキャンディーをモチーフに制作され、 アイロニーを織り交ぜてガラス鋳造法で表現されているそうです。見た目とは対照的な作者の想いを込められたこの作品を目にして、改めてアートとは何なのかと考えさせられました。実際に作家さんとお会いして話してみた中で、作品のモチーフとなっているシロクマは、絶滅危機に陥っている温暖化を示しており、一方でアイスキャンディーは現在の消費社会のシンボルとして意味づけられていることがわかりました。
小学校での給食の風景を表している絵に、雲が描かれています。日本の古典絵巻でよく描かれている「源氏雲文」から現代に続く系譜について考えさせられました。 実際にお話を伺った中で、作品の中のモチーフの雲は浮世絵から来ていたことを知り、また別の立体作品にあった組み体操は、台湾にはなく日本独特の慣習で日本人のチームワークや文化を作品から感じることができました。
※ 源氏雲文 : 「源氏物語絵巻」に使われたことから源氏雲と呼ばれるようになりました。雲に隠れた部分で時間や空間の推移を想像させ、さらに装飾的効果も与えています。
林和音さんの作品は、香紐や縄、素材を編み繋ぎ立体構成したものを空間に展開しています。光が当たると作品と影が創り出す空間と雰囲気が、とても迫力がありました。
[インターンプロジェクト]
本企画はKansai Art Beat(以下略KAB)において、将来の関西のアートシーンを担う人材育成を目的とするインターンプロジェクトの一環です。インターンは六ヶ月の期間中にプロジェクトを企画し、KABのメディアを通して発信しています。