「宮田彩加 : 裏腹のいと」 展

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京都造形芸術大学で染織を専攻した宮田彩加は、手やミシンによる刺繍をベースにしたオリジナルテクニックによる作品制作を手がけています。
目指す図案に向けて、支持体となる布に糸をひと針づつ正確に縫い付けていく「刺繍」は、平面の布に線と面を描くというだけでなく、無数の糸により肉付けをすることによって、平面を立体へと起こしていく行為でもあり、そこでは費やした時間が糸の厚み・質量となって現れます。しかし、それは本質的には「すでに予測され、決定している図案を再現する行為」でもあり、なかでも画像を取り込むことで自動的に刺繍が実行されるコンピューターミシンにおいては、刺繍は予定された仕上がりに向かう「工程」であると言えます。
このことに違和感を覚えていた宮田は、『では、予測された結果に向かう中で、私ができることは何か?』という興味から、その予定調和を崩す行為として、取り込ませる画像データにバグを介入させます。ミシン刺繍が見せる均質な針目によるフラットな仕上がりを崩すために、意図的なバグ(データ上の空白)を含ませた画像を用いることで、予想外に現れる糸の振る舞いを取り込んだ『WARP』シリーズ。刺繍を過剰に集積させることで糸と糸の絡まりによる結び目をつくり、そこに次々と糸を刺しこませることで、刺繍から支持体(布)を排した『Knots』シリーズ。これらはいずれも「集積された時間」を「質量」へと変換される刺繍の特性を持ちながら、コンピューターミシンの特性(プログラムの振る舞い)を逆手に取り、予測不可能なアクシデントを混入させることで、宮田自身も予見できなかったイメージ・物質を生み出しているものです。
宮田は『エラー:失敗の行為によって新たな価値観を生む』ことを大きなテーマに、『生物の形態や、物事の発生や進化の在り方を呼応させた作品づくりをしている。』といいます。作品におけるバグやエラーには、生物進化における特異点を、糸の連なりには多様性と連続性による生命の系譜を見ることができます。また、「プログラムとバグ」による「分かっていること:分からないこと」によってあらわれたイメージは、『見たことのある:未知なるもの』をにカタチを与えたものであると言えます。
 本展では、宮田のMRI脳画像の「空白部分」をゼンタングル(幾何学や波形などの簡単なパターンを反復することで、図柄を埋めていくメソッドの一種)により装飾し、そこから刺繍へと展開させた新作や、骨と風景、絨毯と世界地図など、身近な存在のもの同士を組み合わせをモチーフとした作品、『WARP』や『Knots』シリーズの過去作品を一堂に展示いたします。

メディア

スケジュール

2016年12月10日 11:00 ~ 2016年12月25日 19:00

アーティスト

宮田彩加

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