「VIDEOs - Critical Dreams - 」
MORI YU GALLERY KYOTO
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原発が爆発し、経済が凋落し、政治が世界から孤立しつつあるこの日本で、人々はただひたすらにスマホを見つめ、「ビデオ」に興じています。「ビデオ」の与える消費の自由に支配され、そこから逃れられないこの状況。それは自らが瀕している危機に目をつむり、メディア消費の夢を見続ける世界です。しかし、そのような盲目的な夢という状況を、VIDEOというコンセプトを通して見るならば、そこにもうひとつの可能性があらわれてきます。それは、その夢自体を、再帰=反省的な、批判的な視=知の場所とするということです。「ビデオ」ではないVIDEOの夢は、夢であればこそ、その夢自体を再帰=反省的な思考の回路へと変容させます。そして世界を批判する思考が、ひとつの積極的な、見る=知る欲望として動き出すのです。こうして、単なる消費としての「ビデオ」とは異なる、明確なコンセプチュアル・アートとしてのVIDEOが生み出されます。VIDEOの美学は、危機から目を逸らさず、アイロニーに逃避もしません。それは危機自体を変化の前触れととらえ、そこに世界のダイナミズムを見出すでしょう。それは、メディア消費の夢の中で閉じこもり、窒息する日本の状況の、まさに反映=リフレクションです。VIDEOという電子の視=知を通して、危機の夢は批判の夢となります。こうしてVIDEOは、メディア消費による奴隷化された世界が、視聴覚的な思考によって乗り越えられる場所となるでしょう。「VIDEOs」は5人のヴィデオアーティストによる展覧会です。