京都国立博物館開館120周年記念 特別展覧会「海北友松」

桃山孤高の巨匠、海北友松(かいほうゆうしょう)に迫る

poster for Kyoto National Museum 120th Anniversary Commemorative Special Exhibition “Kaiho Yusho”

開館120周年記念特別展覧会「海北友松」

京都市東山区エリアにある
京都国立博物館にて
このイベントは終了しました。 - (2017-04-11 - 2017-05-21)

In トップ記事 レビュー by Aki Kuroki 2017-05-10

海北友松は、日本の絵画史上で最も華やかな時代に活躍した狩野永徳、長谷川等伯と並び称される桃山画壇の巨匠です。代表作はもとより、数少ない初期作や新発見・初公開作品、さらに諸人との幅広い交流の跡を物語る書状や文書類など約70点の展示を通して、友松の人生に迫る大回顧展「海北友松」が京都国立博物館で開催されています。


この展覧会が見逃せない5つの理由


(1)60年ぶりの里帰りとなる幻の最高傑作が見られる!

昭和33年にアメリカの美術館が所蔵して以来、初めての里帰りとなる《月下渓流図屏風》が展示されています。これは戦乱の時代を生き抜いた絵師海北友松が最晩年に描いた水墨画で、日本的水墨画の完成を告げる長谷川等伯の《松林図屏風》に比肩される名品。今回の展覧会を見逃すと今後日本国内ではいつ見られるかわかりません。


(2)バリエーション豊かな《雲龍図》

友松67歳の時、京都の最古の禅寺、建仁寺の襖絵50面に描いた中の《雲龍図》は水墨画の傑作といわれ、後世に大きな影響を与えた友松代表作のひとつです。

これ以外にも別室に北野天満宮、勸修寺の《雲龍図》2点が展示されています。当時の屋内の光源は薄暗い行燈の明かりのみでした。なるべく当時と同じ環境で見られるよう、室内の照明をかなり暗く落としています。ほの暗い中で見ると龍の迫力が一層増してきます。

このように本展ではひとりの絵師の様々な《雲龍図》の魅力を堪能することができます。龍は友松が得意とする画題であり、その評判は国内だけでなく隣国の朝鮮でも知れ渡っているほどでした。

(3)代表作がほぼ出揃った、海北友松の史上最大規模の大回顧展

上記(①、②)以外にも友松の代表作といわれる作品や書状や書簡、支払われた桃山時代の領収書などの珍品も公開。それによると、金屏風3枚のお値段は現代のお金に換算すると約240万円、材料費などは別途だったそうですが、当時の評判を考慮すると破格の金額のように感じます。
ほかにも国宝や重要文化財も多数あり、この規模の展覧会は国立博物館だからこそできたものだといえます。

(4)スケールの大きな作品が多く、見ごたえあり

桃山時代に友松が手掛けた絵画は、天皇家や公家・武家・寺院からのオーダーに基づいた巨大な障壁画や豪華な襖絵など、建物の内装を彩る作品が非常に多かったようです。総展示数は約70点ですが、スケールの大きな屏風や掛け軸などの作品が多く、見ごたえのある満足度の高い展示になっています。

(5)巡回はなく京都のみ、開催日36日間の展覧会

通常、大規模展覧会となると巡回することが多いのですが、本展はどこにも巡回しないので、見たければ期間中に京都に来るしかありません。今となっては長谷川等伯や伊藤若冲は、作品を見るために何時間も並ばなければならないほどですが、十数年前はそこまで人気がある絵師ではありませんでした。美術館やテレビ番組などで取り上げられることによって話題になり、知名度がアップ、人気が高まりました。海北友松も桃山画壇の四大巨匠の一人、画力とともにその要素は十分にあります。しかもここまでの規模の展示はしばらくないだろうといわれ、見ておいて絶対に損はない展覧会です。

戦国時代に武士の家に生まれた友松。 「自分は何かの間違いで武士の血を引きながら誤って絵師となってしまった。武士の本分を全うできないのが嘆かわしい」と悩みながら生きた83年の生涯。雑念を昇華させ持てるすべてのものを絵に向けていった、その波乱万丈な歩みは独自の画風を生み出していきます。作品とともに友松の人生をたどり、その変遷と作品の幅広さを実感できるはずです。

また、友松の作品の中で最もゴージャスといわれた妙心寺の《花卉図屏風》において、左隻では余白を大きく用いた友松スタイル、右隻に見る満開に咲き誇る牡丹はひとつひとつ花の大きさや開き具合が描き分けられています。この時代の絵師としては異例の実際の写生に基づいたものと考えられ、その写実的な描写は近代絵画を思わせるものといっても過言ではないくらいです。晩年の友松は、老いてますます自在に、精力的に描き続けた絵師といえるでしょう。

最後に。海北友松が描く動物たちの姿にも注目してみてください。愛らしいお猿さんの姿や馬のプリンとしたまるいお尻、単純化されたかわいいフォルムの白鷺など見ているとクスッと笑えて、桃山時代の巨匠がちょっと身近に感じられるかもしれません。

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京都国立博物館開館120周年記念
特別展覧会「海北友松」
http://yusho2017.jp/

【会 期】 2017年4月11日(火)~ 5月21日(日)
【会 場】 京都国立博物館 平成知新館
【時 間】 9:30~18:00まで(入館は午後5時30分まで)
 ※ただし会期中の毎週金・土曜日は20:00まで(入館は19:30まで)
【休館日】 月曜日
【観覧料】 一般 1,500円(1,300円)、大学生 1,200円(1,000円)、高校生 900円(700円)、     中学生以下無料
    *( )内は前売および団体20名以上。
    *障がい者の方とその介護者(1名)は、障がい者手帳などのご提示で無料となります。
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Aki Kuroki

Aki Kuroki . 兵庫県出身。広告代理店にてアカウントエグゼクティブとして主に流通業を担当、新聞・ラジオ・テレビ・雑誌などのメディアプロモーション、イベント・印刷物などを手掛ける。神戸アーバンリゾートフェアではイベントディレクターとしてフェア事務局に赴任。 その後、10年間心理カウンセラーのかたわら、ロジャーズカウンセリング・アドラー心理学・交流分析のトレーナーを担当。神戸市 保険福祉局 発達障害者支援センター設立当初より3年間カウンセラーとして従事。 2010年よりフリーランスライターとして、WEBや雑誌の編集・インタビュー・執筆などを手掛けた後、現在は美術ライターとして活動。アートの世界のインタープリターとしての役割を果たしたい。 ≫ 他の記事

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