工藤哲巳 「あなたの肖像」

国立国際美術館

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「あなたの肖像」は、工藤哲巳が最も好んで使用した題名のひとつです。「あなた」とは、作品をご覧になるあなたのことであり、既成の価値観や約束事に縛られた私たちのことです。と同時に、自作の最初の観客である工藤自身をも指します。しかしそれはまた、今なお制御不能な状態が続く放射能による環境汚染から逃れられない人類の肖像でもあるのです。
眼球や鼻がトランジスタとともに養殖され、肥大化した大脳が乳母車に乗せられ、男性器が小魚と一緒に水槽内を泳ぎ、遺伝染色体による綾取りをする人物が鳥籠の中で瞑想するなど、工藤の作品はおぞましく不気味に見えるかもしれません。それは、悲惨な未来の地獄郷ではなく、そのようにしか生き残れない人間と自然とテクノロジーとが渾然一体となった、逆説的なパラダイスにほかなりません。
工藤哲巳(1935 - 1990)は、大阪に生まれ、少年期を父の出身地青森で暮らし、父が早世した後、母の郷里岡山で高校までを過ごしました。東京藝術大学在学中から、戦後の前衛美術の牙城であった読売アンデパンダン展に出品し、篠原有司男や荒川修作らとともに「反芸術」世代の代表格となりましたが、1962年に国際青年美術家展での大賞受賞を機に、渡仏。その後、約20年、パリを本拠に、ヨーロッパを活動の場として、文明批評的な視点と科学的な思考とを結びつけた独自の世界を展開し、1987年には母校の東京藝術大学の教授に就任しましたが、1990年55歳の若さで他界しました。
没後、国内では1994年に国立国際美術館で「工藤哲巳回顧展―異議と創造」が開かれましたが、近年、フランスやアメリカなど、国際的にも再評価の気運が高まっています。本展は、国内では20年ぶりの大回顧展で、国内外の代表作約200点が勢揃いします。

[関連イベント]
ギャラリートーク
日時: 11月9日(土) 14:00〜(13:30より聴講用ワイヤレス受信機貸出)
会場: B3F 展示室
講師: 中井康之(当館主任研究員)
定員: 先着90名
参加費: 無料(要本展観覧券)

国際シンポジウム「工藤哲巳をめぐって」(仮)
日時: 11月23日(土・祝) 13:00〜(10:00から整理券配布)
会場: B1F 講堂
パネリスト: ドリュン・チョン(前・ニューヨーク近代美術館アソシエイト・キュレーター、現・M+美術館チーフ・キュレーター)、富井玲子(美術史家)、ペドロ・エルバー(コーネル大学ロマンス語学科アシスタント・プロフェッサー)ほか(同時通訳付)
定員: 100名
参加費: 無料

上映会 記録映画「脱皮の記念碑 工藤哲巳の記録]」(1970年)
日時: 11月30日(土) 14:00〜(10:00から整理券配布)
会場: B1F 講堂
定員: 130名
参加費: 無料

ギャラリートーク
日時: 12月7日(土) 14:00〜(13:30より聴講用ワイヤレス受信機貸出)
会場: B3F 展示室
講師: 島敦彦(当館副館長兼学芸課長)
定員: 先着90名
参加費: 無料(要本展観覧券)

上映会 記録映画「脱皮の記念碑 工藤哲巳の記録]」(1970年)
日時: 1月11日(土) 14:00〜(10:00から整理券配布)
会場: B1F 講堂
定員: 130名
参加費: 無料


メディア

スケジュール

2013年11月02日 10:00 ~ 2014年01月19日 17:00
休館日: 毎週月曜日、年末年始(12月28日(土)~1月4日(土)、ただし11月4日(月)、12月23日(月・祝)、1月13日(月・祝)は開館、 11月5日(火)、12月24日(火)、2014年1月14日(火)は休館

アーティスト

工藤哲巳

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