きしわだアートプロジェクト2017 竹×アートとのであい

竹を切って出てきたのはアートでした

In トップ記事小 レビュー by Chisai Fujita 2017-03-24

いま、日本の多くの自治体がアートに関わる場合、先月レポートした京都府の取組のように「地域あるいは地域住民のために」という場合が多い。今回紹介する「きしわだアートプロジェクト2017 竹Xアートとのであい」は、大阪府南部に位置する岸和田市の事業は、少し目的が異なるアートイベントであった。

岸和田市、と聞くと海が近いイメージがあるが、実は山にも恵まれた土地である。この「きしわだアートプロジェクト2017 竹Xアートとのであい」は、道の駅である愛彩ランドと隣接した山、丘陵地を会場としている。

有志によって普段から山の手入れはなされているものの、特に成長が早い竹を活用できないか、ということに悩んでいた岸和田市は、竹を「アート」にして活用することにした。地元住民のための展覧会、という地産地消はよくある考え方だが、岸和田市は地元の産物、しかも自然物を使った展覧会を試みた。

稲垣智子(岸和田市出身・在住)と植松琢麿のユニット「稲を植える人」は、地元に伝わる白蛇と美女にまつわる話を元に、立体、写真、映像を点在させるインスタレーションを野外に展開した。

日詰明男の《フィボナッチ・トンネル》は、週末になると行列ができるほどだった、という。この竹が実はすぐ近くから取られたものであると知ったら、おそらく誰もが「え!すごい!」と驚くことだろう。身近に体験ができるこんな大きなアート作品になれば、岸和田の魅力を再発見することにも繋がるからだ。

残念なことにこのアートイベントは20日で終わってしまったが、会期中に会場ではワークショップや音楽、演劇も行われた。

例えばフクロウをつくるワークショップ。つくられたフクロウは、会期中フクロウの森エリアでインスタレーションした。

アートイベントが乱立する現在、新たなアートイベントを発信するとき、目玉となるアーティストやアート作品は何か、地域の人と交流を図れるか、他のアートイベントとの差別化、ということばかりが優先順位として挙げられてしまいがちだ。しかしこの岸和田市のように、すぐそこに生えている竹を切ってみたらユニークなアート作品が生まれて、人々がそれを見に来て何かを発見する、というアートイベントも物語としてはアリだし、素敵だと私は思った。

【展覧会名】きしわだアートプロジェクト2017 竹Xアートとのであい

【会場】道の駅 愛彩ランドおよび周辺
【会期】2017(平成29)年3月11日(土)~20日(月・祝)
【公式サイト】https://www.city.kishiwada.osaka.jp/soshiki/10/kishiwada-art-project2017.html

Chisai Fujita

Chisai Fujita . Chisai Fujita 藤田千彩アートライター/アートジャーナリスト。1974年岡山県生まれ。玉川大学文学部芸術学科芸術文化専攻卒業後、某大手通信会社で社内報の編集業務を手掛ける。5年半のOL生活中に、ギャラリーや横浜トリエンナーレでアートボランティアを経験。2002年独立後、フリーランスでアートライター、編集に携わっている。これまで「ぴあ」「週刊SPA!」「美術手帖」など雑誌、「AllAbout」「artscape」などウェブサイトに、展覧会紹介、レビューやインタビューの執筆、書籍編集を行っている。2005年から「PEELER」を運営する(共同編集:野田利也)。鑑賞活動にも力を入れ、定期的にアートに関心の高い一般人と美術館やギャラリーをまわる「アート巡り」を開催している。また現代アートの現状やアートシーンを伝える・鑑賞する授業として、2011年度、2014年度、2015年度愛知県立芸術大学非常勤講師、2012年度京都精華大学非常勤講師、2016年度愛知県立芸術大学非常勤研究員、2014~ 2017年度大阪成蹊大学非常勤講師などを担当している。 写真 (C) Takuya Matsumi ≫ 他の記事

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