ギャラリーのテイストは続けていく中で出てくると思います

ー関西ギャラリー探索|建物と人:京都「bgm gallery and shop」

poster for Tsutomu Date “Owatta Natsu no Outsider Blues”

伊達努 「終わった夏のアウトサイダー・ブルース」

京都市下京区エリアにある
bgm gallery and shopにて
このイベントは終了しました。 - (2016-09-03 - 2016-10-02)

In トップ記事小 フォトレポート by Mitsuhiro Sakakibara 2016-09-12

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ギャラリーの魅力は、そこで行われる展覧会だけではありません。空間のつくられ方やオープンまでのエピソードなど、普段はあまり着目しないギャラリーの別の魅力にも、目を向けてみてはいかがでしょうか。

bgm gallery and shop(以下:bgm)は、この連載1回目で取り上げたGallery, Cafe, Artshop Black bird White birdを運営していた大久保加津美さんが閉廊後に共同ではじめたギャラリー。メンバーは編集者の松永大地さん、そして9回目で取り上げたデザイン・クリエイティブセンター神戸(KIITO)につとめる佐藤真理さんとの3人体制で2016年にオープンしました。



五条モールの中に生まれたbgm

bgmが入るのは、京都ではよく知られた花街のひとつだったエリアにある五条モールという「ショッピングモール」の中。その名前に反して、かつてお茶屋さんだった建物に、本屋、アトリエ、喫茶など様々なお店が所狭しと入居しています。

bgmはなぜこの五条モールにあるのでしょう。


大久保「bgmの入る202という部屋は、もともとViOLET AND CLAiREという以前渋谷で人気だった雑貨店でした。店主の多屋澄礼さんが出町柳へと店を移すタイミングで、「入らない?」と声をかけてもらったんです。」


ひとりではなく何人かと一緒にやりたいと考えた大久保さんが知り合いの松永さんに声をかけたのが、2015年夏のこと。そして松永さんは2012年から2年ほど滋賀の大学で一緒に働いていた佐藤さんを誘います。


松永「大久保さんは主にイラストレーションに詳しくて、僕はむしろ広く浅くという感じだから、よりアートに詳しい人と一緒にやれたらいいんじゃないか、と。それで佐藤さんを誘ったんです。」




「bgm」という名前

キャラクターの異なるこの3人で運営するbgmですが、「ここで何をしたいのか」は詰めていない、とのこと。これまで展覧会を2回実施してきましたが、決まりごとも毎回誰かが担当する、というもののみ。「ギャラリーのテイストは続けていく中で出てくると思いますし、その都度気になる人と展示をつくりたい」と松永さんは語ります。

「「その場の主役にはならないが、その場を演出するために使用される音楽」であるバックグランドミュージック(BGM)のように、ささやかに人に寄り添うような作品を扱う場所にしたい(ウェブサイトより)」という、「bgm」という名前に込めた思いは、こうした肩肘を張らない3人の考え方を象徴しているようにも思います。

一方で、この名前には裏のテーマも。YMOが1981年に出したアルバム『BGM』がひとつの着想になっているようです。「YMOの3人それぞれが自分のやりたいことをやったアルバム」と松永さんはこのアルバムを説明しますが、そのままbgmのスタンスを語っているようでもありました。



bgmの改修

bgmをつくるための工事は2016年3月から。まずは掃除からはじめ、施工は4月からスタート。「なるべくお金をかけず最小限にしよう」と3人で決めました。内部には割られたベニア板が床に敷かれ、元々の壁を白塗装した上から帯状の展示壁が張りめぐらされ、狭いながらもしっかりとバックヤードがあります。


佐藤「ほんとは天井を抜きたかったんです。広くなりますし。でもお金もかかるし、工事も大層になって他店舗の営業中に工事することが難しくなるのでやめました。どうせ天井を抜かないのなら他をお金かけたところで印象としてはあまり変わらない、というアドバイスもあり、なるべく触らずにしています。」


クロスが貼られた天井は新たに白塗装され、同じく白塗装されたかつての壁面とともに、ベニアの展示壁がつくるニュートラルな空気感の中で独特な色を出しています。

bgmの設計と施工を一手に引き受けたのは堀川勝史さん。1Fの喫茶/酒場えでんの内装や、河原町丸太町に位置するkitという雑貨店も手がけられています。堀川さんからの最初の提案が現在のもので、誰も反対しないほど「ピンときた」と3人は口を揃えます。

開廊は金土日のみで、おおよそ4週から5週にかけて1つの展示が続きます。「gallery and shop」という名前の通り、展示のみならず作家さんによる作品販売もあります。

「五条モール全体を使った展示をしてみたい」「ワークショップなども行ってみたい」という具体的な展望の先には、「より多くの人に来てもらいたい」「作品を買ってもらえる人も増やしたい」という3人の思いがあります。お近くにお立ち寄りの際はぜひ訪れてみてください。



文章・写真:榊原

bgm gallery and shop
住所:〒600-8114 京都府京都市下京区早尾町 下京区早尾町313-3 五条モール202

Mitsuhiro Sakakibara

Mitsuhiro Sakakibara . 建築や都市のリソースを利用して暮らし働く人の声を集め、彼らへのサポートを行う。個人として取材執筆、翻訳、改修協力、ネットカフェレポート等を実施。また、多くの人が日常的に都市や建築へ関わる経路を増やすことをねらいとし、建築リサーチ組織「RAD(http://radlab.info/)」を2008年に共同で開始。建築展覧会、町家改修その他ワークショップの管運営、地域移動型短期滞在リサーチプロジェクト、地域の知を蓄積するためのデータベースづくりなど、「建てること」を超えた建築的知識の活用を行う。 ≫ 他の記事

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