「やきものの技法・材質」展
兵庫陶芸美術館
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「芸術家が手元の材料の中に自分の感情の完全な具現を見出す事はいつでも可能とは限らない」これはある美術評論家の言葉ですが、実際、ひとりの芸術家が、ある技法と材質を選ぶことと、それによって作品をつくりあげることのあいだには、しばし立ちどまって考えてみるべき何かしらの問題があるように思えます。
もとより、技法・材質は単なる手段ではありませんし、できあがった作品も手段に対応する単なる目的ではありません。つまり、あらゆる芸術の技法・材質と作品の両者は、作者の肉体を通じてしか結びつかないものであり、それが故に、作者は技法・材質を使うのではなく、まさしくそれを生きなければならないのだということができます。と同時に、技法・材質は作者によって怜悧に対象化され、根源的なものとして問われなければなりません。そうでなければ、技法や材質はものを生みだす際の足かせにしかならず、無限の可能性を私たちに開いてはくれないものでしょう。
本展では、やきものという技法と材質に出会うことで、自らの芸術を確立し独自の表現に到達した作家、あるいは、新たな展開を見いだした作家の作品を展示することで、そうした技法・材質/作者/作品の相互的な関係を探ります。
なお、本展の出品作は、いずれも当館の収蔵する近現代の作品です。そして、テーマ展として近現代の作品を展示するのは、これがはじめての機会となります。
※展示室1にて展示
【画像:金子潤「無題、ダンゴ」(2004)】